inロッカールーム
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イケメンしゃちくん
良い後輩ですね!
これからも何かあったらその後輩に頼るのが良いと思います!
きっとコタローさんの力になってくれると思いますよ!
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アオイ(この”イケメンしゃちくん”って奴……なーんかいつもムカつくんだよな。だいたいHNでイケメンなんて自分で使うか?ネタだとしてもサムいわ)ムス
—-このブログに、アオイさんっていうスタッフさんが凄く良い人だって書いてあったので、アオイさんを指名したんですよ?
アオイ「…そういや、今日はあの飯島って奴の予約の日か。なんかアイツ、気になるんだよな」
ガチャ
オーナー「少し早いけど飯島さん来たぞー」
アオイ「……わかった」
オーナー「何テンション下がってんだよ。飯島さんの後は、こないだ予約変更したタローさんの予約だろ?」
アオイ「おい、なんでそこであのキモヲタが出てくるんだよ。意味わかんねぇ」きっ
オーナー「はいはい。早くしろよ」
アオイ「クソ……(つーか、俺が楽しみにしてるんじゃねぇし。あのキモヲタが俺じゃなきゃダメなんだし)」ムス、ムス
スタスタ
アオイは待合室まで出て行ったよ!
アオイ「飯島さん、どうぞ」
飯島「あ、はい。よろしくお願いします」
アオイ「どうです?前回からの経過は」
飯島「そうですね。他の部位より分かりにくくて、まだ全然」にこ
アオイ「まぁ、確かに鼻の穴の入口の毛なんて、分からないですよね(コイツ……顔も良いし。ムカツク)」
飯島「そういえば、高梨さん?」にこ
アオイ「どうされました」
飯島「コタロー日記、あれから見てますか?」にこ
アオイ「いや、まぁ少しは(なんだ、急に?)」
飯島「けっこうコタロー日記って高梨さんの事が詳細に書かれるじゃないですか?嫌じゃないですか?知らない所で自分のプライベートを晒されるって」
アオイ「……俺は別に何とも思ってないです(コイツ、自分から俺に教えておいて。一体どういうつもりだ?)」にこ
飯島「そうですか?」にこ
飯島「本当に嫌なら、無理せずに本人に伝えた方が良いと思いますよ?高梨さんなら、あそこまで書かれたら、どのお客さんか分かるんじゃないですか」
アオイ「……お客様のプライベートなので、教えられませんよ?」
飯島「もちろんです。俺もどこの誰だかは……もう知っているので」
アオイ「…え?」
飯島「なので、もし高梨さんが少しでも嫌だと思っているのであれば、俺からそれとなく伝えておいても良いかなと思いまして。なにせ、客相手だと角が立つので直接は言い辛いでしょう?」にこ
アオイ「っ!(コイツ、まさかタローさんと顔見知りか?このイケメンと、あのキモヲタに何の接点が……!)」
飯島「どうします?」
アオイ「……いえ、特に問題ありませんので。むしろ、店の宣伝として有難いと思っているくらいですし。それに……あのブログのお陰で飯島さんも来てくださったワケですし」
飯島「そうですか?でも、本当に嫌な時は言ってくだいね?俺から、伝えておきますから」
アオイ(…俺から、だと?)スッ
アオイ「けっこうです(コイツ、嫌いだ)」にこ
飯島「そうですか」にこ
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—-
飯島の施術が終わってたよ!
アオイ「じゃあ、次の予約は一カ月半後に取られてくださいね(もう来んな)」にこ
飯島「わかりました」にこ
アオイ(はぁっ。そろそろタローさんが来る頃……あ!)
タローが入口からてこてこ入って来たよ!
タロー「…っ!」ぱち!
アオイ「タロ……」
飯島「宮森さん!」にこ
タロー「い、飯島君っ!?」
アオイ「っっっ!?(は!?)」
タロー「あ、あ、あれ?飯島君……なんで、ここに?」パチパチ
飯島「俺もここで脱毛して貰ってるんですよ?」にこ
タロー「も、もしかして……アオイさんにしてもらってるの?」チラ
アオイ(なんだ?)
飯島「そうですよ。良い人ですね……アオイさん」チラ
アオイ(アオイさん……だと?)
タロー「そ、そうだよね!アオイさん、良い人だよね!」にこ!
飯島「あれ?宮森さん。そのジャージ似合ってますね?」にこ
タロー「っ!あ、あ、ありがとう!あの、これね!ネットで買ったヤツで……」テレ
アオイ「……あの、タローさん?そろそろ」スン
タロー「っは、はい!そうでした。騒いですみません」ぺこ
アオイ「いいえ。じゃ、こちらへ。飯島さん、ではまた次回」にこ
飯島「ええ、またよろしくお願いします」
アオイは無言でタローを施術室まで案内したよ!
タロー「…(アオイさん、いつもは喋ってくれるのに。どうしたんだろう)」ソワソワ
アオイ「タローさん?」にこ
タロー「はい!」
アオイ「さっきの彼とはどんな関係なんですか?」
タロー「あ、えっと。職場の後輩で…」
アオイ「職場の…後、輩?」
タロー「そうです!凄く良い人なんです!」にこーー!
アオイ「……へぇ」
タロー「あっ!彼も……その、好きピが好きなんですよ!俺が漫画を貸すようになって、ちょっとだけ仲良くなって……」にこ
アオイ「っ!(それって、まさか)」
—-よし、これからは職場ではイケメンZ世代君を推していこうと思います!
アオイ「イケメンZ世代……」
タロー「っへ!?」
アオイ「いえ。格好良い人だな、と思って(やべ、何言ってんだ。俺)」
タロー「か、格好良いですよね!!飯島君!俺もそう思います!」にこ
アオイ「っ!……そうですね(キモヲタが他の男に媚びてんじゃねぇよ)」イラッ
タロー「でも、アオイさんも格好良いです!アオイさんは、飯島君とはまた違った系統の格好良さで……!」にこにこ!
アオイ「お世辞はいいですよ(ムカツクムカツク)」
タロー「え、いや。お世辞なんかじゃないです。俺、アオイさんも格好良いと思ってて」あわ
アオイ「タローさん。施術を始めましょうか?(ムカツクムカツクムカツク)」
タロー「…はい」しゅん
そうこうしている間に、タローの施術も終わったよ!
アオイ「お疲れ様でした」スン
タロー「あ、あ…はい」
アオイ「……どうしたんですか?タローさん」スン
タロー「い、いえ。ありがとう、ございました」
アオイ「はい」しらっ
タローは施術室からトボトボと出て行ったよ!
アオイ「……何やってんだ、俺」ぼんやり
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ロッカールーム
アオイ「……っはぁ」ぐったり
アオイ(今日のコタロー日記…どうせ、アイツの事が書いてあんだろうな。ダル)
—–推し推し!推してまいる^^!
アオイ(何が推しだよ……このビッチが。つーか、明日も同じサロン通ってるっつって会社で盛り上がるんだろうし。……ムカツク。マジでムカツク)
—–良い人だ!良い人(@_@。!
アオイ(今日の俺は……良い人じゃねぇんだろうな。……あー、クソ。)イライラ
アオイはぼんやりしながらコタロー日記を開いたよ!
アオイ「……ん?」
——–
4月5日
皆さん、助けてください。
——–
アオイ(なんだ?何かあったのか?)
——-
こんにちは、コタローです。
今回はタイトル通り、皆さんに助けて欲しくて記事を書きました。
今日は、脱毛の日でした。
前回、俺が施術に行けなかったせいでアオイさんが、わざわざお休みの日に、施術日をズラしてくれました。けど、アオイさんがせっかく忙しい中、施術の時間を作ってくれたのに、俺は最低な事をしました。
忙しいのは分かっていた筈なのに、たまたま入口で職場のイケメンZ世代君に会って。
(どうやら、同じサロンに通っていたみたいなんです)
それで、俺がついつい騒いで彼と話し込んでしまったせいで、アオイさんに迷惑をかけてしまいました。
ただでさえ忙しいのに……本当に最低です。
アオイ(……)
——
いつもなら、帰り際も待合室まで見送ってくれます。いつもなら、笑って「次回も一緒に頑張りましょうね」って言ってくれます。
でも、今日は……俺のせいで、言って貰えませんでした。
俺は、アオイさんを怒らせてしまったようです。
——
アオイ「……っ!」
—–いつも、「今日も一緒にがんばりましょうね」と声をかけてくれるのがとても嬉しいです^^
アオイ「……そういや、そんな書き込み。してたな」
——-
そこで、皆さんにお願いです。
今からアオイさんにメッセージを送ろうと思うのですが、何と書いたら……仲直りできるでしょうか。
——
アオイ「…コメントで教えてください。って、何だ。このブログ。俺の事しか書いてねぇじゃん」
アオイはブログをジッと見つめたよ。
アオイ「顔文字も一個もねぇし。アイツの事も殆ど書いてねぇ。必死かよ……キ」
アオイは手で口元を覆ったよ!
アオイ「……しゃーねぇなぁ」
〇
—–タロー宅
タロー「はぁっ……アオイさん」しょんぼり
ピロン!
タロー「ん?……っ!あ、アオイさんからだ!」
タローは慌ててメッセージを開いたよ!
——–
タローさん。
今日は脱毛お疲れ様でした。また次回も頑張りましょうね!
とろこで、タローさん。
明日、仕事終わりに一緒に夕食なんかどうですか?
——–
タロー「っあぅ……よかった……!アオイさん、怒ってなかった!」にこー!
〇
——飯島宅
飯島「……へぇ、そうきたか(俺の名前が一回しか出てこないとは)」スン
(コメント1件)
———
イケメンしゃちくん
コタローさん、大丈夫ですか?
凄く心配です。
もし、不安な事があったら身近な頼れる……あの、職場の後輩の子に相談したらどうですか?
———
飯島「とは書いたものの、だ。絶対に今頃、高梨さん。宮森さんに連絡入れてるんだろうなぁ……」スン
飯島はスマホを置いて背伸びをしたよ!
飯島「そろそろ、俺も本気出すかぁ?」
お前彼女はどうなった!
飯島が本気を出すそうです^^
同じ会社の利を生かす時がきたかもね!