第44話:*****

 

 

—————-

 

その頃、校内のどこかの廊下では。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『コーヒーが冷めないように素早く配達してください。あ、でも途中でこぼしちゃったりしたら大事ですから慎重にお願いしますね』

 

 

 

そう言って、可愛らしい白いフリルをあしらったバスケットを持たされた。

中には蓋付きの容器に注がれたコーヒーが11。

倒れて零れぬよう、隙間を作らぬようにギチギチに詰め込まれたコーヒー達は、上から見下ろせばとても可哀想に見える。

 

そう、早く届けろと手渡されたバスケットの中のコーヒー達は

 

 

 

 

「あー、これでもねぇな……こっちでもねぇ」

 

「あああ、どうしよう!あと20分しかない!どうしよ!」

 

「ビビってねぇでまず手ぇ動かせ!手!」

 

 

 

 

 

今やたった2個の生き残りを残し、廊下の床を茶色へと染め上げていた。

 

まぁ端的に言えば……こぼれてしまっているわけだ。

それもこれも全て……

 

 

 

「うあぁぁ!あと19分!」

 

「ウゼェ!」

 

 

この、半泣きになりながら時計の針を見つめる、映画部の部長のせいだ。

 

 

「何でお前らはこんなギリギリまで準備できてねぇんだよ!?開始20分前に準備開始とかバカだろお前ら!」

 

「すみません……!本当にすみません……!」

 

 

床に散らばりまくる過去の映画フィルムやらその他諸々の器具類。

それらを片づけながら俺は、未だにアワアワと焦りまくる映画部の部長を怒鳴りつけた。

 

 

「いいから焦るな!しゃんとしろ!」

 

「はいぃぃ!」

 

 

俺達の周りにはそれを何事かと興味深げに見つめては去って行く生徒共。

超メイド服姿の似合わない女装姿の俺と、髪も制服もぼさぼさの超オタク系インドア部長との組み合わせ。

 

関係ねぇ赤の他人には、さぞかし滑稽だろうよ。

パッと見れば、俺が映画オタクの部長をイジメているようにも見れるかもしれない。

 

 

しかし、それは大きな間違いだ。

 

 

「ちくしょう……帰ったらまた副委員長にドヤされる……」

 

 

俺はガサガサと手を動かしながらも、俺の脇でわずか2つの生き残りのみを残し無情にも廊下を濡らすコーヒー達を見て、溜息を吐かずにはおれなかった。

 

そもそも、頼まれたコーヒーをこぼさぬように、慎重に、かつスピーディーにコーヒーを配達していた俺に、先にぶつかってきたのはこの部長の方だ。

二段重ねのダンボールをひ弱そうな腕で抱え、フラフラと走っていた。

 

まぁ、重ねられたダンボールのせいで全く前の見えて居なかったコイツは、可愛らしいバスケット片手に先を急ぐメイドの俺に、背後からそのまま直撃してきたのだ。

 

その結果が、あの可哀想なコーヒー達である。

 

しかも、間の悪い事に、この部長は15分後に上映を控える映画のDVDを運んでいる最中だったらしい。

ぶつかった拍子に飛んでいった2つのダンボールは、上映用のフィルムと上映器具、そして一般販売用のフィルムを一斉に廊下へと散らばらせた。

 

販売用も公開用も色気のない真っ白なDVDだったソレらは、交り合いどれがどれだかわからなくなってしまった。

唯一の目印は、公開用のケースにはヒビが入っているという事だけ。

 

 

公開を間近に控え慌てまくる部長を落ち着かせ、俺は自分の職務を一旦停止させ、この映画部の大ピンチに共に立ち向かってやっている最中なのだ。

 

 

「おい!もし5分前になっても見つからなかったら……とりあえず、この販売用の方のDVDの方を流すぞ!」

 

「……い、いやです!」

 

「はぁ?!部長さんよぉ、んな事言ってる場合じゃねぇだろうが!鹿鳴館の舞台スケジュールは1分でも過ぎたら次の奴らに舞台回されるんだぞ!風紀が鹿鳴館の管理やってっから、そこら辺はマジで厳しいんだからな!わかってんのか!?」

 

 

俺は泣きそうな顔で、それでも何故か譲れないと言う強い意志を帯びた目を向け、俺に向かって首を振る映画部の部長に叫んだ。

そう、鹿鳴館は風紀委員の管轄下だ。

あの、秋田壮介の性格や、もともとの風紀の持つ気質から、時間厳守は絶対。

 

舞台準備など、事前にきちんとしておくようにというのが、鹿鳴館管轄の秋田の言葉だ。

 

それを、この部長はギリギリまで準備に手を焼き、今になって鹿鳴館に向かおうとしていた。

それは明らかに映画部の失態であり、自業自得と言うものだろう。

 

 

 

「お前!せっかく手に入れた90分枠だぞ!穴あける気じゃねぇだろうな!」

 

「そんな事しませんっ!」

 

 

俺は頭の中に流れてくる、あの90分枠を手に入れた時のこの部長の顔を思い出して、拳を握りしめた。

スゲェ頑張って、スゲェ喜んで。

今年最後の映画部の集大成を見せるんじゃないのかよ!

 

俺はそんな思いで部長をジッと見つめていると、部長は唇を噛みしめながら必死に床に散らばるDVDの山をあさった。

 

 

 

「でも……絶対に、あのフィルムで作ったヤツじゃないと流したくないんです……!」

 

「何で、お前はそんなにそのDVDにこだわるんだよ。中身は全部一緒なんだろ?」

 

「一緒じゃない!」

 

 

 

ガサガサ。

必死にたった一つのDVDを探し、動く2つの手。

周りでは俺達を気にしながらも、スタスタと通り過ぎていく。

 

 

 

「違うのか……?中身?」

 

「………少しだけ。見ているみなさんからしてみれば……よく、わからない所だと思うんですけど……。せっかく……あんな大きな所で沢山の人に見てもらうものだから……。昨日の夜皆でギリギリまで直して……俺もさっきまで沢山気になるところ補正したりして……」

 

「……へぇ」

 

「本当に、見てる人には……本当に小さくてわかんない違いだと思うんです。けど、やっぱり……最後まで、皆で納得いくまで作ったやつを……本番では流したいんです……!」

 

 

 

もう目はうるうる。

今にも泣きそうなのに、何だコイツ。

気弱そうなのに、しっかり図々しく……この文化祭に懸けてんじゃねぇか。

 

昨日、俺達生徒会やA組同様学校に寝泊まりして、深夜まで明りの灯っていたたくさんの教室。

 

その中に、コイツら映画部の狭くて、汚ない映画部の部室も含まれていた。

来年は……もしかすると無くなっているかもしれない、あの小さな部室が。

 

今年こそはと、爛々と輝いていたのを俺は知っている。

 

コイツの図々しい、この文化祭の懸ける想いも、俺は知っている。

 

 

 

「俺は生徒会長だ!」

 

「っへ!?」

 

 

突然の俺の叫びに、先程まで必死に見開かれていた部長の目がパチリと瞬く。

そんなヤツに、俺は更に言葉を続けてやる。

 

 

「DVDは俺がぜってー見つけてやる!だからビビんな!しゃんとしろ!お前は部長だろうが!」

 

「っ!」

 

「先に鹿鳴館で部員が準備して待ってんだろ!?まだ時間はある!死ぬ気で探すぞ!」

 

「っは、はい!」

 

 

 

そう、少しだけ目に力の籠った部長に、俺は笑ってやると、床に散らばるDVD達に膝をついて向き合った。

 

そのせいで、周りからの視線が更に強くなる。

ウゼェ、気になるなら手伝えテメェら!

そう思わず叫びだしたくなる気持ちを抑え、俺は袴が汚れるのを構う事なくベタベタと廊下を四つん這いになって1枚1枚DVDを手に取っていった。

 

 

ケースに傷。

 

それだけが手掛かりだ。

 

 

と、俺がふと、顔を上げた時。

俺の視界の端で、一番遠くに飛んで行ったDVDが目に付いた。

何故、目に付いたのか。

 

それは……

 

 

 

「踏むんじゃねぇぇ!!」

 

「っうあ!?」

 

 

 

俺は丁度向かい側から走って来た生徒に、踏まれそうになっていたソレに勢いよく突っ込んでいった。

その勢いで、走ってきていた生徒に俺は勢いよくタックルを食らわせる事になった。

 

まぁ、そのお陰でDVDは死守できた。

 

 

「おい!ちゃんと下も確認して走れ!あぶねぇだろうが!」

 

 

俺が勢いのまま怒鳴り散らすと、俺の下に下敷きになっていたヤツが腰をさすりながら顔を上げてきた。

 

その上げられた顔に俺は一瞬言葉を失った。

俺の下敷きになったソイツ。

ソイツは……

 

 

「ったたたた!何すんだよ!そっちこそいきなり危ないだろ!」

 

「静……!お前相変わらずうるせぇな!」

 

「あっあー!秀だ!しゅーだぁ!」

 

 

俺が下敷きにした相手、それはうるさいのに静という名前を持つ。

 

朝田 静だった。

 

そして、そのキャッチフレーズの通り、静はやはりうるさかった。

 

 

 

「秀!ここで何してんだ!?なぁ!」

 

「何って……つーか、お前……」

 

 

俺は上から、俺の下に尻もちをついた体制のまま、俺を見上げてくる静をジッと観察した。

 

一瞬、俺が言葉を失ったのは……それはコイツが一瞬マジで女と見間違うかと思うほどの美少女と化していたからだ。

しかも、着ているのはフリフリと真っ白なフリルをガンガンに纏ったガチメイド服。

 

まぁ、一緒に被服室で作っていた事もアリ、初めて見るわけではないが。

 

 

「お前……、似合いすぎだろ……!」

 

 

 

そう、俺が乗っかっていた静の上から立ち上がりながら言うと、静の顔がみるみるうちに笑顔で染まっていった。

 

 

「会ったり前じゃん!俺らは総合優勝目指してるからな!」

 

「んだと!優勝は俺ら2年A組だっつーの!」

 

「あはは!秀はぜんぜん似合ってないから優勝は無理だってー!」

 

「ふざけんな!俺達が売りにしてんのは可愛らしさじゃねぇんだよ!10代にのみ許された珠玉の若気の至りを集めてんだよ!文句あっか!」

 

「あははは!秀、意味わかんぇー!」

 

 

そう、ケラケラ笑って俺を指差してくる静に、俺はフツフツと腹の中で煮えたぎる怒りを必死に沈めた。

ウゼェしムカつくが、今はコイツに構っている暇はねぇ。

 

 

今はDVDを探すのが先だ。

 

そう、俺は静から死守したDVDに目を向けた。

売り物であるこれは、まず踏まれないようにダンボールに戻さなければなるまい。

 

そう思って俺がクルリとDVDを裏に向けると……

 

 

「あーっ!これ傷ついてんじゃねぇか!お前弁償しろ静!お前のせいだろーが!」

 

 

ケースの裏側に、見事な斜めのヒビが入っていた。

ちょっ……マジかよ。

ギリギリかと思っていたが、やはり静によって踏まれていたらしい。

 

俺はヒビの入ったケースを片手に静を怒鳴り散らすと、傷を見た静が焦ったように反論してきた。

 

 

「俺っ、踏んでねーっ!バキって音しなかったし踏んだ感触しなかった!しゅーが走って来た時割ったんじゃん!」

 

「俺だってそんなに力入れてねーよ!お前が踏まなきゃ、何で傷がつくんだよバッカかテメェ!」

 

「俺!ほんとに踏んでねーもん!秀のばかー!」

 

 

そう言って本気で俺に向かってバシバシと攻撃してきた静に、俺は身長の高さを使い、静のカツラによってフワフワの栗色ロングヘアーになった頭を鷲掴みにした。

くそ、コイツはいちいち煩いし行動がデカイし雑だからこんな事になるんだ。

 

そう、俺が舌打ちをした時だった。

 

 

「会長!それ!見せて下さい!」

 

「あ゛?」

 

 

突然、今まで黙って床にはいつくばっていた映画部の部長が俺の手からDVDをひったくった。

そして、俺同様、ケースの裏をひっくり返すと、そこに付いていた傷に目を輝かせた。

 

 

「会長!これです!これ!上映用のフィルムDVD!」

 

「あ!?マジかよ!」

 

「この傷!間違いないです!俺が間違って踏んじゃってできた傷ですから!」

 

「あ、あー……そうか!良かったな!見つかったぞ!俺のお陰で!」

 

 

俺は隣でポカンとしている静を引き攣った笑みで見つめながら部長の肩を叩くと、良かった良かったと頷いた。

しかし、余り手放しで喜んでもいられない。

部長はチラリと時計へと目をやると、またもや焦ったように眉を寄せた。

 

 

「ああああ後5分です!片づけもしないといけないのに……!」

 

 

そう言って、未だに廊下に散らばるDVDの山を見ながら泣きそうな声を出す。

 

 

あぁぁぁ、もうめんどくせぇ!

 

 

「いい!ここは俺が片づけておく!お前はまず必要なもんだけ持って鹿鳴館行け!いいな!?」

 

「でっ、でも会長に、そんな事は……!」

 

「いいっつーの!その代わり、死ぬ気で間に合わせろよ!?今日がお前らの集大成なんだからな!?」

 

「っうあっ……!」

 

 

俺が無理やり部長の背中を押してやると、部長は眉を寄せたまま頼りない表情で俺に向かって振り返って来た。

しかし、それも一瞬で、次の瞬間には床に落ちていた一部の器具のみを拾いあげると、そのまま走って行った。

 

 

文化部で、普段は部室にこもりきり。

体育の成績なんて下から数えた方が早いに違いない。

 

 

そんな、アイツが今から鹿鳴館まで5分で間に合うのか。

それはわからないが、とりあえず……ヤツは図々しくも俺に片づけを押しつけて言ったのだから、間に合わせるのが義務ってもんだろう。

 

俺はその場に散らばったDVDを拾いあげる為に廊下に屈むと、背後から聞きたくない声が俺の名を呼んだ。

 

 

 

「秀」

 

「………あー……なんつーか、な」

 

 

俺は先程いらぬ言いがかりをつけた相手を分の悪い思いで振り返る。

やっぱり、このままスルーってわけにはいかねぇか。

 

そう、俺が思っていると、ふっと俺の隣に静が体をかがませてきた。

 

そして、俺と同じく落ちているDVDを拾い始める。

当たり前のように。

いつもの、何も気にしていないような顔で。

 

 

「何かよくわかんねーけど、良かったな!秀!」

 

「っぐ……」

 

 

なんとも邪気のない笑顔でそんな事を言ってくるもんだから。

だから……静は本当に……本当に……気持が楽になるのだ。

 

 

 

俺は気まずい思いのまま立ち上がり、ほとんど中身の零れてしまったバスケットの中から無事なコーヒーを一つだけ取り出すと、もう一度静の隣で座りこみ……差し出した。

 

 

 

「さっきは……悪かったな。静」

 

「あー?これ、くれんの!?」

 

「あぁ。ちょっと冷めてるかもしんねーけど……俺のクラスの特製コーヒーをタダでやる」

 

「おー!ありがと!しゅー!」

 

 

笑顔で受け取り、その場でゴクゴクと喉を鳴らし飲み干す静。

その飲みっぷりに俺は思わず笑うと、静の頭をポンポンと叩いてやった。

 

 

「静、城嶋祭、楽しんでるか?」

 

「おー!めちゃくちゃ楽しい!やる事いっぱいでめちゃくちゃ忙しい!」

 

「なら、よかった」

 

 

 

めちゃくちゃ楽しい。

そう、当たり前のように言ってくれる静に、やはりコイツはタダものじゃねぇなと苦笑せざるを得なかった。

コイツは……本当に、いつもいつも、当たり前のように欲しい言葉をくれる。

 

 

本当に……凄い奴だ。

 

 

「俺もスゲェ楽しいよ!失敗しかしてねぇけど!」

 

「おう!しゅーも楽しいなら良かった!俺は失敗なんかしてねぇけどな!」

 

「ウソつけ!お前、ぜってー失敗しまくってんだろ!お茶とかこぼしまくってんだろ!?客にぶっかけてんだろ!そうだろ!」

 

「してねぇもん!コーヒーだって俺らのクラスのがウマいしー!優勝は絶対俺達のクラスだしー!」

 

「ばっか!優勝は俺らだっつってんのがわかんねぇのか!?ばーか!」

 

「なにぃ!」

 

 

 

と。

 

そんな事を言いあいながら、俺と静は公衆の面前で、互いにメイド服姿で廊下をはいずりまわった。

それが、なんとなくおかしくて、途中から笑えてきてしかたなかった。

 

あぁ、うん。

失敗ばっかだけど、なんかめちゃくちゃ楽しいな。

俺は静の笑顔を見ながら、心底そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————

 

 

その後。

俺はクラスに戻り、案の定副委員長やら他のメイドやらにめちゃくちゃ怒られまくった。

 

11持って行ったはずのコーヒーが全滅。

まぁ、仕方ない。

色々あったんだと言えば、更に怒られた。

 

 

 

「もう一回作りなおしますから今度こそちゃんと持ってってくださいね!」

 

「………はい」

 

 

そう、念を押されて俺はもう一度被服室を目指す羽目になった。

めんどくさい事この上無い。

 

 

「今、紙コップも不足してるのに……というか、何で11個持って行って空の紙コップが9個しかないんですか。まさかどっかにポイ捨てとかしてないですよね?」

 

「まぁ……いろいろとあって……」

 

「あーもう、また色々ですか!」

 

 

なんて会話の向こうに。

静の手に握られる、コーヒーと。

鹿鳴館での舞台袖に積まれたダンボールの上に置かれた生ぬるいコーヒーがあるという事は。

 

 

わざわざ説明しなくてもいいだろう。

 

とりあえず、出来上がったコーヒーを手に、

 

 

 

俺はもう一度教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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西山が教室を出て行った直後。

 

 

 

 

 

「おーら。パシリから戻ってきてやったぞー」

 

「遅れましたー」

 

 

そう、パンパンに膨らんだ袋を抱えて現れた二人の男……いや、一方は女装した男。

つまりは、野伏間と白木原なのだが……。

 

まぁ、その二人がA組の教室へと帰ってきた。

 

様々な言葉で迎えられる二人。

 

主に白木原には感謝の言葉。

野伏間には、今までどこへ行っていたんだという不満の言葉。

 

 

そんな互いに違った言葉をかけられる二人で会ったが、二人同時に控室の脇に置いてあるビチャビチャに濡れそぼったレースのバスケットに気がついた。

 

 

「何だ、これ。きったねぇな」

 

「濡れてるじゃん、どうしたのコレ」

 

 

そう同時に口を開いた二人に、その場に居たクラスメイト達は皆一様に笑い始めた。

 

笑う彼らの頭には、不機嫌そうな、しかし叱られる前の子供のような表情をした……

 

 

 

あの会長の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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