第3章:俺の声はどうだ!

第3章:俺の声はどうだ!

169:おちゃらか

いつの頃からか、金弥は自分の指を食べるようになった。  食べる、と言うと語弊があるかもしれない。実際には“噛んで”いたのだろうが、幼い俺には、金弥が自分の指を食べているように見えたのである。 『ぁぅ、む、んぐ』 『……』  また食べてる。 ...
第3章:俺の声はどうだ!

168:王様の中に隠れる“イーサ”を探せ!

「……なんだよ、キン」 お前のこんな声、俺は知らない。いつの間にこんな演技出来るようになったんだよ。勝手にどんどん先に行きやがって。 「俺は、キンの事も、イーサの事も……何も分かってなかった。そう、仲本聡志は静かに拳を握りしめた」  淡々と...
第3章:俺の声はどうだ!

167:戦争が、始まる

「この国は、もうマナが殆ど残されていない。……戦争などしようモノならひとたまりもないだろうな」 「ナンス鉱山だって……あと数回しか、“大いなる実り”が採掘出来ないのに」  ソラナ姫の言葉に、俺はテザー先輩がナンス鉱山に入る前に教えてくれた事...
第3章:俺の声はどうだ!

166:羊なのか、狼なのか

「ちょっ、えっ」  俺は目の前で繰り広げられる美しいキスシーンに、完全に目を奪われていた。いや、これはこんな不躾に視線を向けたらダメだろ。だって、こんな。 「んっ」 「っふ」  他人のキスシーンだぞ!見るな見るな!失礼だ!ただ、目が離せない...
第3章:俺の声はどうだ!

幕間14:クリアデータ7 4:55

「え、えぇっ!?ナニコレ、どういう状態!?」  上白垣栞は戸惑っていた。そりゃあもう、心底戸惑っていた。 「なんで、主人公はイーサとじゃなくて、お姫様と……キスを、してるの……?」  そう、その混乱の根源は、栞の視線の先にあるゲーム画面にあ...