第1章:酔いの余韻に酔いしれて

第1章:酔いの余韻に酔いしれて

48:世界一の幸福者

----------- -------- -----  足音が聞こえる。 軽快で、元気な足音。 それが聞こえてくると、僕の心はフワッと軽くなる。けれど、そのフワッとした気分は次の瞬間、だいたい小さく萎む。 『おーい!オブ!オブ居るかー!』 ...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

47:集合

「トウどこにも居ねぇんだけど!?あいつどこ行きやがった!?……あ?」  タイミングよく入って来たのは、先ほどトウを探して来ると言って部屋を出て行ったアボードだった。俺は助かったとばかりにアボードに向かって大声を上げる。 「アボード!助げで!...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

46:再会

「おら、ここが待ち合わせの場所だ。入れ」 「うわぁ……!」  俺達みたいな良民の血税は、こういった所に使われているのか。俺は目の前に広がった光景になんとも言えない不条理を感じた。 「広いうえに……おしゃれ!」 「あんまキョロキョロすんな。お...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

45:兄志願者

俺は呼び出されて来たのに、こんな事ってあるだろうか。 「ここは関係者以外立ち入り禁止だ」 「え?」  騎士宿舎の入口で、俺は体の大きな若い門番の男に足を止められてしまった。その不測の事態に、俺は思わず顔をへの字に歪め『事前に説明しとけよ』と...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

44:現世の迷子

ドンッ。  俺の肩に衝撃が走った。  とっさに衝撃の走った方を見てみれば、そこには顔色が真っ青な初老の男性が、呼吸もまともにできない様子で目を血走らせていた。 「……すっ、すみません。よそ見をしていたみたいで」 「……マルコに、あわねば。彼...