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第6話:元気の源コーヒー(牛乳)
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元気の源コーヒー牛乳。
俺は常々そう思っている。
こんな風に、心の中で勝手にキャッチフレーズを付けてしまうくらいには。
特にね、雪印。
雪印のやつが俺にとってはイチオシなんだよね。
秋田壮介のせいで疲弊しきった俺の精神は、このコーヒー牛乳でしか癒せない。
ライフ0の俺もこれさえ飲めば、ライフも奇跡的な全回復を遂げる。
RPGで行くと、物語の後半に出てくる回復薬みたいな感じなのである。
元気の源コーヒー牛乳。
まぁ、今はパッケージに「コーヒー」としか書いてないけど、俺にとっては幼い頃からコレは「コーヒー牛乳」なわけだ。
カフェオレもいいけど、一番は雪印のコーヒー(牛乳)。
と言うわけで、現在、俺は目の前でカタカタと、それこそ親の敵のようにキーボードを叩きまくる美形君(いや確か彼は会計の野伏間君と言う名前だった)の前に、一人取り残された子供のような心持で座っている。
野伏間君の机の上に置いてある俺と同じ500mlのコーヒー牛乳。
何度も言うようだが、俺のイチオシ。
けど、野伏間君はまだストローすら紙パックに通していない。
あぁ、俺のイチオシなのに。
俺はもう一度、自分のコーヒー牛乳のストローをくわえると、俺の方を全く見ようとしない野伏間君を、ぼんやりと見つめながらストローをガチガチ噛んだ。
あぁ、せっかく買ってきたのに。
何で、飲んでくれないんだろう。