番外編3:ヘマは天才法術師(ヒスイ×ヘマ)

 

 

 

—-魔王城直前の街にある宿屋

(朝なのでヒスイは石です)

 

 

 

ヒスイ(あ゛ー、クソ。あったま痛てぇな。昨日飲み過ぎちまった)

※3口くらいしか飲んでない

 

ヘマ「…ふぁ、イシ君、おはよう」ゴソ

ヒスイ(あぁ、はよ。ヘマ……っいてぇ)

ヘマ「イシ君?」

ヒスイ(…くそ。痛ぇ。どうした、ヘマ)

 

ヘマ「イシ君、もしかして頭が痛いの?」ぺたぺた

ヒスイ(っ!)

ヘマ「イシ君、昨日すごく酔っ払ってたもんね。頭のどのへんが痛いの?」

ヒスイ(ぜっ、全体的にガンガンするんだ!…つって、伝わるワケねぇか」

ヘマ「うんうん、全体的に頭がガンガンするんだね?」

ヒスイ(っ!ヘマ…?)

 

ヘマ「うんうん。そうだねそうだね。わかるよ。うんうん」よしよし

ヒスイ(…たまたまか。まぁそうだよな)

ヘマ「じゃあ、オレがイシ君の二日酔いを治す魔法をかけてあげる!」

ヒスイ(…あんがと。でも二日酔いは病気でも怪我でもねぇから無理だな)

ヘマ「よーし!イシ君!ちょっと待っててね!」

 

ヒスイ(あいあい。一体何する気かはわかんねぇけど。いってぇ)

 

ヘマ「この詠唱を…そう、こっちの魔導書に」ブツブツ

 

ヒスイ(ヘマって魔導書に向かってる時の顔…ヤベェよな。なんつーの?妖艶?神秘的?ともかくすげぇエロ…あ“ーー!くそっ!頭いってぇ!)

 

ヒスイ(ヘマ!頼むから大声出すな!頭いてぇんだよ!)

 

ヘマ「イシ君!出来たよ!二日酔いを治す回復魔法!」タタタ!

ヒスイ(おい、出来たって…何が)

ヘマ「見ててね!」

ヒスイ(は?)

 

ヘマ「…万物に宿し生命の息吹よ。この者を苦しみの鎖から解き放て!アセトアミノフェン!」

 

パァァッ!

 

ヒスイ(…おいおい。嘘だろ?)

ヘマ「ふう。どう?イシ君?頭ガンガンするのは良くなった?」

ヒスイ(あ、ああ。全然、もう痛くねぇ…あんなに痛かったのに)

ヘマ「ケン君?イシ君は痛いの良くなったって?うんうん、だいぶ良くなったって言ってる?良かったあ」

ヒスイ(……あの呪文は何だ?)

 

ヒスイ(俺も、全部の法術を知ってるワケじゃねぇが……さっきの呪文は初めて聞くぞ)

 

ヘマ「うーん、せっかくだからなぁ。イシ君がもっと嬉しくなる事がしたいなぁ。何があるだろう」にこにこ

 

ヒスイ(回復法術が干渉出来んのは、本人の治癒力を高めて治療出来るモンだけだろうが…それなのに)

 

ヘマ「そうだ!次にイシ君がお酒に負けないように、負けない回復法術を作ろう!」にこ

 

ヒスイ(は?作る、だと?法術を?)

 

ヘマ「ケン君もそう思うよね?ケン君はモンスターはやっつけられるけど、お酒はやっつけられないもんね!安心して、ケン君!キミのご主人様はオレがお酒から守るよ!」タタ!

 

ーーーーこの詠唱を…そう、こっちの魔導書に…

 

ヒスイ(まさか、さっきの法術も…ヘマがイチから作ったってのか?待て待て待て!?法術っつーのは既存の魔導書を読み解いて習得するのが普通だろうが!)

 

ヘマ「これは、そう。こっちの詠唱とこっちの概念を組み合わせて…」

 

ヒスイ(ヘマ、お前…)

 

ーーーーエターナル・リザレクション!

 

ヒスイ(…ヘマは“普通”じゃねぇ。そうだ。じゃなきゃ魔王の強力な石化を解けるような法術を…いくら代償を払うからって、そんなにすぐに習得出来るワケねぇんだ。コイツは……ヘマは…)

 

ヘマ「出来た!これでイシ君は、お酒なんかに負けないよ!いくよー!」

 

ヘマ「快楽の代償よ、天へと舞い散れ!ウコン!」

 

ヒスイ(…天才だ)

 

ヘマ「イシ君!これで今夜お酒を飲んでも、きっと負けないでいられるよ!え?本当か?信じられない?大丈夫だよ!信じて!」にこ!

ヒスイ(信じるぜ。ヘマ。お前は多分、この世界で一番の法術師だ)

ヘマ「イシ君、だからね…」

 

ヒスイ(あ?)

ヘマ「だから、あの」もじ

ヒスイ(どうした、ヘマ)

ヘマ「も、もう一回昨日の、あの。昨日のヤツを言ってほしい」

ヒスイ(昨日の…?)

 

ーーー愛してるぜ!結婚しよう!ヘマ!

ーーーこの世の誰よりもお前を一番愛してるぜーー!

 

ヒスイ(っっ!あ“ーーー!はっず!クソ恥!)

 

ヒスイ(クソっ!酔っ払って浮かれちまってアホみたな事しちまった!!ヘマ!あれは無しだ!もっとちゃんとしたヤツを…)

 

ヘマ「もう、イシ君とは家族だけど。け、結婚したら、っもう一回家族になれるし…な、何回も家族になれるの嬉しいから」てれ

ヒスイ(…)

ヘマ「もう一回、言ってほしい」てれ

 

ヒスイ(あ”ーーー!もう酒なんかに頼る必要はねぇっ!今言わせろ!何回も言う!無限に言う!あ“ーーーー!なんで!石なんだよ!クソが!!)ヒスイ爆発!

ヘマ「イシ君、聞こえてる?え?何回も言うのは嫌?へへ。あんまり欲張り過ぎたかな?」

ヒスイ(言う言う言う言う!!!!言うーーー!)

 

ヒスイ、その日の夜はシラフでプロポーズをしました。というか、毎晩プロポーズするようになりました。

 

ヒスイ「ヘマ、俺と結婚してくれ!」

ヘマ「はい!」

ヒスイ「明日も言うからな!」

ヘマ「わーい!」

 

 

とんだバカップルの爆誕。

 

 

ヘマ「イシ君とオレは結婚しました!明日も結婚します!」にこ