6:この世で最も卑しいお世話係

 

 ベッドの上には、いつも通り美しい寝顔を晒すリゲル様。

 部屋に入っても、しばらく僕はただそこに立ち尽くしていた。

 

「ごめんなさい、リゲル様……本当に、ごめんなさいっ」

 

 罪悪感でいっぱいになりながらも、決して手は止めない。

 震える手で、そっとズボンに指をかける。ゆっくりと布をめくっていくと、白く滑らかな素肌が現れた。

 

「う、あ……」

 

 最後の一枚を外した瞬間、わずかに反応を示すそれが、露わになる。

 止められない衝動に導かれるように、僕は、とうとうその熱に触れてしまった。

 

「リゲル様。き、気持ち、良いですか……?」

 

 あまりにも拙く、ぎこちない手つき。

 それでもリゲル様の体は、しっかりと僕の動きに応えてくれる。同時に、安らかな寝息を立てていたはずの口元から、少しだけ呼吸が乱れた。

 

「っ、はぁ、……っぅ」

「リゲル様、気持ちよさそう……っん」

 

 普段とは違う余裕のない吐息に、思考がぼんやりと霞んでいく。

 溢れ出したリゲル様の先走りを指で掬い取ると、自分の後ろの穴へと指を這わせた。

 

「んっ、リゲル、さま……っ」

 

 指が簡単に飲み込まれるのは、これが初めてではないからだ。

 

(どうしよう、凄く……気持ち良いっ)

 

 これまでも、彼に体を暴かれる想像をしながら、幾度となく体を慰めてきた。

 そのまま、リゲル様のものと自分のものを重ねて、衝動のまま擦り上げる。

 

「ああ……っ、リゲル、さま……好きっ!大好きですっ!」

 

 次の瞬間、互いの熱が最高潮に達し、視界が白く弾けた。

 

 直後、水を打ったような静けさが部屋を包み込む。

 荒い呼吸だけが響く中、我に返った僕を襲ったのは、言いようのない寒気だった。ぐったりと横たわる美しい体に、どちらのものともいえぬ白い雫が流れ落ちる。

 

「っぁ……僕は、なんてことを……!」

 

 その姿に、慌てて彼の手を握りしめた。

 

「リゲル様、怒っていますか?こんなことした、僕のこと……!」

 

 こわごわと問いかける。

 けれど、リゲル様の手からは、何の反応も返ってこない。『YES』も『NO』も返してくれないその手は、完全に僕という存在を拒絶しているようだった。

 それでも、口が勝手に動いた。

 

「そう、ですよね。僕なんかにこんなことされて……気持ち悪かったですよね」

 

 こんなことをしておいて、「怒っていますか?」なんて、卑怯にも程がある。

 

(リゲル様を種馬扱いしたお姫様と、ちっとも変わらないじゃないか)

 

 僕も、自分の都合でリゲル様の心を無視して、好き勝手してしまった。

 

「……リゲル様、本当にごめんなさい」

 

 その後は、普段とは考えられないほどの仕事の速さだった。汚れた体を綺麗にし、衣服とベッドシーツを取り換えた。

 そのまま、僕は一枚の書き置きを残し、塔から逃げ出した。