番外編27:初代様は猫派?もちろん、(初代×犬/少しせがれ)

 

——旅の途中

立ち寄った街の領主の家

 

にゃあ、にゃあ

 

初代「す、凄い数の猫ですね」

犬(た、確かに)

 

領主「可愛いでしょう。私は猫に目がなくて。ほら、おいで」にこにこ

フイ

 

領主「まったく、私より勇者様の方が良いようだ」にこにこ

 

にゃあ、すりすり

初代「へ、へぇ。カワイイデスネ(うぜぇぇ。服に毛が付くだろうが。寄ってくんなや)」

犬(初代様、絶対ウザいって思ってる)

 

にゃあ

領主「お、急に甘えてきたな?このね、猫の気まぐれで高貴なたたずまいがなんとも言えずに好きなんですよ…」感嘆

 

にゃあ、にゃあ

 

初代「そうですか(ウザ過ぎ…早く部屋に案内しろや)」すん

犬(初代様、絶対に早く部屋に案内しろって思ってる…)

 

領主「勇者様も是非、魔王討伐後には猫を傍にお置き下さい。きっと闘いで疲れた勇者様の心を癒してくれるでしょう」

初代「エエ、ソウシマス(ダル)」スン

犬(気のない返事だなーー。でも、初代様と猫、か……)

領主「あの、お連れ様もどうですか?猫は」

 

犬「っへ!?あっ、えっと(急に陰キャに話かけないで!)」オロオロ

初代「お連れ様ではありません。ツレです」ズイ

領主(ど、どう違うんだ……?)

 

領主「あの、ツレの方はどうです?猫は?」

 

にゃあ、にゃあ

 

犬「あっ、あっ、あの。お、俺は、俺(お、俺って猫好きだっけ?なっ、なんか寄ってきた!なんだっけ?ってか話しかけないで!?皆して、こっち見ないで!?)」オロオロ

 

にゃあ、にゃあ

 

領主「どうされました?具合でも」

初代(ったく)

 

初代「ツレの具合が心配なので、部屋をお借りしてもいいですか?」

領主「そうですね。すみません、つい話し込んでしまって」

初代「(マジだわ)さ、行くぞ。荷物を忘れるな」

犬「はい!(良かったぁぁぁ)」ススス

 

領主(忠義そうな配下をお持ちだ。まるで犬のようではないか)感心

 

      〇

 

in部屋

 

犬「初代様」スス

初代「あ?」

 

犬「先程は、配慮してくださってありがとうございます」ペコ

初代「おう、感謝しろ(コイツ、俺にはスルスル喋るようになったな)」

犬「はい!」ぺこ

初代「(懐いてきた証拠か)いいじゃねぇか」

犬「?」

 

コンコン

 

領主「勇者様?いらっしゃいますか?」

 

犬「っ!」ビクッ!

初代「(んだよ)はい」

 

ガチャ

 

領主「あの、今晩はこの子達をお供にお付けください。この子達はうちの中でもトップクラスに毛艶が良い」

 

にゅあ!にゃあ!

 

初代「(いらねーー!)あ、いや。猫は……」

領主「はい、どうぞ」ひょい

初代(いらねーーー!)

 

にゃあ!

 

犬(初代様、絶対に「いらねーー!」って思ってる)

領主「あ、此方のこの子はツレの貴方様に」ひょい

 

犬「っあ、えと、あの……!(俺の事は居ない者として扱ってくださいーー!)」オロオロ

領主「大丈夫ですよ?噛んだりしませんから」

犬「あ、あ、あ、はい(話しかけられるくらいなら、噛まれる方がマシ!)」コクコクコク

 

初代「…あの、ツレは具合が」

領主「あぁっ、そうでしたね!ではこちらも勇者様に」ひょい

初代「あ、ありがとうございます(両手に猫…)」

犬「あっ、あっ(俺がモタモタしたせいで、初代様の両手に猫が)」

領主「では、良い夜を」

 

バタン

 

初代「……」

犬「初代様!申し訳ございません!猫を俺に」

初代「いい」ぽい

 

にゃあ、にゃあ

 

初代「そんな事より、メシはどうする予定にしてる」

犬「はい、昨日の食事を温め直します。すぐに準備は出来ます」スラ

にゃあ

 

初代「よし、ここは朝イチに出る。準備しとけ」

犬「はい、わかりました」スラ

にゃあ

 

初代「この街で買えなかった道具はあるか?所持金は?」

犬「この街で粗方のものは買いそろえられました。鉱石が若干足りませんが、次の街まで持つとは思います。所持金はまだ余裕があります」スラスラ

にゃあ

 

 

初代「よし、分かった。今すぐメシの準備をしろ。行け」

犬「はい!厨房を借りてきます!」タタ

 

にゃあ!

 

初代「おい、犬」

犬「っはい!なんでしょうか、初代様」ピタ!タタタ!

初代「(いいじゃねぇか)よし、行け」

犬「…?はい!行ってきます!(何で呼ばれたんだ?)」タタタ!

 

バタン

 

にゃあ、にゃあ!

 

初代「うっせーな。そんなに撫でられてぇのか?」

 

にゃあ!

 

初代「じゃあ、撫でてやる。来い」スッ

 

フイ

 

初代「……」スン

 

——気まぐれな所がまた可愛くて。

 

初代「……これのどこが可愛いってんだ」

 

——–はい!初代様!

 

初代「……犬の方が断然可愛いじゃねぇか」

 

        〇

 

部屋の外

 

犬(あわわ、食材忘れたから取りに来たけど……ちょっと、ドキっとしてした)

 

—–犬の方が断然可愛いじゃねぇか。

 

犬「(へへ、俺は関係ないけど何か嬉しいな)……ふへ」

 

ガチャ

 

初代「あ?」

犬「っ!!」ビク!

 

初代「おい、何やってんだ。メシは?」

—–犬の方が断然可愛いじゃねぇか。

 

犬「っ!すみません!」

初代「おい、ニヤニヤしてんじゃねぇよ、気色ワリィな。さっさと行け」

犬「っは、はい!」タタタ!

 

 

初代(さっきの聞かれてねぇよな!?)

犬「(あ、もしかして……初代様が本物の犬を飼ったら、闇堕ちしないのでは……?)……っあ!食材!」タタタ!!

 

 

確かに、犬が居たら闇落ちしなかったね!

初代様は自分に従順で、自分にしか懐かない犬が一番好きだよ!

 

 

 

〇おまけ〇

 

in魔王城

 

せがれ「けゆべよす!」

ケルベロス「わんっ!」ダダダダダ!

せがれ「ふへ、ばいばい!」手ふりふり

ケルベロス「わんっ!」戻

 

せがれ「けゆべよす!」

ケルベロス「わんっ!」ダダダダダ!

せがれ「ふへ、ばいばい!」手ふりふり

ケルベロス「わんっ!」戻

 

せがれ「けゆべ…」

 

初代「おいっ!せがれ!ケルベロスで遊んでんじゃねぇっ!」

初代「ったく。ガキの癖に性格捻じ曲がった遊びしやがって、誰に似たんだか」

犬「……(俺も、よく意味なく呼びつけられたなぁ)」遠い目

 

血は水より濃いね!