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豆乳 1分前
今日は、新人の男の子がコンビニで見つけたと言って、お菓子を買って来てくれました。先日の飴のお礼だそうです。やっぱり、彼はとても優しい子です。
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いいね!1
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豆乳 1分前
今日は、例の新人の男の子と一緒に昼ご飯を食べに行きました。俺は唐揚げ定食を。彼は煮魚定食を頼みました。きっとこういう時に魚を選ぶところが、頭の良い秘訣なのかもしれません。なので【慇懃無礼】の攻めの彼の好物も煮魚定食にしようと思います。今日も、彼はとても良い子でした。
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いいね!1
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豆乳 1分前
今日は、新人の男の子と帰りがたまたま一緒だったので、バス停まで一緒に歩きました。俺が家まで一時間半かかると言ったら、今度家に遊びに来てくださいと言ってくれました。きっと社交辞令だとは思うのですが、それでも凄く嬉しかったです。今日も彼はとても格好良い子でした。
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いいね!1
いいね!いいね!いいね!いいね!
キッコウさんはフォロワーのまま。だから、俺のフォロワーは数字の「1」のままである。そして、キッコウさんは、俺が会社の事やお話の事をSNSに書くと必ず「いいね!」をしてくれる。しかも、だいたい一分以内に。
でも、小説の感想は来ない。
あ、ただ「社交辞令かも」と書いたSNSの書き込みに対しては、久々にメッセージを送ってくれた。
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キッコウ 45秒
彼は、社交辞令を言うような人間ではないようにお見受けします。真に受けて大丈夫だと思いますよ。
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久々のメッセージは小説に関するモノではなかったが、こうして書き込みをしてくれるという事は、決して嫌われたワケではないのだと思えてホッとした。
しかし、
「もしかして、小説は……面白くないのかな」
帰りのバスの中で何だか気持ちがどんよりするのを止められないでいた。
ただ、キッコウさんの反応と反比例するように茂木君とは少しずつ仲良くなっていった。それは、俺の最近のSNSの話題からしても明らかだ。
きっかけは何だったのか、本当に分からない。
『大豆先輩。一つ、いいですか?』
なにせ、突然だったのだ。
分からない事があった時に、席が近くの野田さんではなく、俺に聞きに来てくれた。しかも、それだけじゃない。俺が研修中にマニュアルを作っていると『大豆先輩、マニュアルを一緒に読んで、頂けませんか?』と言ってくれるようにもなった。
『俺、喋るの、下手だけど……いいの?』
『……お願いできれば幸甚です』
『こ、こうじ?』
そうやって、深く頭を下げられた時は嬉しいを通り越して、ちょっと怖かった。言葉の意味も分からなくて、怒られてるのか?と思ってしまったのだ。
ただ、それも毎日続けば慣れるもので。
最初はあんなに頑なに、俺の説明も解説も聞く気などなさそうだったのに、あの頃とは大違いだ。
嬉しい。凄く嬉しい。
「でも、キッコウさんは……」
茂木君がかまってくれるようになったら、キッコウさんがかまってくれなくなった。どちらか一人では物足りないと思ってしまう俺は、やっぱり寂しがり屋のかまってちゃんだ。
良い年して何なんだ。俺は。
「……あれ?」
そんな、形容し難いモヤモヤを抱えていたある日の事だ。
俺が更新の為に、サイトの管理ページへと入ってみると、そこには珍しいモノが来ていた。
「メールだ」
管理ページの一番上。【メールボックス】の下に「新着1件」の文字。
「もしかして、キッコウさんかも!」
きっとそうだ。SNSでは感想の文字数が足りなくて、久々に此方から送ってくれたに違いない。そう、期待しながらメールを開いてみると、それはキッコウさんからではなかった。
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件名:はじめまして!
メール:syouyusyousu@ahoo.co.jp
はじめまして。豆乳さん。
こうしてメールで感想を送るのは初めてです。
ただ、ずっと昔から作品を拝見しており、久々に【まろやか毎日】を覗いてみたら新作が更新されていてビックリしました。
【慇懃無礼ですが何か?】読ませて頂きました。
本当に攻めがドツボで、久々に豆乳さんの作品を読んで「これこれこれーー!」と大興奮です!いつも最高の萌えをありがとうございます!やっぱり、豆乳さんの書かれるBLはサイト名の通り、まろやかで、でも胸にキュンと刺さる所もあって最高だなと改めて思いました。
昔に書かれた作品も今からもう一度読ませて頂こうと思います。
そんな偶然の再会もあり、今回どうしても豆乳さんに感想が送りたいと、サイトの中を探しまわりました。すると、firstの下に小さく【メール】という文字を発見して、まるで宝物を見つけたような気持ちになれました!
このメールは当時からありましたか?昔、ランキングトップだった【まろやか毎日】さんに日参するのが習慣だった時も、どうしても感想を送りたかったのですが送れずにいたので、少し気になってしまって。
なので、今こうして、改めて感想を送る事が出来て嬉しいです。
仕事に忙殺されるささくれた毎日でしたが、豆乳さんの作品のお陰で、まろやかに過ごせそうです。
また、是非メールさせてください!
しょうゆ
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「しょうゆさん……?初見さんだ!」
メールは、キッコウさんではなかったものの、その文面は、落ち込んでいた俺を浮上させるには十分の力を持っていた。丁寧に感想を書いてくれる「しょうゆさん」からのメッセージ。
どうやら、このしょうゆさん。キッコウさん同様五年前からサイトに遊びに来てくれていた人のようだ。
「やっぱり、メールの場所……分かりにくかったかぁ」
まぁ、分かりにくいように置いていたんだけど。
しょうゆさんのコメントの内容に、ビビリで小心者だった自分を少しだけ省みた。でも、こうして分かりにくいながらも、必死に見つけ出し感想を送ってくれた事が本当に嬉しい。
「でも、良かった。【慇懃無礼】は、面白く……ない訳じゃなかったんだ!」
一人から感想を貰えた。面白いと言って貰えた。たったそれだけで、あんなに喪失していた自信が一気に復活するのだから、本当に俺はかまってちゃんだ。
「お、お返事しよ!」
メールアドレスも添付されている。そして、物凄く嬉しい事をたくさん書いてくれたしょうゆさんに、俺はバスの中で一生懸命スマホを叩き続けた。