おまけ:その後の小話
(会話文のみです)
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14:その後の小話
酒場にて
バイ「なぁ、どうしたんだよ?ウィズの奴。なんかすっげぇ怖ぇぞ」
アウト「……わからん。俺がウィズの出張中の報告をしたら、あぁなった」
バイ「あー、なんかお前、ウィズが居ない間、すげぇ楽しそうだったもんな。ウィズは気持ちわりぃから、自分が居ない所でお前が楽しそうなのが嫌なんだよ」
ウィズ「アウト」
アウト「は、はい!」
ウィズ「明日から出勤は俺と、帰りも俺が迎えに行くまで職場を出るな」
アウト「えーっ!なんで!?そんな保育舎のお迎えみたいなの恥ずかしいよ!」
ウィズ「お前は気を抜くと、すぐ浮気をする。もうこれは決定事項だ。まったく、あんなクズと十日間も共に過ごしたなど……信じられん」
アボード「おいおい、ウィズ。落ち着け。コイツに浮気する甲斐性なんかねぇよ」
アウト「そうだ!俺は同窓会で物凄くバカにされたんだぞ!俺は驚くほどモテないんだ!」
アボード「……得意気に言うなよ。あぁいう場は、大した事ねぇ奴ら程、マウントの取り合いをしたがるからな。マナ無しで有名なお前が、ちょうど良いサンドバックってだけなんだよ」
トウ「……珍しい。アボードがここまでフォローを入れるって事は、相当だったんだな」
バイ「なんでアウトがバカにされなきゃなんないんだよ!今度同窓会がある時は、俺も一緒に参加する!俺がアウトを守ってやるよ!」
ウィズ「次の同窓会は不参加か、俺同伴にしてもらう。バイ。お前はいらん」
バイ「はぁっ!?なんでだよ!」
アウト「二人共いらねーよ!なんで同窓会まで保護者同伴みたいになるんだ!」
ウィズ「俺は保護者ではない。恋人だから伴侶枠で有なんだよ」
アウト「有り……なのか?」
ヴァイス「ほーら!僕が来たよ!」
アウト「ヴァイスだ!ねぇ、ヴァイス。ウィズを説得してよ!ヴァイスは俺のお腹の中で、ずっと俺の事見てたから分かるだろ!?」
バイ「(お腹のなか?)」
トウ「(いつもどこから現れるんだ、この子は)」
ヴァイス「うんうん。僕はずっとアウトを見てたからね!アウトはウィズが居なくても、ウィズそっくりなあの男と毎日本当に楽しそうに過ごしてたね!彼は、どこかの誰かさんみたいに、束縛せずに、のびのびとアウトに色々な経験をさせてくれたしね!」
ウィズ「……っく」
バイ「ウィズそっくりの男?」
アウト「そうそう!ウィズの双子の弟で、ビハインドって言うんだ!俺の推しなんだよ!」
ウィズ「……」
バイ「ビハインド……」
アウト「ほら!あれ、バイ達なら知ってるんじゃないか!前世はビロウって言ってたぞ!」
バイ「ッビロウ!?」
トウ「ビロウって、あのビロウか!」
アウト「そう!びろう×いん、のビロウ!ウィズの居ない間、仕事の合間に俺と遊んでくれたんだ!金持ちだから、高い酒も飲ませてくれた!高級な酒場にも連れて行ってくれた、良い奴だ!」
バイ「あー、ビロウかぁ。やりそうだな。アイツ。お菓子の次は酒か」
トウ「オブとは昔から仲悪かったもんな。……それにしても双子。物凄い因果だな」
ウィズ「あんなクズ!俺の血縁者ではないっ!あり得ない!俺の人生の汚点を上げていいなら、アイツ以外に他にない!」
バイ「ま、どちらにせよ。俺はお前よりビロウを推すよ」
ウィズ「お前は俺が嫌いなだけだろうがっ!」
バイ「あったり前だろうが!お前と違って、昔からビロウの方が潔いから見てて腹立たねぇんだよ!」
トウ「待てよ……バイがニアだと知ったら、またアイツは言いよってくるんじゃ」
アウト「おいおい、ウィズ!ビハインドはクズじゃないって!あんまり会ってないだろうけど、兄弟も久々に会うと案外昔より仲良くなれるもんだぞ。な、アボード」
アボード「はっ、どうだか」
ウィズ「……ともかく、だ。アウト、今後一切お前があのクズと接触する事を禁止する。これは俺とお前の約束の最重要項目として取り扱う」
バイ「コイツ……」
アウト「ええぇ。急に俺が来なくなったら、ビハインドがびっくりするじゃんか」
ウィズ「そんな事は知らん」
アウト「……うー。ビハインドに、いつでもおいでって言っちゃったのに」
ウィズ「……なに?」
カンカンカン
アウト「あっ!お客さんの足音だ!どうしよう!新規のお客さんかも!お、おもてなししないと!」
バイ「こんな店に俺達以外に客なんて来るか?逃亡中の殺人犯じゃね?」
アボード「そんな訳あるか。ただの空き巣だろ」
トウ「お前ら……ウィズの店を何だと思ってるんだ」
ウィズ「嫌な予感がする」
ヴァイス「僕はとっても愉快な予感がするよ!」
カランカラン
アウト「いらっしゃいませ!お好きな席へどうぞ!」
??「酒場の店主が、そんな大衆食堂みたいな出迎えしてんじゃねぇよ」
アウト「っ!!!ビハインドだ!」
ウィズ「……っくそ」
ヴァイス「そうこなくっちゃだよね!」
ビハインド「おいおい、アウト。お前、急に来なくなるからビックリしたじゃねぇか」
ウィズ「おい、誰が入っていいと言った。出ていけ」
ビハインド「あ?ここは店だろうが。今、俺は確かに“いらっしゃいませ”と出迎えを受けたが?」
バイ「やっば、マジで瓜二つじゃん!」
トウ「双子って凄いな」
アボード「(この顔……どっかで見た事あんな)」
ウィズ「出て行けと言ってるだろうが……おいっ!?わざわざ俺の隣に座る!虫酸が走るっ!!」
ビハインド「アウト、酒を頼む。この店で一番高い酒だ」
アウト「わーっ!ウィズ!良かったな!今日の売り上げが一気に上がったぞ!」
ウィズ「出さなくていい!?」
バイ「やっべ、めちゃくちゃ面白いんだけど」
トウ「あまり、面白がって近寄るな。バイ」
アボード「(どこで、見たんだ……?)」
ビハインド「よぉ、アウト。こないだはよくもやってくれたな」
アウト「なぁ、二人が並んでるとこ。描画に撮っていいか?ソックリだから面白い!明日アバブに見せたい!」
ビハインド「ったく、聞いちゃいねぇよ」
ウィズ「撮るな!?コイツとのツーショットなど気色悪い!……そして、そこのクズ!早くお前は帰れっ!そして、二度とアウトに近寄るな!」
ビハインド「あ?ほんとにお前ぇは気持ちワリィ愛し方しかできねぇ奴だな。アウトは俺と居た時の方がのびのびしてたぜ?なぁ、アウト」
ウィズ「クソクソクソクソッ!出て行けと言っているだろう!さもないと……」
アウト「砂、写出砂!どこだ!どこに行った!」
ビハインド「なんだよ?一般人に神官がマナを使う気か?そりゃあ一体どういう了見かね?」
ウィズ「お前を消せば問題ないだろう!?ちょうど、俺の職場ではお前が死んだ事になっている!都合がいい!」
アボード「……うっわ。大人の兄弟喧嘩って、こんなに見苦しいのか。見るに堪えねぇな」
トウ「おい、お前らも大差ないからな」
バイ「兄弟ってウラヤマシーなぁ」
アボード「どこがだよ」
バイ「だってさぁ」
ビハインド「なぁ、アウト。お前の中、サイコーだったぜ。また入らせてくれよ!」
ウィズ「そうか、死ぬ覚悟は出来たという事か」
ビハインド「おい、テメェ。マナで勝ってるからってさっきから調子に乗ってんじゃねぇぞ。俺は教会側にも多額の金を出資してんだ。お前なんて、俺の一言で北部にぶち飛ばす事も出来んだぞ」
ウィズ「……この拝金主義者が。二度と転生できないように、マナごと消し飛ばしてやる」
ビハインド「やれるモンならやってみな!?」
バイ「だって、オブとビロウもそうだったし……この二人も兄貴もアウトも、男兄弟の喧嘩って……どっちも楽しそうにたってんだもんなー」
トウ「それは言えてるな」
アボード「……」
アウト「あはーっ!描画出来た!明日アバブに見せよー!飛び上がって喜ぶぞー!」
こうして、ウィズの酒場にまた一人、常連客が増えたのでした。
おまけ。おわり。
Twitterお喋りでこれからも少しビハインドは登場してくると思います。にこ。