心苦しくも、私もゆとり世代でございます

心苦しくも、私もゆとり世代でございます

5:クリスマスの出会い

「大丈夫ですよ、きっとすぐに会社の方が気付いてくれます」 太宰府は目の間に差し出された携帯と穏やかに笑う春日を見て一瞬肩に入っていた力が抜けるのを感じた。 しかし、携帯に映る圏外の文字が彼を現実へと引き戻す。 「って、でも…仕事で急ぎがあり...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

4:問題発生中

春日は隣に乗り込んできた肩で息をするイケメンを横目でチラリと見た。 そして、春日自身も走り込んできたばかりで同じように息を切らしたいのだが、どうにも男二人で既に手狭感を覚えるこのエレベーターの中で、果たして自分のような老け顔の平凡男がハァハ...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

3:こちらも問題発生

太宰府 互譲(だざいふ ごじょう)。 彼は今しがた春日の乗ったエレベーターに駆け込んできた男であった。 太宰府の顔を見た春日が思ったように、太宰府の容姿は確かに整っていた。 目鼻立ちの通った彫りの深い顔筋と、張りのあるツヤのいい肌質。 彼の...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

2:問題発生

その日、春日 春(かすが はる)は走っていた。 カップルで賑わうイルミネーションに彩られた繁華街を、彼はひたすら走っていたのだ。 彼の名前は春日 春。 名前に春という字が二つも入る彼の纏う雰囲気は、確かに春の気候のように穏やかだ。 年は24...
心苦しくも、私もゆとり世代でございます

1:世代

人は生まれた時代によって価値観やモノの見方を大きく左右される。 個人差はあれど、同じ境遇の世の中を同じニュースを見、同じ流行を肌で感じながら生きてきたのだから、ある一定の特徴を持つ時代集団が現れるのは当然と言えよう。 団塊の世代を始め、バブ...