番外編3:独りが寂しいって気付けるのは、独りじゃなくなった時なんだよ

 

≪前書き≫

此方のお話は【番外編2:飯島、アオイの脱毛サロンへ】の後のお話です。

※未読の方は其方から先に読まれる事をお勧めします。

 

その為、アオイはタローの【コタロー日記】を見ている状態です。

ほぼ、タロー視点。

 

完全にR18です!

二人が若干ズレながらも、本能的にピッタリくっついてイチャイチャしております。

 

そして、アオイの腹の中での凄まじいツンの補填は、今の皆様なら完全再現できると思います。

託しました!

 

少し長いですが、どうぞ^^

 

 


 

 

 

—–たろーさん……、毛の無いセックスは、どうだった?

 

 

 それは、アオイさんが初めて出張脱毛をしてくれた日の事だ。なんだか、色々と凄い事があり過ぎて理解が追いつかない俺に、帰り際、アオイさんは言った。

 

「タローさん、連絡先を交換しませんか?」

「えっ?」

 

 アオイさんはいつものニコッと音が聞こえてきそうな程の笑顔を浮かべながら、スマホを此方に差し出して来た。

 え?今なんと言った?連絡先を交換?え?俺とアオイさんが?

 

「……」

「あ、やっぱり嫌ですよね。脱毛サロンのスタッフに連絡先を教えるのなんて」

「っ!あ、ち、違います!あの、えっと」

 

 あぁっ!俺の返事が遅くなったせいで、アオイさんに悲しそうな顔をさせてしまった。俺ときたら、普段誰からも「連絡先を交換しましょう」なんて言われないせいで、完全に思考が止まってしまっていた。

 

「あの、むしろ……いいんですか?俺みたいな客に、連絡先を教えてしまって」

 

 そう、問題はソコなのだ。

 普通は客に自分の連絡先なんて教えないと思う。というか、嫌だろう。頻繁に連絡とか来るかもしれないし。そんな事になったらアオイさんは、いつ、どこに居ても仕事の事を気にしなければならなくなる。そんなの、余りにも可哀想だ。

 

「俺からお願いしてるんですよ?いいに決まってるじゃないですか」

「……ほ、本当に?」

「ええ。だってこれからも施術は長く続きますし。脱毛の具合とか色々とタローさんからも相談に乗ってもらいやすい環境があった方が安心じゃないですか?」

「っ!」

 

 凄い、アオイさんは本当に凄い。

 この人は本当にプロだ。ここまで一人の客に気持ちを傾けられるなんて。やっぱり俺はアオイさんを推して本当に良かった。俺は、推しを見る目がある。

 

「あっ、ありがとうございます!それなら是非、連絡先を交換してください」

「はい、よろしくお願いします」

 

 そうやって優しい笑みを浮かべるアオイさんに、俺は慣れない手つきで連絡先を交換した。普段は誰とも連絡先を交換しないので、イマイチやり方が分からなかったけど、アオイさんが丁寧に教えてくれた。本当に優しい。

 

「この【設定】から、自分のアカウントのコードを表示して……」

「ここ?」

「あっ、ソッチじゃなくて」

「え?」

 

 完全に孫と祖父みたいになってしまった。もう、これはデジタル介護だ。きっと、アオイさんみたいな人なら脱毛サロンじゃなく、デジタル介護の仕事に就いても、きっと上手くいくと思う。

 ……デジタル介護って何だ?

 

「じゃあ、タローさん。また来ますね。次回の予約についても、これからはここに連絡して頂ければ大丈夫なので」

「はい!」

 

 そう言って、ヒラヒラと自分のスマホを見せてくるアオイさんに、俺はやっと合点がいった。

 あぁ、そうか。あのスマホはアオイさんの「仕事用」のスマホなんだ。そりゃあそうだ。俺みたいな客に、プライベート用の連絡先を教えるワケがない。出張までしているくらいだから、それ専用のスマホを持っているのだろう。

 

「今日はお話出来て良かったです。ありがとうございました。何かあったら気軽に連絡してくださいね」

「はい!こちらこそありがとうございました」

 

 また、お店で!

 そう、部屋から出て行くアオイさんを、俺は外まで見送った。振り返り様に手をヒラヒラと振ってくれるアオイさんは、夜でもパッと明るく見えるくらい素敵だ。やっぱり推しはどこに居ても輝いて見える。

 

「結局、出張費用もいらないって言われちゃったし……申し訳ないなぁ」

 

 せめて帰りのタクシー代だけでも、と言ったのだが頑なに断られた。あんまりしつこく言うと、ほんの少し。本当に少しだけ、アオイさんがムッとした顔になるので、それ以上は言えなかった。

 アオイさんが帰りつく頃「無事に帰れましたか?」ってメッセージを送ってもいいだろうか。

 

——–脱毛の具合とか色々とタローさんからも相談に乗ってもらいやすい環境があった方が安心じゃないですか?

 

「……脱毛以外の事で連絡したらダメだよな」

 

 連絡先を教えて貰ったからと言って、あまり調子に乗らないようにしないと。そんな事を思いながら、俺は部屋に戻った。

 すると、その瞬間、独特の匂いがツンと鼻先を掠めた。

 

「ぅ、あ……コレ」

 

 とっさに顔に熱が集まる。

 それは、まごうことなき精液の匂いだった。

 俺はまた、性懲りもなくアオイさんの前で射精してしまったのだ。でも、今回はアオイさんも……。

 

—–ね、タローさん、挿れていい?

「っか、換気しないと」

 

 下半身、特にお尻の穴に感じる違和感から目を背けるように、俺は窓に手をかけた。でも、結局俺は窓を開けなかった。

 

「……はぁ、コレ。アオイさんの匂い」

 

 完全にド変態だ。

 ただ、分かっていても、クンクンと部屋の匂いを嗅ぐのを止められない。自分の匂いが殆どだろうけど、確実にこの中にはアオイさんのも混じっている。そう思うと、もったいなくて換気出来なかった。

 

 そして、俺は独特な匂いの充満する部屋の中で、再びスマホを見た。

 

「ふへ、アオイさんの連絡先だ」

 

———-

 高梨アオイ

———-

 

 学生時代の友人達以降、初めて追加された連絡先。その名前に、俺は布団にもぐった後もずっとその名前を見つめていた。たとえ、仕事用だとしても、アオイさんと繋がりがあるのは嬉しい。

 きっと、次に連絡を取れるのは予約を取った一カ月半後だろう。「脱毛、明日はよろしくお願いします!」くらいならメッセージを送ってもいいだろうか。それまで、アオイさんと会えるのも、連絡を取るのも我慢だ。

 

「あーぁ。長いなぁ」

 

 と、そう思っていたのだが――。

 

 

俺はその二週間後、驚いた事にアオイさんからメッセージが届いた。しかも、予想外も予想外の内容で。

 

——–

タローさん、今晩。先日と同じ時間に、ご自宅にお邪魔してもよろしいですか?

——–

 

 アオイさんはまたウチに?どうしたのだろうか。まだ次の予約まで、しばらくあるのだが。

 すると、俺の疑問を画面の向こうで感じ取ってくれたのだろう。アオイさんからのメッセージが更に続けて表示された。

 

——–

脱毛の効果がどれくらい出ているのか、確認させて頂きたくて。なので、処理はされなくて大丈夫です!

——–

 

 あぁ、そうか。脱毛の経過を見てくれようとしてくれてたんだ。本当にあおいさんの脱毛は手厚い。

 

 でも、お客さん一人一人にこんな事をしていたら、アオイさんは余り休みを取れないんじゃないだろうか。と、やっぱり少しだけ不安になる。

 若いから余り疲れを感じないかもしれないが、過労で倒れたりしないよう体にだけは気を付けて欲しい。

 

——–

アオイさん、お忙しいようでしたら別の日に休みを取ってお店に伺いますが、どうでしょうか?

——–

 

 そうだ。俺が休みを取ってお店に行けば問題ない。そうすれば、アオイさんも無駄にうちまで来る必要もないだろうし。そう思ったのだが――。

 

——–

気を遣って頂いてありがとうございます!俺は全然平気なので、タローさんは何も気にされないでくださいね。

——–

 

「や、優しいぃっ!」

 

 俺はスマホを両手で握りしめながら、思わず声に出してしまった。

 

「あ?」

「ん?」

 

 その瞬間、ここが自宅ではなく職場である事を思い出しハッとする。キョロキョロと辺りを見渡すと、近くに居た後輩二人が驚いた顔で此方を見ていた。もちろん先程の奇声も聞こえていたようだ。恥ずかしい。

俺はすぐにスマホに向かうと、急いでアオイさんに返事をした。

 

——–

アオイさん、ありがとうございます^^

今日はどうぞ、よろしくお願いします!

——–

 

 なんという事だろう!

 急にアオイさんに会える事になってしまった。俺は降って沸いた推しのライブに、顔がニヤけそうになるのを必死に堪えた。良かった。俺、顔に感情が出にくいタイプで。

 ただ、次の瞬間。さすがの俺のポーカーフェイスも脆く崩れ去ってしまった。

 

ポンッ。

「っっっっ!!」

 

 ポンッと画面に映し出されたのは、なんと!「好きピ」の葵ちゃんの「待っててね!」というスタンプだった。それを見た瞬間、俺は完全な悲鳴を上げた。

 

「っひうぅぅっ!」

 

 アオイさんから葵ちゃんのスタンプが来た!嬉しい!推しから推しのスタンプが来るなんて……!

 これぞまさしく「好きピが好き」状態である。最早、周囲に後輩二人が居る事など一切気にせず、俺はスマホを天高く掲げた。そして、ひとしきりメッセージを拝み倒すと画面スクショをして大切な大切な「推しフォルダ」へと、その画像を格納した。

 

 今日は本当に良い日だ。

 その日、俺は午後からの仕事を爆速で終わらせると、周囲からの目など気にする事なく定時で職場を後にした。

 今日もアオイさんに会える事が、俺には嬉しくて堪らなかった。

 

 

        〇

 

 

 これは宮森タローが爆速で職場を駆け抜けて行った後の、オフィスでの会話である。

 

「いやぁ、宮森さん。今日は一際楽しそうだったなぁ」

「ガチャで推しでも当たったのかね」

「推し……あれは、十中八九アオイさん絡みだな」

「は?今日は火曜日だろ。アオイさんが絡んで元気になるのは有給前の水曜の筈じゃ……」

「いや、あれは絶対にアオイさんだよ。今の宮森さんをあそこまでテンション爆上げできる“推し”は、今はアオイさんしか居ない」

「……アオイは選ばれし者だったのか」

「まぁ、答えはそのうちコタロー日記に書かれるだろうからさ。楽しみに待ってようぜ」

「そだな」

「……もしかすると、あのブログ推し本人も見てるかもしれないし」

「は?何か言ったか?」

「いや、ちょっとな」

 

 そう、どこか楽しそうに飯島が笑って数分後の事だ。

 予想外のシステムエラーにより、またしても深夜残業になってしまう事を、今のこの二人はまだ知らない。

 

        〇

 

 

「こんばんは、タローさん」

「こっ、こんばんは!」

 

 アオイさんが来た。また、俺の家に来てくれた。

 

「タローさん、凄く嬉しそう。何か良い事でもあったんですか?」

「はい!」

 

 アオイさんに会えたからです!

 いつもの素敵なにこにこ笑顔で現れたアオイさんに、俺は嬉しくて仕方が無かった。良かった。ちゃんと定時に上がれたお陰で、部屋の掃除も出来たし、お洒落なジャージを見繕う時間も取れた。まぁ、結局いつもお店に行く時と同じジャージに落ち着いたけれど。

 

「じゃあ、おじゃまします」

「はい、どうぞ!」

 

 前回もそうだったが、家に出張で来てくれる時はスクラブを着てないので私服姿だ。もちろん、お洒落。あぁ、推しのプライベートの一端を垣間見る事が出来るなんて、本当に有難い。

 

「タローさん、今日は急にすみません」

「いえ。こちらこそ、わざわざありがとうございます!」

「何か気になる事とかなかったです?」

「はい、大丈夫です!」

 

 タローさんを部屋に案内しながら、できるだけハキハキ答えた。俺は気を抜くと、すぐにボソボソ喋りになってしまうので、アオイさんと居る時は少し意識するようにしている。

 

「そういえば、タローさん。せっかく連絡先を交換したのに何の連絡もないので少し心配してました」

「え?」

「もっと気軽に連絡して貰っていいですからね」

「で、でも」

 

 アオイさん、俺の事を心配してくれてたんだ。やっぱり凄く優しい。

 本当は俺もアオイさんに連絡したくて、必死に脱毛の質問を考えたけど、丁度良いモノが思い浮かばなかったのだ。そんな俺に、アオイさんはサラリと続ける。

 

「好きピの感想でも、他の漫画の事でも。何だっていいですから」

「っ!」

 

 アオイさんの言葉に、俺は息を呑んだ。

 え、いいの?本当に?

 

「い、いいんですか?脱毛の、事じゃなくても」

「もちろんです。脱毛の事じゃなくても、何でも好きに送ってください」

 

 いいのかな。本当に、いいのかな。

 推しに、そんな。ライブの感想以外を送っても。分からない。ファンは自制しないと、すぐに調子に乗って推しに迷惑をかけてしまうから。アクセルとブレーキを踏み間違ったら大事故に繋がる。

 

「じゃあ、俺もこれからは、何でもない事もタローさんに連絡しようかな?」

「~~~っ!」

 

 そ、そんな!まさか、アオイさんの方から俺に連絡してくれる事があるなんて!しかも「何でもない事」を。

 そんな、そんな!ファンサが凄すぎじゃないか。こんな事をしたら、アオイさんファンの過激派は、絶対に勘違いしてしまうだろう。アオイさんは優し過ぎる。気を付けないと、今は物騒だから――、

 

「いいですか?タローさん」

「も、モチロンです!」

「タローさんも連絡してくれます?」

「し、します!絶対に!」

 

 どうしよう。理性と本能で、本能が圧勝してしまった。弁える部分だったのかもしれないけど、推しにこんな事を言って貰えて、自制できるファンがどこに居ると言うんだ!

 

「良かった。じゃあ、タローさん」

「はい!」

「そろそろ、お風呂場に行きましょうか?」

「へ?」

 

 突然、アオイさんは肩にかけていた鞄をゴソゴソ漁り始めると、中から普段俺が見た事のないようなカタチの剃刀を取り出した。なんだか、凄く滑らかなカタチをした、いかにもプロっぽい剃刀だ。

 

「VIOの脱毛の効果がどこまで進んでいるのか、見せてください」

「あ、あ。そ、そうですよねっ」

 

 そうだった。今日はアオイさんに脱毛の効果がどれだけ出ているか見て貰うんだった。だから、今日も俺はアオイさんの前で下半身を晒さなければならない。すっかり頭から抜け落ちていた事実に、体がジワリと汗ばんできた。

 

「……っぅ」

 

 でも、何でお風呂なんだ?何で剃刀?

 

「毛の太さを、剃りながら確認させて貰いますね?」

「あ、あ、はい!」

 

 そんな俺の疑問は、にこにこと優しい笑みを浮かべるアオイさんの前で消え去った。そっか、毛の太さを見ないといけないのか。本当にアオイさんの仕事は丁寧だ。でも、一つだけ気になる事がある。

 

「あ、あの。アオイさん」

「どうしました?タローさん」

 

 俺はアオイさんの視線に体温が急激に上がっていくのを感じながら、絞り出すように言った。

 

「お風呂場は、掃除してなくて……だから、汚いので。ごめんなさい」

 

 そう言った俺に、アオイさんは「ぶはっ」と、激しく吹き出したのであった。

 

 

        〇

 

 

 シャリ、シャリと剃刀が肌の上を滑る音が聞こえる。

 

「うん、大分薄くなってきてますね。順調ですよ、タローさん」

「は、い」

 

 その音に重なるように、アオイさんの優しい声と言葉が反響する。そっか、お風呂場でアオイさんの声を聞くとこんな風に聞こえるのか。本当に、ちょっとしたライブ感。

 

「うん、毛も細くて処理がしやすい状態になってます」

 

 言いながらアオイさんの指が、まだ剃られていない陰毛に触れる。毛先にだけ触れられるその感覚に、俺はヒクと背中を揺らした。

 

「……んっ、はぁっ、ぅ」

「大丈夫ですよ、タローさん」

 

 アオイさんの、いつもの優しい声かけ「大丈夫ですよ」。こう言って貰っている時の俺は、基本大丈夫じゃない時だ。

 今も、まさにそう。

 俺は肩で息をしながら、視界が揺らぐのを感じた。目の前には、俺の足元に跪くように腰かけるアオイさんの姿。

 

「あおい、さ……。も、いつも……ごめなさ」

「大丈夫です」

 

 俺は現在、上はジャージ、下は丸裸の状態で浴槽の縁に腰かけ、アオイさんに毛の処理をされる。もちろん、既に俺のちんこは完勃ちの状態だ。いや、勃起しているのは、最早いつもの事なのだが、今回のは更に性質が悪かった。

 

「っふぅ、ん」

「タローさん。……クリーム、足しますね」

「っは、い」

 

 またアオイさんに下半身を見られるんだ、と改めて自覚した瞬間から、俺のちんこは既に緩く勃起していた。あり得なさ過ぎる。これじゃあまるで触って貰う事を期待していたみたいじゃないか。

 ……いや、ちょっとしてたけど。

 

『タローさん、ここに腰かけてください?』

 

 しかし、いつもの如くアオイさんは、そんな状態など気付かないフリをして、優しい言葉をかけてくれた。

 もう、アオイさんは本当に優しい。気遣いの鬼だ。それなのに、俺ときたら。

 

「ふぁっ……んっ、ふぅ」

 

 毛の上から肌にクリームをグリグリと塗り込まれる動きに、思わず声を上げてしまった。風呂場に居るせいで、声の反響が凄い。気持ち、悪い。

 

「っぐ、ぅ」

 

 俺がいつもより強めに口を手で塞いだ瞬間、バチリとアオイさんと目が合った。微笑む涼し気な目元に反して、アオイさんの額には分厚い汗が浮かんでいた。

 

「タローさん、声。我慢しなくて良いですからね」

「で、も」

「俺、タローさんが気持ち良さそうにしてる声、好きですよ。痛くないんだって安心出来るので」

 

 あ、そうか。アオイさんは施術者として、お客さんが痛かったり苦しかったりするのを気にしてくれているんだ。そりゃあそうだ。

 

「だから、お願いします。声、我慢しないで。タローさん」

「……あ、オイさん」

 

 跪いた体勢のまま上目遣いで、そんな事を言われてしまえば俺の手はソロソロと再び浴槽の縁に戻る。そんな俺の動きにアオイさんは満足そうに微笑むと、シャリシャリと再び剃刀で俺の陰毛を剃っていた。

 

「ん。アオイさん。もっと、足拡げられますか?」

「ぁ、い」

 

 もうこれ以上は開かないというくらい、股を開く。これは脱毛行為の一環なのに、肌に触れるアオイさんの手が気持ち良くて仕方がない。

 

「っはぁ……ッん、っふぅ……」

「タローさん、気持ち良いですか?」

「っひ、もちぃっ……」

「良かった」

 

 いつものように施術台に寝ているワケではないので、行為の全てが見えてしまう。勿論、俺の勃起するちんこも丸見え。ダラダラと流れる先走りが、クリームやアオイさんの手を汚す。恥ずかしい。顔が熱い。ちんこも熱い。もう、体中全部熱い。

 

「ん、Iラインもちゃんと薄くなってますね」

「あぁッ…っん!」

「ここ、凄くフワフワして気持ち良いですよ?タローさんのIライン。ちゃんと保湿してる証拠ですね」

 

 「エライ、エライ」と、アオイさんが褒めてくれる。嬉しい。その間も、アオイさんはサスサスと俺の股の間を指の先で擦ってくる。

 

「ふふ、フワフワで気持ちいから……ずっと触っていたいです」

「っっはぅぅっ」

「ね、タローさん。ずっと触ってていい?」

 

 アオイさんの口調から、少しだけ敬語が取れ始める。この喋り方を聞くと、あの日の事を思い出してしまう。あの日、お尻にアオイさんのちんこを挿れて貰った日の事を。

 

「あおい、さんの……好きに、して、く、ださいっ」

 

 俺はアオイさんの問いかけに、コクコクと必死に頷いた。すると、俺の足の間で、アオイさんが少しだけ苦しそうな声で「タローさん、可愛すぎ」と言う。

 可愛いワケない。俺はただのオタクで、オッサンで。どちらかと言うとキモイ筈だ。でも、でも――!

 

「っはぁ、かわい。タローさん、タローさん」

「っん……ふぅぅっ」

 

 アオイさんに可愛いと言われると、本当にそうなんじゃないかって勘違いしそうになる。俺って可愛いのかな?なんて。おこがましい事を。

 そんなワケ、ある筈ないのに。

 

「ッふぅ。あっ、あっあっ!ひぃっ」

「タローさん、きもち?ねぇ。もう、イきそう?」

 

 いつの間にか、アオイさんが俺のちんこを上下に扱いている。その手は、クリームと俺の先走りで、もうドロドロのヌルヌルだった。いつの間にか剃刀は床に置かれ、アオイさんは片方の手でちんこ全体を擦りつつ、もう片方の手でツルリと顔を出した亀頭を爪で引っ掻いてくる。

 

「っひっふ、っぁぁああっ!あっ、おいさぁっ!」

「タローさん、腰が、凄い揺れて……顔も、凄いトロンとしてかわいっ」

 

 あ、また可愛いって言われた。

 此方を見上げながら、優しく、でも少し上擦った声で「可愛い、可愛い」と口にするアオイさんに、俺は腹の底からせり上がってくる凄まじい衝動の先に眩い程の光を見た気がした。

 

「あお、いさっ!」

「っ!」

 

 その衝動に突き動かされるように、俺は思わず浴槽に付いていた両手を離し、アオイさんの頭に抱き着いた。

 

「アオいさん、アオイさん、あおいさん、あおいさんッ……も、かっこ、いぃっ」

 

 あぁ、俺。何てことしてるんだ。でも、抱きしめたくなった。アオイさんの体を。ぎゅってしたくて堪らなかったんだ。その間も、アオイさんの手は止まらない。それどころか今まで以上に激しく擦り上げられ、尿道に指をねじ込まれるような感覚まで加わった。お腹の所でアオイさんお苦し気な呼吸音が聞こえてくる。

 

「っはぁぁ……!んっ、ぁ、あ、あッ、も、おれ、イくぅっ」

「ん、いいよっ。イって……俺の手で気持ち良くなって」

「っぁぁあっ!」

 

 イった。俺は、再びアオイさんの前で射精してしまったのだ。

 浴室に響く気持ち悪い自分の声に、俺は更にアオイさんの頭を抱き締めた。フワフワの髪の毛が気持ち良い。

 

「ん、ふぅ。あおい、さの髪……きもち」

「……」

 

 無意識にアオイさんの髪の毛に指を通す俺に、再び目の前が光った。

 

「っひゃぅ!」

「……タローさん、Oは……あんまり生えてないですよ」

 

 ビクリと体を揺らす俺の腹で、アオイさんのくぐもった声が聞こえた。

 スリスリと、アオイさんの手が滑るのは俺のお尻の穴の回り。ボウッとする意識の片隅で、その指に熱い期待が募る。

 

「タローさん……ここ、ヒクついてるね」

「ッん」

「もしかして、期待してる?」

 

 尋ねると同時に俺の抱きしめていた腕をどかし、アオイさんの瞳がバチリと俺を映す。色素の薄い茶色の瞳は、いつもの優しさなど欠片もなくて、ただただ、物凄く熱かった。

 

「ぅ、あ……の。おれ……」

「言って、タローさん。言ったらその通りにシてあげる」

 

 アオイさんをジッと見下ろすと、服の上からでも分かるほど勃起する、アオイさんの下半身が見えた。

 

「あ、おいさ」

「ん?」

「あ、あの」

 

 ん?と優し気な声で尋ねられ、ジッと此方を見つめられると、いくら恥ずかしくても目が逸らせなくなる。だって、アオイさんは推しだ。推しがこっちを見てくれてるのに、ファンから目を逸らすなんて、もったいない事出来ないじゃないか。

 いいのかな。言って、いいのかな。

 

「い、いいん……ですか?あの、言っても」

「もちろんです。どんな事でも、何でも好きに言ってください」

 

 ジッと、欲を孕んだ瞳でそんな事を言われてしまえば、お尻の穴が更にヒクついてしまう。期待してしまう。本当に何でも好きに言っていいんだって。アオイさんなら引かずに全部シてくれるって。

 

「言って、タローさん」

「っふ、ん」

 

 畳み掛けられると同時に、先程射精した俺の生ぬるい精液が、緩く勃ち上がりかけているちんこを伝って、お尻の穴の方まで流れ込んだ。

 あぁ、もうダメだ。ガマン出来ない。

 

「アオイさんの……ちんこ、いれて……ほしい、です」

 

 お尻の穴にアオイさんの指の先がズプリと入り込んで来た。そして、アオイさんは口元に薄く笑みを浮かべて笑った。

 

「俺も、タローさんに……挿れたい」

 

 

 その言葉に、俺はたまらずアオイさんの体に抱き着いた。

 頭の片隅で思う。俺は、完全にアクセルとブレーキを踏み間違えてしまった、と。

 

 

        〇

 

 息が上がる。

 

「っはぁ、っは、っはぁ」

 

 グチュグチュという卑猥な音が浴室に反響しながら響き渡った。ほんとに。ちょっとしたライブ感だ。ただ、視界の片隅に映る少しだけカビた壁の一部が家の浴室である事を知らしめてくる。

 あぁ、こんな事ならちゃんと掃除しておくんだった。

 

「ったろーさっ、考えごとっ?」

「んぁっ!」

 

 精液とクリーム塗れのちんこをアオイさんに擦られながら、下からアオイさんに激しく突かれる。

 

「タローさん?ここ、狭いからタローさんが動いてくれないと、俺、辛いなっ」

「っご、っめんさい」

 

 俺の下で、本当に辛そうに眉間に皺を寄せて口にするアオイさんに、俺は膝立ちのまま上下に腰を振った。そうだ、騎乗位なんだから俺が腰を振らないと、アオイさんが苦しい思いをしてしまう。

 俺達は互いに下だけ脱いだ状態で、毛の無い下半身を擦り付け合っていた。あぁ、アオイさんの下半身も、なんだかふわふわしてて気持ちい。

 

「っは、イイっ!タローさ、ん。じょうずっ」

「っん、ん。っぁ、ふぅぅっ」

 

 上手、とアオイさんに褒められて、思わずお尻の穴をキュッと締めてしまう。

 そう、現在俺は狭い浴室の洗い場で、アオイさんのちんこをお尻で咥え込んでいる所だ。本当は、俺が挿れてくださいとお願いした時。アオイさんは俺を立たせて後ろから挿れようとしてくれていた。

 でも、俺からお願いしてこの体勢になったのだ。

 

——顔が見える体勢で、挿れて欲しいです。

 

 何でもシて欲しい事を言っていいと言われ、俺はどんどん調子に乗ってしまった。

 

「たろーさ、……かわいっ。俺の顔、ちゃんと見えてる?」

「は、ぃぃっ。見え、れますっ」

 

 俺は激しく腰を振りながら、目の前にあるアオイさんの顔をジッと見つめた。腰を振る度に、アオイさんの苦し気で、気持ち良さそうな声が響いてくるのが、堪らない。

 あぁ、良かった。恥ずかしがらずに、顔を見ながら挿れて欲しいって言って。

 

「っはぁ、ん。タローさ、キス……しよっか」

「ぁい」

 

 アオイさんの手が俺のお尻をギュッと抑える。確かに、腰を振っていたらキス出来ない。俺は、やり方など分からないまま、アオイさんの唇に自らの唇をくっ付けた。その瞬間、カチャリと眼鏡がアオイさんの顔に当たる。

 キスをする時、眼鏡って邪魔だ。こないだは外していたので気付かなかったけど。でも、今更眼鏡を外すのも面倒臭い。今は、もうアオイさんを離したくなかった。

 

「ん、っふ。んっぁふ」

「っふ、ん」

 

 ちゅっちゅっと、キスの音が耳の奥に響く。

 アオイさんの手が、俺の勃起するちんこを緩くこすってくれている。きもちい。キュッとお尻の穴を締めると、俺のナカでアオイさんのちんこが震えた。

 

「っはぁ、タローさん。動ける?」

 

 アオイさんの問いかけに、俺はコクリと頷くと再び腰を上下に動かした。俺の中でビクつくアオイさんのちんこが気持ち良くて可愛い。

 グチュグチュという激しい律動による音が、耳からも興奮を煽る。

 

「あっ、っんぅ……っひっぁ」

「っは……っく」

 

 あれ?これって今ナニをしてるんだっけ?セックス?施術?

 片隅に沸いた疑問は、次の瞬間には蒸発する脳みその中で、霧散して消えた。もう、何だっていい。だって、凄く気持ち良いから。

 

「タローさっ、すごっ。マジで、イイッ。俺っ。も、イきそっ」

「っはぅ、イッてくださっ!っぁ、おいさ、も……気持ち良くなって……っん」

 

 激しい律動の中、いつの間にか俺の片方の手は、アオイさんに重ね合わせるようにピタリとくっ付けていた。互いの指の間に指を絡ませ、たまに唇を合わせながら、ひたすら腰を振る。

 

 気持ちい、気持ちい気持ちいいきもちいい!

 

「っはっぁん!……きもちっ、ひもちぃ。あおいさぁっ!」

「っく」

 

 最後に、深く腰を下ろした瞬間、アオイさんも激しく腰を俺に向かって突き出した。目の前が激しく光を放つ。

 

「っはぁ、ぅ」

「……っは、さい、こう」

 

 互いの体にもたれかかるように上半身を預ける間で、俺の精液がピュルッと飛び散る。次いで、俺のナカにジワリと広がる生温かい感覚。俺は目の前のアオイさんの体に本能のままに抱き着くと、静かに目を閉じた。

 

「っはぅ……」

 

 うん、凄く気持ち良い。やっぱり毛の無いセックスは凄いんだ。……ん?俺がアオイさんとシているのはセックスでいいのだろうか?

 

「タローさ、マジで。かわいいわ」

「……ぅう」

 

 耳元で囁かれた言葉と共に、俺の背中に温かいモノが回される。多分、アオイさんの腕だ。

 これがセックスなのかどうなのか。童貞の俺には分からないが、もうどっちでも良い気がした。

 

「……きもちー」

 

 うん、やっぱり向かい合わせでシて良かった。

 俺はアオイさんに頭を撫でられる感覚に「次も顔を見ながらしたいな」と、ぼんやりと思ったのだった。

 

 

        〇

 

2月26日

【脱毛レポ ― 番外編 ― 】アオイさんと「サツバツるるぶ!」

 

コタローです^^

あれ?脱毛レポにはちょっと早いんじゃないかって思ったアナタ。

 

そうです!ちょっと早いんですけど、アオイさんがまたウチに来てくれたんです!脱毛の経過を見てくれるという事で来てくれたアオイさん(丁寧!)

だから今回は、脱毛をしたワケじゃないので「番外編」という事で記事を書きますね。

 

ここ数年、誰かと仕事の後に会う事なんてぜーんぜん無かったので、最近アオイさんがウチに来てくれるのが、ちょっと……いや、物凄く嬉しいです!

はっぴー^^

 

 

独りが寂しいって気付けるのは、独りじゃなくなった時なんだよ。

 

はい!この記事を読んでくれてる皆さんなら、すぐ分かったと思います!

『好きピ』の葵ちゃんが、芸能界の中でイジメに合い泥団子を食べさせられた時の台詞です。この台詞、最初に読んだ時は、よく意味が分からなかったんですけど、最近アオイさんと家から帰る時によく思い出します。

 

ほんとに、葵ちゃんは十六歳なのにスゴいなー!

三十五歳のおじさんにも色々と大切な事を教えてくれます^^ありがとー!

 

いや、葵ちゃんの話は置いといて……。(よいしょ)

アオイさんはお仕事で来てるのに、俺がこんな風に楽しんでたらいけないのは分かってるんですけど、でもやっぱり嬉しくて。

 

アオイさんが帰る時は少し寂しいです。

 

あ、俺の脱毛はちゃんと順調に進んでるみたいです(ほっ)

良かった良かった。

みなさん、俺は少しずつツルツルのコタローになってるみたいですよ!

 

あ、そうそう!もう一つ!

アオイさんが、うちから帰る時に「お勧めの漫画はありますか?」って聞いてくれたので、最近ハマった「サツバツるるぶ!」をお勧めして、なんと――!

 

貸しちゃいました(わーー!)

 

返すのは次の施術日で良いとお伝えしたんですけど、アオイさんは凄く真面目な方なので「読んだら持ってきます」って言ってくれました。

 

申し訳ない……申し訳ないけど……!!

でも、持って来てくれたら、その分アオイさんに会える機会も増えるので、俺は「分かりました」って言ってサヨナラしました(ずるい奴め!)

 

次に会う時は感想会もしましょうねって言って貰えたので、もしかしたら、また近いうちにアオイさんに会えるかもしれません^^ひゃー!

 

その時は、また報告しに来るので聞いてください。

それでは、番外編なので今日はこれくらいで!

 

ではまたー^^ふりふり!

 

 

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 これはとあるサロンの、然程広くないロッカールームの一角での出来事である。

 

「っふーーー」

 

 一人の若い男が、真っ白なスクラブに身をつつみ、その眉間に手を添えていた。頭は天を仰ぐように上空へと向けられている。そして、眉間を抑えている方と逆の手には、スマホが握りしめられている。

 

「……キモ過ぎだろ。マジで」

 

 口にされたその声は酷く上擦っており、男の口元は酷く歪んでいた。

 

「ヤバ、何アイツ。は?俺に会えるのがそんなに楽しみって?俺が帰る時寂しい?っは、これだから友達のいねぇ陰キャは秒で依存してくるからキモいんだわ。マジ無理。鳥肌立つわ」

 

 ブツブツと口にされる言葉は、それを向ける相手への罵詈雑言で彩られている。ただ、手の隙間から見える素肌は、異常な程赤く染まり、隠しきれていない耳などは、高熱にうかされる病人のように熱を帯びているのが見てとれた。

 

「キモ過ぎだから……早く読んで返しに行かねぇと」

 

 男は額に滲む汗を眉間に寄せていた手で拭うと、手に持っていたスマホに素早く文字を入力した。

 入力した文字を見返す事なく男は送信ボタンを押す。

 

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タローさん。借りてた漫画、面白過ぎてすぐに読み終わってしまいました。今日、返しに行ってもいいですか?感想も言いたいので。

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「っはぁ……ったく、社交辞令ダル過ぎだわ」

 

 ロッカーにあるソファに腰かけた男は再び口にすると、すぐに手の中で震えたスマホに、ハッキリと口角を上げた。

 

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はい、もちろんです!

是非、感想会しましょう^^!

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 男は相手から返ってきた「^^」の顔文字に、フッと表情を緩めると吐き出すように言った。

 

「……あぁ、マジでかわい」

 

 

≪コメント 1件≫

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ヴィオ

タローさん、アオイさんと仲良くなれて良かったですね!もしかしたら、夜泊まっていくように言ったら、お泊り会してくれるかもしれませんよ!

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おわり


 

後書き

次書く時は、ツンを抱えたアオイ視点でヤっちらかせたい所存。