番外編24:初代様、初めての温泉(初代×犬)

 

 

—–旅の途中

 

 

宿主「一泊で二部屋かい?」

犬「あ、」チラ

初代「(こくん)」

犬「いえ、一部屋でお願いします」

宿主「ふーん、じゃコレ鍵ね。あと、うちは温泉が裏に湧いてるから、部屋にシャワーはついてないよ。アンタ達、温泉わかる?」

犬「温泉……はい。わかります」

初代「…オンセン」

 

宿主「絶対に飛び込んだり泳いだりするんじゃないよ」

犬「はい、わかりました(この世界で温泉なんて珍しい)」

初代「…」

宿主「じゃ、ごゆっくり」

 

 

     ○

 

 

in部屋

 

犬「うわぁ…(土足厳禁の畳部屋なんて……旅館みたいだ)」

初代「おい」

犬「はい、何でしょう。初代様」

初代「さっき言ってた“オンセン“って何だ」

 

犬「初代様、温泉は初めてですか?」

初代「ああ、簡単に説明しろ」

犬「(温泉の、説明…)大きな、お風呂です」

初代「大きな、風呂…」

犬「(急に初代様が外国から日本にホームステイに来た男の子みたいに見える……なんか、かわいいな)気持ち良いですよ。行けば分かります」

初代「ふーん」

犬「い、行きますか?」

 

初代「は?一緒にか?」

犬「あ、はい。温泉なので。その、一緒に」

初代「お前からンな事言ってくるとは……今日はやけに大胆だな」

犬「へ?」

初代「っは、テメェも腐っても雄犬ってワケか」ニヤ

犬「え?あ(何か勘違いをされているような)」

初代「いいだろう。イキがってるテメェも珍しいからな」

 

犬(初代様。機嫌が、良い……?)

初代「一緒に風呂に入ってやるよ。おら、さっさと行くぞ!」

犬「あっ、は、はい!(初代様のタオルと浴衣を……!)」バタバタ

 

 

in脱衣所

 

 

犬「初代様、ここで服を脱ぎます」

初代「広いな」

犬「そうですか?(普通の広さの脱衣所だと思うけど)」ぬぎ

初代「…おう」ぬぎ

 

犬「初代様、こちらのタオルをお持ちください。湯船にはつけてはいけません」

初代「色々作法があんのな……つーか、テメェ。何今さら前隠してんだ」

犬「へ?」

初代「俺はもうテメェのなんて毎度見てんだから、隠す必要ねぇだろ」きょとん

犬「えっと、でも。明るいですし(他の人も居るし…)」

 

初代「っは。ったく、ここまで来て何照れてんだ。自分からこんなトコ誘っといてよ」

犬「あ、え?」

初代「まぁ、そういうのも、悪くはねぇけどよ」ご機嫌

 

ガラッ

 

初代「っ!」ビクッ

 

他の客「良い風呂でしたねぇ」

他の客「まさか、こんな宿があるなんて」

 

ゾロゾロ

 

初代「は!?」

犬「へっ?」

 

初代「おいっ!犬!何で他の奴らが居んだよ!」コソ

犬「えっ、あっあの。お、温泉ですし?」

初代「温泉っつーのはデカい風呂じゃねぇのか!?」ずいっ

犬「そっ、そうです!皆で入る大きなお風呂でっ……うわっ!」

初代「皆でって……このボケが!何でそれを早く言わなねぇ!早く服を着ろ!このクソ犬が!」ゴソゴソ

 

 

初代様は他の客に見られないように急いで犬に服を着せたよ!

 

 

犬「え、あの…温泉は?」

初代「あ゛ぁ!?ダメに決まってんだろうが!何言ってんだ!」

犬「で、でも…部屋にシャワーは無いって」

初代「我慢しろ」

犬「で、でも。戦闘で、す、凄く…汗を、かいて」

初代「おい、返事は何て教えた?」

 

犬「…はい(なんでだ?さっきまであんなに機嫌が良さそうだったのに)」

初代「あぁぁぁ、クソ。なんつー宿だよ。ありえねぇわ」

犬(久しぶりに、シャワーじゃない湯船に……つかってみたかった)しょぼん

初代「…ンだよ。何か文句あんのか?」

犬 フルフル

 

初代「ウザ、なんだその態度。犬の癖に、俺に立て衝くのか?あ?」

犬 フルフル

初代「あ゛ーーーー!先に部屋に戻ってろ!」ガンッ!

犬「っ!!」びくっ

 

他の客「どうしたんだ?」

他の客「喧嘩かぁ?」

 

初代様「っ!クソっ!」

犬「っはい!申し訳ございませんでした(やばい!ちゃんと我慢しないと!)」ぺこ

初代「さっさと行け!」フイ

 

犬「…はい(怒らせてしまった…でも、ここで土下座なんてしたら、もっと怒らせてしまうから…)」タタタ

 

初代「あー。クソッ、貸切にしたら…いくら掛かんだよ」スタスタ

 

 

この後、初代様はけっこうな金額と最高の愛想、そして勇者の地位を使って、宿の温泉を「家族風呂」化させたよ!

 

 

 

〇おまけ〇

 

初代「勇者は他者に肌を晒してしまうと、その力が弱まってしまうんです。どうか、そこをお願いします」

宿主「とは言ってもねぇ、他のお客さんも居るしねぇ」

初代「これでどうですか?」スッ

 

宿主「っ!勇者様の頼みとあれば仕方ないね!自由に使いな!」

初代「ありがとうございます」にこ

 

スパーーン!

 

初代「犬!オンセンに行くぞ!…って、テメェ何土下座してんだ?」

犬「へ?温泉?」

 

 

犬、初代様に謝るべく土下座でずーっと部屋に待機してたよ。

いつか、浴衣温泉R18を書きたいね!