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第20話:生徒会長の実力
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——鹿鳴館(体育館)
(17:00)
「おいっ!テメェ!俺達演劇部に、文化祭すんなって言いたいのか!?あ゛ぁ!?」
「やめなって!悠氏!仕方ないよ……。決まった事だよ」
「あ゛ぁ!?悠木!お前こそ悔しくないのかよ!?こんな下らないクジで勝手に決められてよ!?悠木達だって10分やそこらじゃ、思うような演目できねぇだろうが!?こんなんでお前納得できんのか!?」
「そうですよ!会長!いくら会長とでも、こんな決め方横暴過ぎます!俺達ダンス部は去年、大会で優勝したんですよ!?体育館の使用は俺達にこそ下ろされるべきです!」
「ブラス部としても納得行きません!俺達はこの日の為に、毎日練習してきたんです!それなのに、どうしてあんな個人の小さな音楽サークルにばかり許可が下りて、俺達に降りないんですか!?」
「おい会長!お前、正気か!?あんな小さなしょうもないサークル連中に体育館貸して、俺達を外すなんて、今年の文化祭潰す気か!?」
「しょうもないとは何だよ!?そっちだって毎年毎年体育館独占してんだから、今年くらいいいだろうが!?」
「そうだ!人数ばっか多いってだけで、テメェら演劇部だって大した実績も実力もねぇだろうが!」
「おい!人数ばっかのブラス部!今年は俺ら軽音部に音楽は任せとけって!」
「んだと!?」
「テメェら調子乗ってんじゃねぇよ!?」
「もう!悠氏!」
響き渡る怒号。
怒れる生徒達。
彼らはその全ての憎しみを、俺や、罵声を浴びせる相手に向けている。
俺は、その憎しみの全てを……
「だーまーれぇぇぇぇ!!」
弾き飛ばそうか。
俺はステージ上から、大きなホワイトボードを壊れたマイクでバンバン叩くと、ステージ下で喚く花形文化部の皆さんの意識を俺へと向けさせた。
同じくステージ上でホワイトボードへの書記係や俺のサポートをしてくれていたバスケ部やバレー部のみなさんが「あの、マイクヤバくね?」と呟ているのを小耳にはさみ、慌ててマイクを背中に隠した。
ヤベェ、つい手に持ってるとコイツ投げたり叩いたりしたくなるわ。
まさにおもちゃを持ちだした赤ん坊のようだわ。
……まぁ、もう壊れてるから叩いても何も変わらないとは思うんだけどね。
死者を冒涜してるみたいで体裁悪いしね。
「みなさん注目!文句があるのも最も!言いたい事があるのも最も!けど、これはもう決まった事です!怨むなら己のクジ運を恨みなさい!」
俺がそう叫ぶと、ステージ下から最強の罵声と、悠氏先輩からのこれでもかと言う睨みを頂きました。
まさに般若のようだ、かなり怖い。
その隣では、悠木君が、どこか悲しそうな顔で俺の事を見ている。
うん、なんかごめんなさい。
可愛い双子ちゃんを、喧嘩までさせちゃって。
でも、こればっかりはあみだクジで決まった事だから仕方が無い。
こう言うのは恨みっこナシが原則なのだ。
最初にそれは言った筈なのに、どうして皆さんこうも血気盛んなんだよ。
文化部も相当強いよ。
怖いよ。
そして、運動部のみなさん……さっきは勝手な事ばなり言ってごめんなさい。
俺はステージ上の最強にデカイホワイトボードに目を向けると、そこに書かれた達筆な文字とあみだクジに、なんだか居たたまれない気分になった。
何故、バスケ部の部長なのにこんなにも字が上手いのだろう。
不思議でたまらない。
爽やかな顔つきの彼は、エジプトの象形文字のような俺の字を見かねて書記を買って出てくれた優しい部長さんだ。
さっきはあんなに体育館が使えない事にキレまくっていたのに、こうして結局手伝ってくれている。
その勢いで部員の皆さんや、まさかの他の運動部まで補助してくれる始末。
多分、きっと彼はスラムダンクの熱狂的なファンなのだろう。
わかる、わかるよ。
あれは神作品だもんね!
つか、マジで感謝しないと。
新人戦とか大会とか、俺コーヒー牛乳持って応援行くから期待しててくれ。
俺が今や昨日の敵は今日の味方に成り果てた運動部の方々に、心から感謝の念を送ると、またもやステージ下から悠氏先輩の声が響いて来た。
「なぁ……お前は上からモノ見てっからわかんねぇかもしんねぇけどさぁ……俺ら演劇部が、今までこれの為にどんだけ練習しえきたかわかるか?いっつもステージに上がってるお前じゃわかんねぇかしれねぇけど、俺ら3年の一般生徒はステージに上がれる機会なんて早々ない。俺ら演劇部は3年が25人も居んだぞ?これが、俺らの最後の文化祭なんだ!あんな下らない小さな映画制作部に90分枠をやって、俺らはナシなんて、そんなもん認められるかよ!?」
そう、叫びながらこれでもかと俺を睨んでくる悠氏先輩に俺はどうしたものかとホワイトボードに目をやった。
映画制作部の部長さんは、気弱なのか、悠氏先輩の勢いに若干押されている。
そう。
確かに90分枠は一つで、それはクジの結果で映画制作部の映画上映会として内容が決まった。
決まった事はどんな事があろうと覆えす事など、してはいけない。
いちいち例外を作っていたら、何も物事は決められないのだ。
確かに映画制作部の部員は全部で10人。
一方、演劇部の60人に比べると規模も小さいし、何か特別な実績があるわけでもない。
でも……
「俺は面白いと思うんだけど。映画制作部の上映会ってさ」
「……ふざけんな!?あんな小さな部活の作った映画なんてたかが知れてるだろうが!?」
「そんな事ない。絶対面白い!」
「何を根拠に……!」
「ねぇ、悠氏先輩!映画制作部の映画のテーマ知ってる?」
予想外の俺からの切り返しに、悠氏先輩は思わず怒りの矛先が薄れのか、一瞬寄せられていた眉間の皺が少しだけ和らいだ。
ねぇ、悠氏先輩。
さっき言った3年には最後のステージって、それは悠氏先輩達だけじゃないんだよ。
映画制作部は今年で廃部が決まっている。
何故なら、部員10人が全員3年生だから。
「ねぇ!悠氏先輩、知ってる!?」
「……知らねぇよ」
そう眉を潜めて吐き捨てた悠氏先輩に、俺は笑顔で言い放った。
少しずつ、少しずつ、体に熱をおびていくのが、俺自身なんとなくわかる。
あぁ、体が熱い、興奮する、ワクワクする。
「テーマ、カンニング!学生時代万年成績ビリっケツで、全教科偏差値30代のバカな主人公が、大学入試で天下の東大合格をカンニングで目指す、ある意味入試サクセスストーリー!主人公の友達3人が主人公に協力してあの手この手でカンニング手段を練り上げていく!センター入試から2次試験にかけての約2ヵ月間の笑いと感動の友情物語!最後は、なんと衝撃の結末が待ってるらしいぜ!なぁ!なんか楽しそうだろ!?」
俺はどこか高揚した、フワフワした気分でステージ上から声を張り上げる。
俺、このあらすじ読んだ時、なんか凄くそそられたんだよ。
俺だって偏差値30なんてなった事ないのに、主人公はそこまでバカで東大を目指すって言うんだ。
もう、自分の事みたいでワクワクする。
それにさ、こんな壮大なテーマのヤツを、たった10人で作ったって言うんだから驚くだろ。
脚本も演技も撮影も編集も、全部10人で頑張って。
入試シーンのエキストラはクラスの皆に頼んでやってもらったらしい。
あんな気弱そうな部長さんだけど、この映画は最後の作品だから力を入れたんだ。
去年の文化祭が終わってすぐに制作にかかって1年もかけてやっと作った長編映画。
去年までは、ずっと小さな教室の一室を借りて上映会をしてたみたいだけど、今年のヤツはどうしても体育館で流してみたくて体育館の使用希望届を出したんだろう。
映画制作部最後の集大成ってやつを、たくさんの人に見てもらいたかったんだ。
クジ運ってさ、多分自分の努力とか頑張りで運気を引き寄せられるんじゃないのかな。
映画制作部の人達を見てると、そんな風に思えるから不思議だよな。
それに、他の個人サークルで体育館んの使用希望出してた人達もそう。
皆、それぞれの出し物に必死に向き合ってきた人達だ。
だからこそ、全部面白そうだし、ワクワクさせてくれるものばかりだ。
「おい!映画制作部の部長!」
俺は、やはりどこか熱に浮かされたような気分のまま、声を張り上げる。
そんな俺の声に、映画制作部の部長は目を瞬かせ、怯えたような目で俺を見てきた。
「っは、はい!何でしょうか!西山会長……?」
そんなに自信なさそうな顔しないでよ。
自信持っていいんだよ、キミらはさ。
俺は眉をヘチャリと寄せて俺を見上げる映画部の部長に、ニヤリと笑って指をさした。
「去年の修学旅行襲撃バスジャック映画、あれも面白かったぜ?」
俺の放った言葉に、映画部の部長は一瞬、目を大きく見開くと、次の瞬間顔を真っ赤にして笑顔になっていた。
「………っ!見て下さってたんですか!?」
「おう、見たぜ!後からDVDに焼いたヤツだけどさ!今年も期待してっから!自信作なんだろ?」
「……っはい!自信作です!俺達の、最後の……映画ですから!」
そう言って、どこか泣きそうな顔をする映画部の部長さんに、俺はグッと拳を立てた。
自信持っていいんだって、部長さん。
「おう!お前らの最後の映画、しっかり見にくるからな!」
多分、今年もDVDに焼いたヤツしか見れないだろうけどさ。
俺は頭の片隅でそんな事を思うと、先程の様子を黙って見ていた悠氏先輩に視線を向けた。
「おい!テメェ!演劇部部長さんよぉ!」
「っ、何だよ!?」
「お前ら、舞台に出たいか?」
「っ!出たいに決まってるだろう!?俺らだって……最後の舞台だったんだぞ。アイツらもそうかもしれないけど、最後の舞台は絶対太一様に見て欲しくて……俺は」
なんか睨んでるのに泣きそうな目で俺の方を睨んでくるから、俺は今度こそ走って悠氏先輩の元に行って抱きしめてあげたい気分になった。
まぁ、100パー拳が飛んできそうだったからやめとくけど。
つか、既に隣で感受性豊かな悠木君が、悠氏先輩の事を思ってエグエグ泣いている。
「お前らの去年の舞台……確か“新訳、ロミオとジュリエット”だったっけか?ありゃあ、新訳過ぎだろ!?ロミオもジュリエットも男だし!まぁ、男子校だから仕方ねぇけどよ。にしても、どっちもガッツリ男前ってどうなんだ?まぁ、最強に面白かったけどよ?」
「………お前、見てたのか?」
「当たり前だろうが。学園の出しモノは全部楽しむ主義なんだよ」
だって、どれも面白そうじゃん。
プログラム見る度にワクワクしてたしな。
こう言う派手で本格的な文化祭って、やっぱりテンション上がる。
これだったら……きっと母ちゃんも文句言わないんだろうなって思う。
どれも俺の学校の自信作だぞってさ。
「今年は何だったか……。漫画が原作だっけ?タイトルは……“ボクラノキセキ”とか言うやつで……確か。前世王女の記憶を持つ現代の男子高校生が主人公。その主人公の周りに起きる前世の絡んだ事件の数々、みたいなヤツだったよな!?」
「………まぁ、な」
どこか意外そうな顔で頷いてくる悠氏先輩に、俺は更に言葉を続ける。
いつの間にだろうか。
全部俺の頭の中には、去年の文化祭の出しモノと、今年の出しモノが全部頭に入ってる。
本当に、いつの間にか。
「これ、けっこう派手なアクション入るんだよな?楽しそうじゃん。しかも、今年は部長さんがその前世の女王役も現代の平凡な高校生役もやるんだろ?舞台でその二役を、どう化けるか、スゲェ楽しみだわ」
「……おい!ちょっと待て!楽しみっつったって……舞台がねぇだろ……どこで演じろってんだ?」
そう不安そうに俺を見上げてくる悠氏先輩に、俺はハァと盛大に溜息をついてやる。
そんな俺の態度に、悠氏先輩がおもいきり顔をしかめたのを、俺はチラリと横目に見つめた。
「おいおい!これだから頭のこり固まった奴らはダメなんだよ!舞台は此処だけか?あのなぁ、ないものは作ればいいんだよ!?特に今回みたいな派手な演出の入るものは屋外に限る!そうだろ!?」
「屋外……?」
悠氏先輩がポカンとした顔で俺を見ている。
ついでに隣で泣きやんだ悠木君も。
いや、この体育館に居る全ての人間が俺を見ている。
それが嬉しくて、俺は知らず知らずのうちに笑ってしまっていた。
それが皆にどう言う笑顔として映ったのか、俺にはわからない。
あぁ、放送してマジで正解だったなぁ。
関係ない生徒もどんどん集まって来る。
これは宣伝いらずかもしれない。
ここに居る生徒はきっと良い噂を流してくれる。
噂は、噂を呼び尾ひれを付け、学校中に伝わる。
人のうわさも75日。
2か月半。
上等だ。
十分だ。
だって文化祭は……俺達の城嶋祭までは後1カ月なんだからな。
俺は体育館後方から徐々に増えてきた生徒の人数を見て徐々に自分の体が熱を持ったようにジワジワ熱くなるのを感じた。
屋外ステージ。
ずっと考えてたんだ。
けど、無理だって言って去年は会長から止められた。
無理ってなんだ。
出来ないってなんだ。
俺は、やれる……!
今年は、
俺が、
生徒会長だからだ……!
「今年は、校舎中庭に、屋外ステージを作る!あそこならもともと屋内庭園として造られてっから屋根付きで雨天決行可能!階段の段差で客席作るのも、まぁなんとかいく!加えて教室からも閲覧可能!お前らはそこで思う存分、王女と高校生をやってろ!」
俺の言葉に、皆ポカンとしたまま固まっている。
屋外ステージは昔から作りたかった。
後片付けや費用がどうのと毎年却下され続けたが、今年は誰にも止めさせない。
このステージさへあれば、残りの団体も全て出演が可能だ。
「だいたいなぁ、音楽や劇やダンスっつーのは目立ってなんぼだろうが!あの中庭なら、当日人がかなり集まる!ブラス部やダンスなんか興味ない奴にしてみれば、わざわざこんな体育館まで見には来ねぇ!あんなにスゲェ演奏すんのに勿体ねぇんだよ!音楽は聞いてスゲェと思ったら誰もが立ち止まる!その分、興味を持ってなかった客層にも興味が広がる!それはダンスも同じだろうが!?」
「………屋外、ステージ……それは、本当に……作ってくれるんですか?」
そう、恐る恐る聞いてくるダンス部の部長に、俺は盛大に鼻で笑ってやった。
だって、今の俺、スゲェ自信に満ち溢れてるんだ。
今なら無理な事なんかないような気がする。
「っは!俺を誰だと思ってるんだよ!?やるっつったら俺は必ずやるんだ!!お前らのダンスは絶対屋外でやるべきだぜ?ありゃあ、見たら絶対立ち止まるだろ?俺だってスゲェって思ったんだからよぉ?」
「………っ!会長がそう言うなら、ダンス部は屋外ステージでいい!」
「そうこなくっちゃなぁ!ほら、演劇部はどうだ?」
そう、今度は悠氏先輩を見やると、どこか呆けた顔で悠氏先輩もコクコク頷いて来た。
それを期に、他の体育館の使用権を得る事が出来なかった10組の団体全ての団体リーダーが頷き、体育館使用権から漏れた不満はなくなった。
だから最後の仕上げとして、クルクルとした目で俺をポカンと見上げる悠木君に俺は目を向けた。
文化祭。
先輩達は最後だから、後悔しないように全力で楽しんで欲しいんだよ。
俺は。
少しずつ体の熱が冷めて行く感覚に、俺はどことなく心地よい気分を感じながら、悠木君に手を振った。
「悠木君!俺提案!」
「……っは、はい!何でしょう?秀様!」
悠木君は被服部。
今年はファッションショーがやりたくて、体育館の舞台をどうしても使いたかった。
でも、体育館の使用20分枠からは漏れて、10分枠しか取れなかった。
10分じゃ、思ったようにファッションショーできないもんね。
でも、悠木君も、これまでの集大成を見せたいんだよね。
「あのね!着せ替えビフォーアフターみたく、服と化粧と髪型を変えて誰かを変身させようよ!」
「……変身?」
「うん!例えばねー、すっごい真面目で優しい……佐藤先生をすっごいチャラくて男前なホストに変身とか!逆に、すっごいチャラい先生を真面目一色のお堅い男前に変身させるの!その先生達を変身させる服を、悠木君達が作る!」
俺は叫びながら、ステージから飛び降りた。
そして、悠氏先輩の隣で少しずつ目をキラキラさせてきた悠木君の前まで歩いて行く。
「そ!それは凄いです!全部のコーディネートを被服部がするんですね!しかも手作りで!」
「うん!でさ、服だけだとアレだから、美容部呼んでカットとメイクをお願いする!丁度美容部は格安で公開美容院を開くみたいだったから!」
「それ、いいです!凄く素敵です!先生は秀様がおっしゃったように、佐藤先生に頼みます!後はチャラい先生なら……生徒会顧問の柳場先生にお願いしたいですね!」
「おーし!柳場先生ね!生徒会顧問なら俺から頼んどくよ!でさ、時間が10分しかないじゃん?だから、まずはメイクとカットは人がよく集まる正面玄関前で公開しながらやっちゃおう!宣伝にもなるし!」
「被服部の洋服はシークレットで隠して……!それで、それでメイクとカットが完成したら……」
「体育館で先生達に服を着てもらってお披露目ファッションショー!これなら十分話題性もあって、宣伝もできるし、短時間で公開可能!」
「それじゃあ、どの先生が一番変身出来てるか、写真とか張って投票とかしてもらいたいです!秀様、そう言うのもいいですか!?被服部の1,2,3年で競いたいんです!最後の文化祭だから、後輩と一緒に楽しみたいんです!」
「それ頂き!面白い!悠木君!これ、絶対面白いよ!悠木君達も絶対楽しめるし、お客さんも皆も楽しめる!」
なんだか俺まで楽しくなってきて、思わず悠木君と「わーい!」とハイタッチしてしまった。
まぁ、周りからはこれまでになかったような数の人間からガン見されてるんだけどね。
けっこう、けっこう。
俺は悠木君と一通り盛り上がり終わると、もう一度走ってステージに戻った。
あぁ、もう文化祭楽しみだ。
俺、前は文化祭を生徒会長として過ごせなかったから。
今度は何が何でもやり遂げたいんだよ。
こう言うのは、“やってる方”が一番楽しいんだからさ。
「アイディア出してやりたい事がある団体は!遠慮なく俺に言ってよ!俺、何がなんでも実現させるから!今年の文化祭、最強に楽しもう!」
俺が笑ってそう言い放つと、皆勢いよく返事をしてくれた。
笑ってくれた。
参加を決めた文化部も、まだ何も準備も提案もできていないその他の生徒も。
少しでも、楽しそうだと、ワクワクすると思って文化祭まで過ごしてくれたらいい。
あぁ、俺。
今。
生徒会長なんだよなぁ。