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そんなこんな紆余曲折あって手に入れた
元気の源コーヒー牛乳。
すみません。もうただ単に言いたいだけです。
ちなみに、生徒会室までナビってくれた悠木君は笑顔で帰っていきました。
ありがたや。
「…………」
それにしても、やっぱり目の前の野伏間君は、コーヒー牛乳に口をつけてくれません。
「野伏間君、野伏間君」
「なぁにー、君付けとかチョー気持ち悪いんだけどぉ。カイチョー」
さっきから何を話しかけてもずっとこの調子の野伏間君に、俺は小さくため息をついた。
話しかけんなオーラがかなり濃く過ぎて、実は俺はこうして彼の目の前に居座るのも、かなり居づらい状態なのだ。
せめて、コーヒー牛乳だけでも飲んでくれないかねぇ。
野伏間君を尻目に、俺は外気に触れて水滴が大量に滴り始めたコーヒー牛乳へ目をやった。
何で、飲まないのかな。
「俺も、何か手伝おうか?」
「カイチョー何かできんの?」
「………教えてくれれば」
「ごめんねぇー、そんな暇1秒たりともないのー。今、結構仕事は山場キてんだよねぇ。役に立たないなら帰っていーよー」
そう、俺なんかチラリとも見ずに野伏間君から言い放たれたのは、何度目だろうか。
このやり取り、実はもう5,6回は繰り返してる。
実質、最後の言葉は邪魔だから帰れって事なのだろうが、俺はなんだか生徒会長と言う立場上、そう言うわけにもいかない気がして、こうしてずっと一緒に残っていた。
あぁ、何でコーヒー牛乳飲んでくれないんだろう。
俺はガジガジとストローを噛みながらもう一度野伏間君を観察する。
最初、俺に紅茶を入れてくれた時から、野伏間君は何も飲んでいない筈だ。
だって給湯室見たら、俺が洗ったままの状態で紅茶のカップが置かれて居たから。
これが嫌いって事も考えられない。
これを野伏間君に最初に見せた時、野伏間君は何も言わなかった。
ただ、「置いといて」って言った。
いらない、とは言わなかった。
置いといてって……
…………ん?
俺はちょっと何かわかった気がして立ちあがると、そのままふんだんに汗をかきまくった野伏間君のコーヒー牛乳を持って給湯室へ走った。
これで飲んでくれなかったら、これは俺が頂こう。
そんで……野伏間君が終わるまで、一緒に居よう。
それで、いいや。
考えたって、俺、今んとこ何も出来ないし。
俺は自分の役割の限界を早くも身に染みて感じると、とりあえず、今自分ができそうな唯一をしに足を動かしたのであった。