第17話:その頃の生徒会室

 

————-

その頃、生徒会室。

 

 

 

 

 

 

「…………カイチョー。いきなりやってくれるねぇ」

 

 

たった一人の生徒会室で、野伏間 太一は笑った。

先程、学校中に響いた放送の声。

 

あれは明らかに“彼”のものだった。

 

何をするつもりなのだろう。

気になる。

知りたい。

 

野伏間 太一はその沸々と湧いてくる想いに蓋をしてフゥと息を吐く。

 

あぁ。

彼は、一体どんな顔であの放送をしたのだろう。

 

まぁ、多分満面の笑顔だろうが。

 

 

野伏間 太一は放送の声から読みとれる彼の表情を思い浮かべると、パソコンの手を止めコップに注がれたコーヒー牛乳に口をつけた。

彼が買ってきて、結局、一緒に飲む事の叶わなかったコーヒー牛乳を。

 

そして、もう一つ。

彼の分のコーヒー牛乳は、先程冷蔵庫へとしまってきた。

 

帰ってきたら、今度は自分が彼にこの甘い飲み物を出してあげようと。

 

 

彼が自分の仕事に向き合うように、今は自分も自分の仕事に向き合おうと。

 

 

そんな気持ちを胸の奥に抱きながら。

 

 

野伏間 太一は一人の教室で、しかし、以前とは違う暖かい心持で仕事に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました