ベッドの上には、いつも通り美しい寝顔を晒すリゲル様。
部屋に入っても、しばらく僕はただそこに立ち尽くしていた。
「ごめんなさい、リゲル様……本当に、ごめんなさいっ」
罪悪感でいっぱいになりながらも、決して手は止めない。
震える手で、そっとズボンに指をかける。ゆっくりと布をめくっていくと、白く滑らかな素肌が現れた。
「う、あ……」
最後の一枚を外した瞬間、わずかに反応を示すそれが、露わになる。
止められない衝動に導かれるように、僕は、とうとうその熱に触れてしまった。
「リゲル様。き、気持ち、良いですか……?」
あまりにも拙く、ぎこちない手つき。
それでもリゲル様の体は、しっかりと僕の動きに応えてくれる。同時に、安らかな寝息を立てていたはずの口元から、少しだけ呼吸が乱れた。
「っ、はぁ、……っぅ」
「リゲル様、気持ちよさそう……っん」
普段とは違う余裕のない吐息に、思考がぼんやりと霞んでいく。
溢れ出したリゲル様の先走りを指で掬い取ると、自分の後ろの穴へと指を這わせた。
「んっ、リゲル、さま……っ」
指が簡単に飲み込まれるのは、これが初めてではないからだ。
(どうしよう、凄く……気持ち良いっ)
これまでも、彼に体を暴かれる想像をしながら、幾度となく体を慰めてきた。
そのまま、リゲル様のものと自分のものを重ねて、衝動のまま擦り上げる。
「ああ……っ、リゲル、さま……好きっ!大好きですっ!」
次の瞬間、互いの熱が最高潮に達し、視界が白く弾けた。
直後、水を打ったような静けさが部屋を包み込む。
荒い呼吸だけが響く中、我に返った僕を襲ったのは、言いようのない寒気だった。ぐったりと横たわる美しい体に、どちらのものともいえぬ白い雫が流れ落ちる。
「っぁ……僕は、なんてことを……!」
その姿に、慌てて彼の手を握りしめた。
「リゲル様、怒っていますか?こんなことした、僕のこと……!」
こわごわと問いかける。
けれど、リゲル様の手からは、何の反応も返ってこない。『YES』も『NO』も返してくれないその手は、完全に僕という存在を拒絶しているようだった。
それでも、口が勝手に動いた。
「そう、ですよね。僕なんかにこんなことされて……気持ち悪かったですよね」
こんなことをしておいて、「怒っていますか?」なんて、卑怯にも程がある。
(リゲル様を種馬扱いしたお姫様と、ちっとも変わらないじゃないか)
僕も、自分の都合でリゲル様の心を無視して、好き勝手してしまった。
「……リゲル様、本当にごめんなさい」
その後は、普段とは考えられないほどの仕事の速さだった。汚れた体を綺麗にし、衣服とベッドシーツを取り換えた。
そのまま、僕は一枚の書き置きを残し、塔から逃げ出した。

