プロローグ:とある天才について書かれた著書

 

 

私の父は天才である。

 

神は父に二物を与えた。美しい容姿と天才的な頭脳だ。しかし、神はその代償として父から“一つのモノ”を奪った。

 

それは、「他人の話を聞く耳」である。

 

父はいつも自分のアイディアの話ばかりをする。そして、他人の言葉には一切耳を傾けようとしない。

しかし、だからこそ父は「天才」足りえたし、現代の魔科学の技術を千年先の未来まで進歩させる事が出来たと言える。

 

もう一度言おう。

私の父は天才である。

 

 

……でも、私は知っている。父の傍には、より偉大な「凡人」がいた事を。