<鳥かごシリーズ 現世番外編>
(お喋りのみ)
【アウト、ウィズの居ぬ間に】
——-前書き——–
此方は、前回の続き【鳥かごシリーズ】の現世バージョンです。あくまで、ビロウとアウトを絡ませたいが故に作った番外編ですので、軽い気持ちで読んで頂ければと思います。
知られざるウィズの家族。どうやら、ウィズには腐った兄弟が居るようで。
そんなウィズの兄弟とアウトが絡みます。
※ちなみに、こちらは今後Twitterお喋りにてシリーズ化していきます。
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【ウィズの家族】
アウト「そういえば、ウィズって家族は居るの?」
ウィズ「…凄い聞き方をするな。まぁ、当たり前とは言わないが……居る事が多いのではないか」
アウト「あんまりウィズの口から聞かないなぁって思って。兄弟は居る?」
ウィズ「いない」
アウト「じゃあ、一人っ子か!」
ウィズ「一人っ子ではない」
アウト「?」
ウィズ「あんな奴は兄弟ではない」
アウト「それは本当は居るって事?ぎょうかんを読んだら居る?」
ウィズ「あんな腐った奴は兄弟ではない」
アウト「腐った……ふだんしってこと?」
ウィズ「なんでもいい。もう、アイツの話はしたくない」
アウト「ふうむ。ウィズの兄弟はふだんしかぁ」
〇
【寂しかった時に、チョコレートをくれた人】
ウィズ「お前は昔の話をインからどの程度聞いている?どんなヤツが話に上がった?」
アウト「え?んーと…家族と友達と、オブ?そんなもんじゃない?」
ウィズ「…特に、オブが居なくなった後。インが死ぬまでの間で誰か出てこないか?」
アウト「誰か居たかな?居ないと思うけど」
ウィズ「ならいい」
アウト「あ!居た居た!オブとソックリで!寂しかった時に、甘いものを沢山くれた子!あれは…友達?」
ウィズ「…オブが居なくて寂しかった時、か」
アウト「嬉しかったみたいだよ。毎日泣いてた時に来てくれたって。美味しいのをくれたって」
ウィズ「寂しさに付け込むとは、昔から腐っているな」
〇
【ウィズの長期出張】
ウィズ「アウト。急遽、北部で出張講師をする事になった」
アウト「北部?遠いなぁ!」
ウィズ「出張期間は2週間程度だろう。悪いが、店もその間は締める事になる」
アウト「2週間も……あぁ」
ウィズ「2週間も会えないからって、アウト、俺の顔を忘れたりするんじゃないぞ」
アウト「ウィズは俺をバカにし過ぎだ!……でも、描画しとく」
ウィズ「オイ、忘れる可能性があるのか」
アウト「ちがう……寂しい時に見るんだ」
ウィズ「ぐ……確かに、2週間は」
アウト「長いなぁ」
ウィズ「付いて、くるか?」
アウト「っ!行きたい!……けど、2週間は急に休めない…」
ウィズ「あぁっ、クソッ。断りたいっ!」
〇
【恋人の居ぬ間に】
—-ウィズ、北部出張講師の為にしばらく酒場休業となる
アウト「あぁっ!やっぱ普通の酒場もたまにはいいよなぁっ…ぐふっ」
背広の男「なんだ?」
アウト「すっ、すみません!」
背広の男「ちっ、貧乏人が。俺に触れるな」
アウト「ごっ、ごめんな……うわっ、ウィズ!?」
背広の男「あ?なんだと?」
アウト「えっ、えっ!ウィズ!出張講師で北部に行ったんじゃなかったの?」
背広の男「ぶつかってきておいて……俺をウィズと呼ぶ、か。貧乏人、お前は一体なんだ?」
アウト「えっ、あれ?あれれ?あっ、もしかして、なんか、そういう、時期?イライラする時期?」
背広の男「…どういう思考回路だ」
背広の男「俺は、ウィズじゃねぇ」
アウト「……ウィズじゃない」
背広の男「逆に問うが、お前は一体誰だ。見るからに貧乏人のお前が、あの根暗野郎と一体どういう繋がりを持つ?答えろ」
アウト「えぇ?ウィズ、俺を驚かそうとしてないか?出張講師なんて嘘ついて、何か俺の喜ぶ事を企んでるんだ!」
背広の男「はぁ?どうしたらそんなおめでたい思考回路になる?」
アウト「あははっ、分かった!俺もウィズに付き合って、きゃらへんをしよう!」
背広の男「っ!酒くせぇ!離せ!この酔っ払いが!」
アウト「酔ってないよ!まだ5軒目だもん!ウィズが居ないからってハメなんか外してない!あはは」
アウト「きょうは、ほんとは10杯のんだ!ウィズにうそはつきません!あはは」
背広の男「(マジで、コイツ一体アイツの何なんだ?)」
アウト「でも、ウィズが2週間も居ないなんていやだったから、うそでよかったー!あぁっ!これが嬉しいたくらみかぁ!あはは!嬉しいウィズが居て嬉しい!」
アウト「ウィズ、今日はやすみだから、ウィズの家に行く日だ!あはは!ここで何杯か飲んで行こうなー。今日はウィズもお客さんだなー」
背広の男「まさか、お前。アイツとデキてんのか?」
アウト「デキ…できる?俺はウィズと何が出来るかなぁ。約束とか、口付けとか、情交とか」
背広の男「マジか」
背広の男「(あの、インしか眼中になかったヤツが……こんな…っ!まさか!)おいっ!お前!まさかインか!?」
アウト「いん?インは俺のお腹の中にいまーす!べちゃべちゃしてる!」
背広の男「はぁっ!?意味わかんねーよ!お腹?」
アウト「ウィズ、かおをみせて。あぁ、かっこいいなぁ」
アウト「かっこいい、かっこいい。よく見せて」
背広の男「やっぱり、お前。インだな」
アウト「……おれ、いんじゃない」
背広の男「インだろ」
アウト「インじゃない!ウィズはまたインって俺の事を言うんだ!インが好きなんだ!ああああ。うわきゼメだぁ」
背広の男「ちょっ!おい!やめろっ!?」
アウト「あああん」
背広の男「やめろっ!?周りから変な目で見られんだろうが!?」
アウト「うぃずが、おれを、いん、っていう……おれは、いんじゃない、のに。ひっく。もう、いやだ。へやにこもる」
背広の男「は?部屋?」
アウト「すぅ、すぅ」
背広の男「はぁっ!?ちょっ!寝んな!?」
〇
【恋人の居ぬ間に、オモチカエリ】
———目を覚ますと、知らない天井がありました。
アウト「うわっ!?なんだ!ここ!?っつぅ!」
背広の男「やっと目を覚ましたか。この糞酔っ払い野郎が」
アウト「……ウィズ?」
背広の男「だから、俺はウィズじゃねぇよ」
アウト「え?え?じゃ、じゃあ」
背広の男「俺はビハインド。ウィズの双子の兄弟だ」
アウト「双子……凄いな!?俺、双子の人、初めて見た!」
ビハインド「そこまでか。普通、学窓で一組か二組は居るだろ」
アウト「ううん!居なかった!すっごいな!顔をよく見せてくれ!」
アウト「う、うわぁ!ほんと、横から見ても、前から見ても、下から見ても!ウィズ!」
ビハインド「……まるきりインじゃねぇか」
アウト「……インを知ってるって事は、ビハインドは前世のオブ達を知ってる人?」
ビハインド「ビロウ。そう言えば分かるんじゃねぇのか?」
アウト「ごめん。俺、前世の記憶がないから、分からないんだ」
ビハインド「あ?でも、テメェはインだろ?」
アウト「インじゃ、ない」
ビハインド「(なんだ、コイツ。昨日から急に。インの名前を出すと変な顔しやがって)」
アウト「ビハインド。ここは、ビハインドの家?」
ビハインド「そうだ。テメェが昨日、夜酔っぱらって寝やがるから、連れて来てやったんだよ。ありがたく思え」
アウト「ありがとう」
ビハインド「で、お前は何だ?ウィズとデキてんだろ?」
アウト「あっ!そうそう!俺はウィズの恋人の、アウトです。どうぞ、よろしくお願いします」
ビハインド「だったら、やっぱりお前はインだろ。ウィズがイン以外を抱くとは思えない」
アウト「…………ちがう。俺、インじゃ、ない」
ビハインド「あ?さっきから、お前。そればっかだな」
アウト「本当に、違うんだ。インは確かに俺の一部だけど、でも俺はインじゃない。アウトだ。それを分かった上で、ウィズは俺を選んでくれたんだ」
ビハインド「意味わかんねーけど。なんだ?それは……テメェがインと似てるから、ウィズがお前に惚れたって事か?」
アウト「……似てるから。俺って、やっぱりそんなにインと似てる?」
ビハインド「俺の見る限りじゃ……似てないとは言わないな。あぁ、似ている。お前はインにソックリだ。だからこそ、お前はウィズに付け込めたってワケだな?」
アウト「……付け込む、か。確かにそうかもな。それは、確かにある」
ビハインド「アイツ。俺には自分の居ない間にインに付け込んだクズとか言ってきてた癖に、自分もまんまと付け込まれてるじゃねぇか。っは、いい気味だぜ」
アウト「……なぁ、ビハインド」
ビハインド「なんだよ?」
アウト「もしよかったら、ビハインドの知ってる昔の話を、俺にも聞かせてくれないか?インの事、オブの事、他にもウィズの事でもいい。俺は、本当に何も知らないから」
ビハインド「(コイツ……本当に記憶がねぇのか?なんだ、この表情は)」
アウト「あぁっ!ビハインドも忙しいよな!?別にいいよ!俺もそろそろお暇しよう!」
ビハインド「いいぜ」
アウト「へ?」
ビハインド「別にいいぜ。俺もお前に興味が沸いてきた。まぁ、俺も仕事があるからな。昨日の酒場、覚えてるか?」
アウト「あ、あぁ」
ビハインド「あの酒場に来い。俺の名を出せば、個室に通される。そこで、色々話そうじゃねぇか。昔の事も、ウィズの事も」
アウト「……!うん!話そう!話そう!ウィズの事も聞かせてくれ!(また色んな話が聞けるぞ!)」
ビハインド「っ!」
——-びろう。オブの事、聞かせて。
アウト「じゃあな!また、今夜!酒場でなー!」
ビハインド「あぁ……そうだな(やっぱり、お前は……インじゃねぇか)」
【恋人の居ぬ間に2】続く
——-解説——–
はいじ「ここから2週間。アウトとビハインドの交流が始まります。今回はここまで!」