第1章:俺の声は何!? 26:買い出しクエスト 「その日、仲本聡志は初めて兵の寄宿舎を出て街へと降りた……すっげー」 見渡す限り、人、人、人。 いや、間違えた。今見渡した奴らの耳は、漏れなく全員尖っている。言い換えるならば、見渡す限り、エルフ、エルフ、エルフ。である。 「すっげ……が... 2022.08.07 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 25:忘れられないキラキラ 『イーサ?』 かちゃ、と食器を盆に置く音がした。俺はしばらく黙って様子を窺う。数拍の間。耳を澄ましても、食器同士の擦れる音は、もうしない。どうやら、食べ終わったらしい。 『食べた?』 こ、ん。 控えめに放たれる一度きりのノック。食べ終わ... 2022.08.07 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 24:驚愕という発露 ---------- ------- ---- あの一連のイーサの謎の行動の後、俺はすぐに部屋に戻って横になった。ともかく、俺は眠かったのである。 いや、まぁ、ただ“すぐに”というのは語弊がある。なにせ、俺は“すぐに”は帰れなかったのだ。... 2022.08.07 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 23:戸惑いという共有 「……おはようございます。部屋守の仕事は、どうされたんですか」 「あ、お、おは」 「軽蔑します」 ハイ、会話終了。 目の前でバタンと勢いよく扉が締められた気がした。 寝ぼけた頭が一気にクリアになる。 いつの間にか、俺は床に丸くなって... 2022.08.03 第1章:俺の声は何!?
第1章:俺の声は何!? 22:もしも、あの時頷いていたら --------- ------ --- 『なぁ、サトシぃ』 『んぁ?』 俺は背中に掛かる重みに、思わずそれまで閉じていた目をパチリと開けた。開いた目の中に、一気にくすんだ蛍光灯の光が飛び込んでくる。 眩しい。 『なに?寝てた?』 『…... 2022.08.03 第1章:俺の声は何!?