脱毛サロン前
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タローさん。
今日は脱毛お疲れ様でした。また次回も頑張りましょうね!
とろこで、タローさん。
明日、仕事終わりに一緒に夕食なんかどうですか?
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タロー(良かった……ほんとに良かった。アオイさん。怒ってなかった。ブログで大騒ぎして恥ずかしかったなぁ)てこてこ
タローは照れながら、仕事帰りにアオイとの約束の為にサロンに向かったよ!
タロー(あれ、まだお店開やってる。ちょっと気合を入れて仕事早く終わらせ過ぎたかな……まだ営業時間みたいだし。そ、外で待ってたらいいよね)ウロウロ
オーナー「あー、あと一組で終わりか。ん?あれは……」チラ
タロー(施術の日じゃないのに、サロンに来るの……なんか変な感じだな。ジャージじゃなくてスーツだし)そわ
オーナー「こんばんは、タ……宮森さん」ポンポン
タロー「っっっ!!っあ、っあ!あ、あなた……受付の!(いつも受付してくれる格好良い人!)」びくっ!
オーナー「(めっちゃビビられた)すみません、驚かせてしまったみたいで」
タロー「す、す、すみません。お、俺も、お店の前をウロウロして…」
オーナー「あぁ、アオイと約束してるんでしょう?すみません、アイツまだ施術中で(今日一日、めちゃくちゃ機嫌良かったもんな)」
タロー「あ、大丈夫です。俺が、早く来ただけなので」
オーナー「どうぞ、中で待たれてください」
タロー「い、いえ。お仕事の邪魔になるといけないので」おず…
オーナー「どうせお客さんも一人しか居ないのでいいですよ。まだ多分かかりますし、どうぞ(一回アオイ抜きで喋ってみたかったし)」にこ
タロー「い、いいんですか?上の方に怒られませんか?」おず
オーナー「(上の方……俺、一介の受付としか思われてないんだろうなぁ。おもしろ)大丈夫ですよ」
タロー「じゃ、じゃあ……おじゃまします」ソロ
タローはオーナーについてサロンに入って行ったよ!
オーナー「こっちがスタッフルームなので。どうぞ」
タロー「えぇっ!あ、あの……俺、部外者なので」
オーナー「宮森さんはオープン当初からの常連さんじゃないですか。いいですよ。どうぞ」にこ
タロー「っあ、あ(この受付の人、最初は怖い人だと思ってたけど良い人だ……!)」ぱぁぁっ!
オーナー「(タローさんって本当に全部顔に出るなぁ)お茶、ここに置いとくので。どうぞ」
タロー「ありがとうございます(こないだも、直前で予約変更しようとしたのに優しかった!)」ぺこ
オーナー「あ。宮森さん、アオイがなにか失礼な事をして……ん?」
タロー「へ?」
オーナー「あぁ、クソ。またおかしくなってる」
オーナーはPCを見て眉を顰めたよ!
タロー「ど、どうしたんですか?」おず
オーナー「あ、いや。シフト管理のアプリがちょっとおかしくなってるだけなんで…」
タロー「…シフト管理。どんな風になってますか」ソソ
オーナー「あ、いや。最初は人数も少なかったから良かったんですけど…スタッフの人数が増えてきてからちょっと管理が煩雑になってきて」
タロー「既存のアプリじゃ対応しにくくなってきたんですね」ジッ
オーナー「そうなんですよ(なんだ?)」
タロー「あの、どういう所が使いにくいですか?」
オーナー「あ、うちってお客様毎にシフト管理してるのと、それに応じた給与計算になってるんで……って、え?」
タローがメモを取り始めたよ!
タロー「他には?」
オーナー「あ、あの……宮森さん?何を……」
タロー「っ!す、すみません!」焦!
タロー「あの、俺……仕事が、ソッチ系なので……なんか、うまくシステムが、イジれないかなって……すみません。余計な事をしました」そそくさ
オーナー「(マジかよ!?)ちょっちょっちょっ!待って!」グイ!
タロー「っ!」
オーナー「あ、あの!よろしければ、お願いしていいですか!?」
タロー「え?あ、でも……(いいのかな)」
オーナー「もちろん、タダでとはいいませんので!」
タロー「っ!いや、ちょっとやってみるだけなので、お代は結構ですっ!それに、あの……出来るか分からないので!」あせあせ!
オーナー「もちろん!ちょっと地味に今、困ってて!お願いします!」
タロー「あ、じゃあ……はい。やってみます」
オーナー「お願いします(やっべぇ、良い拾いモンしたかも……!)」
そこから、タローはオーナーに話を聞きながらサロンに合った管理システムを構築していったよ!
ちょちょいのちょい!
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タロー「これで、どうですか?」おず
オーナー「……すげぇ(マジで出来た)」茫然
タロー「あの、今のアプリ上のデータも、全部移行させておきますか?」
オーナー「え?できるんですか」
タロー「あ、はい」
オーナー「是非、お願いします(最高かよ)」
タローはご機嫌な様子でPCを叩いてるよ!PCイジるのは子供の頃から大好きだよ!
タロー「出来ました。バックアップは一応、一日2回、こっちに取れるように作ったので。何かあったら引っ張ってこれます」
オーナー「最高かよ(ありがとうございます……あ)」
タロー(最高って言ってもらった!)ふへ
タローは褒められてにこにこになったよ!
オーナー「……(おいおい、この人は)」ジッ
タロー(コレは、こうした方が……使いやすいかも)にこにこ
オーナー(相当有能だぞ。ともかく、聞き取りも上手い。そこからの問題解決能力も、更には提案力もある。そして仕事も……早い。アオイの奴、コレのどこがコミュ障なんだよ。マジで良い拾いモンしたぞ)
タロー(……褒められた)ほや
オーナー「あの、宮森さん……いや、タローさん!!!」
オーナーはタローの手を掴んだよ!
タロー「っへ?(え、え、え!?なになに!?)」ビクッ!
オーナー「よろしければ、今度はうちの予約管理システムも作って貰えませんか?あ、コレはもう正式な法人としての依頼で!」
タロー「えっ、えぇっ!?」
オーナー「本気です!元々契約してる所が、マジでやり辛くて!」
タロー「は、はぁ」
オーナー「連絡は遅いし、対応は雑だし!つーか、担当者の態度もクソだし!そろそろ契約切って別の所にお願いしようとしてたんです!だから、タローさん!」
タロー「……は、はい!」
オーナー「うちと専属の契約、結んで貰っていいですか!?」グイッ
タロー「…ぁ、え?」パチパチ
オーナー「あっ、もし!会社にバレたらマズイようなら、その辺融通利かせますんで!お願いします!」
タロー「で、でも、俺。あの、ただのエンジニアで……そんな大したモノは」
オーナー「いや!タローさん、貴方自分の事を低く見積もり過ぎですよ!いいですか!?」
タロー「は、はい!」
オーナー「貴方は、今!客の不満からニーズを汲み取り、それを改善した!しかも素早く!丁寧に!それに対して俺は満足した!これは立派なサービスの提供だ!その辺をきちんと認識しないと、自分の技術を安く買い叩かれますよ!?」
タロー「……は、はぁ」ぱちぱち
オーナー「貴方は、タローさんは有能です!客である俺がそう言うんです、間違いない!」
タロー「ぁ、ぁう」じわ
タロー(す、すごく……褒められた。会社では……こんなに褒めて貰えないのに)
—-宮森君。これもよろしく。昨日言ってた分は出来た?あぁ、はい。じゃあ、戻っていいよ。
タロー(ほ、褒められた)じわ
オーナー「タローさん、どうぞよろしくお願いします!」ズイッ
タロー「は、は、は」
タロー「はぃぃ(褒められたぁっ!)」
タローは嬉し過ぎて真っ赤になりながら満面の笑みを浮かべたよ!
オーナー「……」じっ
タロー「が、が、が、がんばります!」
—-あのキモヲタが俺の事好きなんだよ!
オーナー(いや、アオイ。コレは別にキモくねぇだろ。)
タロー「い、い、今から!今から作りますか!?」
オーナー「いや、予約の方はまた今度で。タローさん。この後、食事を一緒にどうですか?お礼に奢らせてください」にこ
タロー「え?でも、今日は…」
ガチャ!
アオイ「おい!客終わったぞ!なんで受付に居な………は?え?」
アオイの目に映ったのは真っ赤な顔のタローと、その手を掴むオーナーだよ!
タロー(アオイさん……喋り方が、ちがう)ぱちぱち
アオイ「え?何やって……るんですか?タローさん」ぱちぱち
オーナー「アオイ、今日はお前帰れ。俺は今からタローさんとメシ行くから」
アオイ「は?つーか、タローさんって……」
オーナー「契約についての話があんだよ。お前、はよ上がれ」
アオイ「はぁぁぁっ!?」
タロー(アオイさんのプライベート口調……レア、レアだ!!)
オーナー「タローさん、連絡先。教えて貰っていいですか?」
アオイ「おーーい!?」
その後、アオイが死ぬ気でタローを引っ張って店を出たよ!オーナーは連絡先を交換したよ!
タローは…何も分かってないよ!