2:恋人の居ぬ間に②~ウィズ出張中の2週間~

 

お喋りシリーズ

【恋人の居ぬ間に~ウィズ出張中の2週間~】

 

——–前書き——–

こちらは【現代版】とも言える「ビロウシリーズ」です。

ウィズが仕事で2週間の出張に出てしまった、そんなアウトの2週間を追います。

この2週間、アウトはたまたま他の酒場で出会った、ウィズの双子の兄弟であるビハインド(前世:ビロウ)と共に過ごす事になるのですが、最終的にどうなるのか、私も分かりません!

———————–

 

 

【ビハインドとの約束の酒場にて】

 

アウト「えっと、なんだっけ。店の人に何か言えって言われたけど…なんだっけ?」

 

ビハインド「(お、来たか)」

 

店主「どうなさいました?」

アウト「えっとえーっと…」

 

ビハインド「(俺の名を出せと言ったが……)」

 

店主「なにかお困りですか?」

アウト「えっと、酒をください!」

ビハインド「っオイ!?俺の名前を出せと言っただろうがっ!」

アウト「うあ!」

 

——一言—–

はいじ「ビハインドは多くの酒場を経営する実業家です」

 

 

 

     〇

 

【恋人と離れて―ウィズの2週間―】

—–出張中のウィズ

 

ウィズ「つまり、解読に必要なのは知識そのものではなく、別の事象と別の事象を結び付ける、ある種、ひらめきと言えるモノだろう」

 

生徒「(やっぱ都会の先生は違うわねぇ)」

生徒「(顔が、でしょ?)」

生徒「(もちろんよ。うち、格好良い先生一人も居ないのに)」

生徒「(こっちに赴任して来てくれないかなぁ)」

生徒「(恋人とか居るのかな?)」

生徒「(そりゃ居るでしょー!)」

生徒「(分かんないわよ。仕事一筋って可能性もあるし)」

生徒一同「(格好良いなぁ)」

 

ウィズ「(アウト…会いたい…)」

 

——一言——-

はいじ「このウィズ、まだ1日目なり」

 

 

     〇

 

 

【この鳥頭!!】

ビハインド「おい、お前の頭は鳥か?!此処へ来たら俺の名を言えと言っていただろうが!」

アウト「……!鳥!?」

ビハインド「そうだ!この鳥頭野郎!言ったそばから忘れやがって!?」

アウト「あははは!鳥、鳥頭だって!」

ビハインド「……あぁ?何笑ってる?まさか、もう酔ってんのか?」

 

 

アウト「そういえば、ウィズも最初に会った時に、俺の事を鳥扱いしてきたよ!懐かしいぁ。俺は南国の鳥より甲斐性ないとか、鳥に申し訳ないと思えとか、鳥はメモできないんだとか……そうかぁ。やっぱり兄弟だな。俺が鳥に見えるなんて」

 

ビハインド「お前……ほんとにアイツと付き合ってるのか?」

 

アウト「ちゃんとウィズとは付き合っているし、実はもう既に1軒まわって来ている!」

ビハインド「ったく、どこまで本当か分かんねぇな。この酔っぱらいは」

 

アウト「さすがに昨日程はないさ。っていうか、この個室は何!?高そうな部屋だなぁっ!やっぱりビハインドも、ウィズと同じでお金持ちなのか?」

ビハインド「っふ、まぁな」

 

アウト「ひー!背伸びして入った酒場だったのに、まさか、こんな部屋に入れるなんてな!幸運だ!」

ビハインド「確かにテメェには分不相応な店だ」

アウト「なー!」

 

ビハインド「なー…って」

アウト「ここは本当に立派な店だ!格好良い店だから、ずっと前から入ってみたかったんだけどお金無くてさぁ」

 

 

アウト「給金を貯めてこの店来るの夢だったんだ!けど……」

ビハインド「けど、なんだよ?」

 

アウト「ウィズと恋人になってからは、他の店には一人で行くなって言われてたからさ」

ビハインド「(アイツの言いそうな事だな)で?いいのか?そのウィズとの約束は?」

アウト「いいだろ!だってーー!」

 

 

アウト「ビハインドが一緒だから、一人じゃないし!」

ビハインド「……拡大解釈と誤釈がすげぇな」

アウト「それに、ウィズが出張に行くってなった時、他の酒場に行くなってって言われた約束だけはお休みにしてもらったんだ!お陰で、この格好良い店にも来れたし、ウィズの出張も悪くないなー!」

 

 

ビハインド「格好良い店ねぇ。へぇ、そうか。お前、見る目はあるじゃねぇか」

アウト「うん、俺は酒場を見る目はあるぞ!あと古市で良いモノを見る目もある!他はないけど!」

ビハインド「確かに。男を見る目もねぇしな……おい。ウィズの出張は、いつまでだ?」

アウト「今日から2週間だよ」

 

 

ビハインド「なら、俺が良い酒場を、2週間案内してやろう」

アウト「……!いいのか!?」

 

ビハインド「あぁ、いいぜ。今は特に急ぎの仕事もねぇし。暇つぶしに、お前と遊んでやるよ」

アウト「やったー!ウィズが居ないのにウィズの顔と毎日会えるし、ビハインドは、ウィズと違って色々連れてってくれるー!」

 

ビハインド「俺をあんな外に出ねぇ根暗と一緒にすんな!?」

アウト「外に出ない事はないけど、確かにウィズは出かけたがらない。二人で部屋がいいみたい。まぁ、最近は古市に連れてってくれたけど」

 

ビハインド「ダッセェな。俺はアイツとは違う。お前に色んな世界を見せてやろう」

アウト「おお!」

 

 

——–一言——-

はいじ「ビハインド。自分の経営する店を、格好良いと言われたので、気をよくしているようです。あと、アウト(インだと思ってる)が自分に惚れたら、ウィズの嫌がる顔と悔しがる顔がみれると思ってワクワクの極みなのでしょうね」

 

      〇

 

 

【恋人と離れて―ウィズの2週間―】

—–出張中のウィズ

 

神官教師「ウィズ先生、どうですか。北部の寒さは?やっぱり帝国よりは堪えますか?」

ウィズ「えぇ。もう寒くて寒くて……凍え死にそうです(アウト。会いたくて仕方がない。辛い。会いたい)」

神官教師「そ、そんなにですか?」

ウィズ「はい……一人がこんなに寒いなんて知りませんでした」

神官教師「は?」

 

 

——-一言——-

はいじ「アウトは普通に楽しんで過している」