第1章:酔いの余韻に酔いしれて

第1章:酔いの余韻に酔いしれて

3:作り話

「で?君の前世は何なんだい?」  そして、ここにきて冒頭のセリフだ。  他人の前世の話を聞くと必ず俺の話も聞かれる。こういう時の為に、幼い頃の俺は自分で自分の前世を手作りしたのだ。  現在では、他人の前世収集という趣味の為に、大いに活躍して...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

2:前世収集

「……素晴らしいお話でした!」 「ふふっ、ご清聴ありがとうございました、というべきかな?」  今現在、俺は仕事帰りの酒場でたまたま隣になった、前世は王宮お抱えの画家だったという40代半ばのダンディな男の話を聞いている最中だった。  俺は今に...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

1:前世

「で?君の前世は何なんだい?」  この言葉を、俺は一体今まで何度耳にしてきただろう。  冒頭の言葉に対し違和感をもつ人間に、俺は生まれてこのかた出会ったことがない。 彼らの言うところの“前世”を含め。 -----前世?頭おかしいんじゃねえの...