第4章:即時、一杯の酒

第4章:即時、一杯の酒

273:たった一言

「オブ!ちょっと!」  どうやら、このオブは家には帰せそうにない。帰りたいと言って泣かないか心配だが、それは俺が説得するしかない。 『……なにさ』 『マスター、どうしたの?』  何故か、俺から気まずそうに顔を逸らすオブに、俺は心臓がキュウッ...
第4章:即時、一杯の酒

272:ウィズの生存戦略

〇 『ますたー、助けてよー。オブが取れないんだー』  オブが取れない。  なんだ、ソレは。オブとは一体何なんだ。虫か、シミか、酷い疲れか。  俺の記憶によると、オブは賢いスンとした表情の男の子だった筈だ。 『ますたー、おねがいだよー。来てよ...
第4章:即時、一杯の酒

271:愛してるは始まり

〇  それから、どれくらいの時間が経ったのだろう。  俺は大分前から、そろそろウィズの腕から離れようと試みていたのだが、その俺の意思がウィズによって汲み取られる事はなかった。  故に、俺は未だにウィズに抱きしめられている。しかも、最初と同じ...
第4章:即時、一杯の酒

270:あなたのいないせかい

「『おれが、インじゃなくって、ガッカリしてるくせに!おれが、ないて、めんどうだって思ってるくせに!おれの中にインがいるからウィズは、おれに笑ってくれたんだ!やさしくしてくれたんだ!そうじゃなかったら、ウィズは、おれのことなんて、どうでもいい...
第4章:即時、一杯の酒

269:二人の一人

きみとぼくの冒険。第9巻 第4章 【いかないで!】 僕を呼び止める、大人の人の声がする。 僕は今から月の王子様と一緒に、星のプールを作る予定なのに。一体だれだろう! 『いかないで、おねがい』 『……だれ?』 振り返ると、そこには知らない大人...