番外編2:弟子と飲み会(3)

 

3:全て、受け入れよう

 

 

 

 なんだ、なんだ、なんだ。コレ。

 

 

 

「っぁぅっ、しも。っっひ」

 

 俺はソファの上で、下半身を露わにしていた。上の服もかろうじてシャツが腕に引っかかってはいるものの、ボタンは全部外され、全てがシモンの前に露わになっていた。

 何度も何度もシモンに吸われて敏感だった胸も、この二年間で何も感じなくなっていた……筈だったのに。

 

「ししょう、ひもち?」

「っぅ、ま、って。そこで、しゃべ……っぁ」

 

 ちょっとシモンに舌で舐められ、吸われて、指で弄られただけで二年前のような状態に戻ってしまった。シモンの舌でしっとりと濡れた乳首は、ピンと立ち上がり、まるでもっと舐めて欲しいといわんばかりだ。

 

「でも、ししょう。気持ち良いでしょ?」

「……ぅ」

「ねぇ、きもちよくない?俺、へた?」

 

 そんな聞き方しないで欲しい。

 俺よりデカくて、しかもレベルも100ある男が、まるで親に捨てられたような子供のような目で俺に尋ねてくるなんて、そんなのもう堪らないじゃないか。

 

「へた、じゃ、ないよ」

「じゃあ、気持ち良い?」

「……う、ん」

 

 顔が熱い。あぁ、気持ち良いさ。もう、濡れた乳首にシモンの息がかかるだけで、背筋がゾクゾクとした感覚が走って堪らなくなる。それなのに。

 

「どこがきもちいい?ししょう、おしえて」

「ど、どこって」

「だって、おれ……ししょうの体、色んな所を触ってるから。どこがいいか……言ってほしい。じゃないと、間違ってるかもって、不安になる」

「っはぅ」

 

 本当に不安そうな顔で、眼前に迫るシモンの綺麗な顔に、俺は脳みそがジンと痺れるような感覚になった。熱い。もう、恥ずかしい。二年ぶりにあった弟子の前で、俺はほぼ裸みたいな恰好で、指を舐められ、乳首を吸われ……それだけじゃない。

 

「っぁ、っン」

 

 くちゅっと、下半身でいやらしい水音が響いた。思わず漏れる気持ち悪い自身の嬌声に、思わず耳を塞ぎたくなる。でもその間も、その音は止まらない。

 

「ししょう、ねぇ。ここは?ここは気持ち良い?ね、おしえて。これは、ししょうじゃなきゃ分からないから」

「っぁ、っっひ、っぁ!」

 

 先程の不安そうな顔はどこへやら。

 シモンはギラついた目で俺を見つめながら、開かせた俺の足の間。しかも尻の穴に、自身の指を出し入れしていた。鼻孔にツンと掠めるのは、シモンが先程指に纏わせた香油の匂いだろうか。

 

 甘ったるい匂いと元々部屋中に充満していたアルコールの匂いが交じり合って、むせ返るようないやらしい匂いを放つ。

 

「ね?ししょうっ、おしえて。ここ?ここ触ると、ししょう腰がビクビク動くよ?これ、痛いから?それともっ。ねぇ、ししょう、教えて!」

「っふ、っぁ、ぁぁあっ!」

 

 シモンの矢継ぎ早な質問に答えられないまま、俺の中にあるシモンの指が俺のナカにあるシコリを何度も何度も攻め上げる。もうダメだ。そこに触られると、気持ち良過ぎて何も考えられない。

 腰が揺れる。もう、自分からシモンの指を欲しがってしまう。

 

「き、もちっ。それっ……も、だめ……しもっ。も、イくッ!」

 

 俺はシモンの肌触りの良いシルクのシャツに肌を擦り付け、腰を反り返しながらイった。シルク越しに感じるシモンの体温が心地良くて、俺は肩で息をしながら頬を擦り付ける。

 

「っは、っぁぅ」

「ししょう、かわいい。かわいい。も、かわいい……ダメだ。むり。おれ……」

 

 肩で息をする俺に、シモンはズボンの前を寛げると、そのまま中から激しく隆起する怒張を取り出した。あぁ、そりゃあそうだ。最初からシモンは勃起していたのに、一度も出していない。ずっと俺の体に吸い付き、舐め上げ、そして指で俺ノナカを行ったり来たりして。

 

「ししょう。俺も……あの、もう。いいです、か」

 

 なんで、急に敬語なんだよ。

 いいですか、なんて出会って初めて言われたぞ。ただ、尋ねてはいるものの、既にシモンの熱い塊は、先程までシモンの指で開かれていた秘孔に擦り付けられている。熱い。それに固い。

 

「ししょう……ししょう……」

 

 いいもなにも、今ここでシモンに止めろと言ったら止めてくれるのか。っていうか、既に少し入ってるし。

 

「んっ」

 

 なんか、俺にも……こういうのは、よく分からんけど。

 

「……ししゅんき、みたいだな」

 

 一国の王様を前に、俺は一体何を言っているんだろう。でも、その言葉は今のシモンにピッタリな気がした。

 

「も、いれたい。はいりたい。ししょう、くるしいッ」

 

 出会った頃は十三歳で、がりがりで骨と皮しかなかったのに。もう、今じゃ誰がどう見ても立派な大人だ。俺はシモンの顔をソッと両手で挟むと、そのまま腰を浮かせて自らシモンの怒張を奥に受け入れた。

 

「っはっぁ」

 

 熱い、苦しい。でも……

 

「……っはぁ、きも、ちぃっ」

「っ!」

 

 俺はシモン頬ずりをしながら後は、その大きな背中に腕を回した。この後は、どうしたら良いのか俺も分からない。

 

「し、もん……。このあと……どうすればいいか。おれは、わからん」

「し、しょう……もしかして」

 

 金色の瞳が零れ落ちそうな程見開かれ、此方を見つめてくる。そんなシモンに対し、俺はどうにも恥ずかしさが募り、目を伏せるしかなかった。目を伏せて、ただ静かに頷く。

 

「どっちも……おれ、はじめて、だから」

 

 ゴクリと、シモンが息を呑む音が聞こえてきた。

 

 畜生。だって、仕方ないだろ。

 結局、俺は童貞のまま、酒すら飲めずに、此方の世界に来てしまった。その後は、勇者になれたのが嬉しくて、毎日毎日戦闘だらけの毎日。魔王を倒すんだ、世界を守るんだって意気込んで……でも、そうはならなかった。

 その後の事は、もう言わなくてもわかるだろう。

 

「っはぅ……しも、ん。何か言えよ」

 

 急に黙らないで欲しい。恥ずかしかった所に、妙な沈黙と秘孔に感じる熱い塊のせいで、更に顔に熱が集まる。

 いや。別に、童貞って恥ずかしい事じゃな……。

 

「っぁ!」

「っっししょう!」

 

 シモンの余裕のない声が、俺を呼ぶ。その瞬間、俺の中は激しい律動と熱によって全てを持っていかれた。俺のナカがシモンでいっぱいになる。ピタリとくっ付いて離れない。

 

「っは、っくぅっ!ししょうっ!ししょうっ!っぁぁ!……っは!うれしっ!おれが、ししょうの一番で、ゆいいつでっ!」

「っひ、っぁ、っん!ッ……っぁぁ!」

「初めてって事だよねっ!?」

 

 「一番」で「唯一」なんだから初めてなのは当たり前だろうが!

 なんて、照れ隠しで言っている余裕は、俺には残されていなかった。

 

「っはぁ、っはぁ……っッぅ、っは」

「っぁ、っぁーーッ、んっふぅ」

 

 もう、そこからはただ獣の交尾のように腰を激しく打ち付けるだけの行為がひたすら続いた。肌と骨がぶつかり合う激しい音と、その合間に結合部から漏れるジュプジュプという、耳を塞ぎたくなるような水音が漏れ出る。

 

 そこにはテクニックも何もない。ただ、シモンは本能のままに俺の上で腰を振り続けた。まるで、それしか知らない子供のように。

 

「ししょうっ、ししょうっ」

「んっ、っぁ……っひ!」

 

 でも、なんだかソレが良かった。

 シモンの……きっとハジメテでは無いであろう行為の中で見せるその必死な様が、俺を一唯一だと言ってくれているようで。俺も、嬉しかった。

 

 そうだ、俺はやっとシモンに会えたんだ。

 

——あぁ。ヤコブで、良かった。ラッキーだわ。

 

 いいや。俺はあの時、既にシモンに見つかってしまいたかった。二年近くも一人ぼっちで寂しかった。心細くて、何度も何度も死にかけた。また、皆に……シモンに「師匠」と呼ばれたかった。

 

「ししょうっ!も、ぜったいにっ。ひとりで、どこにも行かせないっ!ぜったいに、ぜったいに!死んでも!」

「っん、っくぅ。ぅん……うんっ!ぅぅぅっぇぇ!」

 

 俺はシモンに抱き着きながら初めて人前で泣いた。互いに唇を重ねながら、ともかく必死に離れないように抱き締め合った。

 

「っぁ、ぁあああっ!っうぇぇえっ!」

「ししょう……もう、大丈夫だよ」

 

 シモンに頭を撫でられて、大泣きして、その後も幾度も幾度も体を求められ。俺は、いつの間にか気を失っていた。

 どうやら俺は、酒を飲むと泣き上戸になるらしかった。

 

 

 

        〇

 

 

 目が覚めた。

 頭がぼーっとする。目の前が霞む。そして極めつけが……。

 

「あたま、いでぇ」

 

 酷く頭が痛んだ。そう、俺が頭を抱えながら体を起こそうとした時だ。

 

「ししょう、まだ……起きないで」

「……シモン」

 

 俺の体は隣で寝ていた全裸の美丈夫に全身で抱き込まれた。体全体を、シモンの温かい体温が包み込む。鼻孔を擽るのは、互いの呼吸から漏れるアルコールの匂い。

 

「……あぁぁぁ」

「師匠?」

 

 その瞬間、昨日の記憶が全て蘇ってきた。俺は昨日、シモンと……愛弟子と酒の勢いでとんでもない事をしてしまったのである。

 すると、シモンは俺の表情を見て、全てを悟ったのだろう。その顔に深い笑みを浮かべると自身の下半身をわざと俺に擦り付けてきた。しかも、少し勃起しかけている。

 

「っっっ!!?」

「ね、師匠。昨日、気持ち良かったね」

「ぁ、……あ、う」

 

 おいおいおい!昨日あれだけヤって何でこのタイミングでまた勃つんだよ!?

 同時に、勃起しかけたシモンの熱い塊が、俺に昨日の記憶を詳細に蘇らせてくる。そのせいで、違和感の残っていたケツが妙に熱を帯びて堪らない。

 

 そう、腹の底から湧き上がってくる奇妙な感覚に、ケツだけではなく顔にも熱が集中してくる。俺の体は、一体どうしてしまったんだ。そう、俺がシモンの顔を見上げると、此方をジッと見ていたシモンが、そりゃあもう嬉しそうに笑った。

 

 

「……照れてる師匠、かわい」

「ぐぅっ!」

 

 その時、シモンの口から紡ぎだされた「師匠」は、「うるせぇ、師匠!」と口先だけで呼ばれていた時の「師匠」呼びと殆ど同じニュアンスを帯びていた。

 クソッ、コイツ!もう絶対、俺の事師匠だって思ってないだろ!?

 

「ね?師匠、キモチ良かった?」

「……気持ち良かったです!!!」

 

 

 そう、俺が叫んだ瞬間、シモンはクラスチェンジした。

 

——

名前:シモン  Lv:100

クラス:夜の帝王

——

 

 だからっ!ド王道のRPGで下ネタやめろ!?

 

 

 

 

おわり


 

今度は、シモン視点でのアレコレが書きたい。