番外編43:おい、お前はソッチじゃねぇ!(初代×犬)

「番外編42:くんくん!犬は飼い主の匂いを嗅ぐと「前向きな気持ち」になれる!」の続き

 

in「いぬ」の制度のある街

 

 

市長「勇者様、少し時間を頂いてもよろしいですか?」

初代「ええ、大丈夫ですよ。どうされたんですか(ダリィな)」にこ

犬(初代様、ダルイって思ってる…)じっ

 

市長「〝どっくらん〟という犬の学校に、少しだけ顔を出して頂きたくて」

初代「どっくらん?」

犬(……ドックラン?)

 

市長「そうです。我が街の〝いぬ〟の制度はお話しましたよね?その、いぬの調教や、いぬの同士の交流を行う場所です」

初代「へぇ(出た。調教。ったく、どんな場所だよ)」

市長「そこに、少し顔を出していただきたくて。勇者様のお顔を見せたら、きっといぬ達にも良い影響があると思いまして」

 

初代「俺でお役に立ちますかね?(良い影響ってなんだよ。俺の顔を見せて調教に良い影響なんか出るかよ。気色わりぃな)」

犬(初代様、気色悪いって思ってる)じっ

 

市長「もちろんですよ!きっと、いぬ達も喜びますよ。どうぞよろしくお願いします」

初代「……わかりました(嫌過ぎる)」にこ

犬(初代様、嫌だって思ってる)じっ

 

市長「ありがとうございます。では、行きましょう」にこ

 

 

◇◆◇

 

 

どっくらんに到着したよ!

 

市長「ここが、どっくらんです。今は授業中のようですね」

初代「へぇ(なんだ、普通の学校じゃねぇか……ん?)」

犬「……」じーっ

 

犬は教室の中で行われている授業をジッと見ているよ!

 

教師「貴方たちにとって、一番大切なモノはなぁに?」

いぬたち \ご主人様ー!/

 

教師「大好きなのはー?」

いぬたち \ご主人様ー!/

 

初代(うん、全然、普通の学校じゃねぇわ)

犬(……)じーっ

初代(コイツ、さっきからいやに真剣だな……)

 

教師「そうね?じゃあ、もしご主人様が悪いヤツに悪い事をされそうになっていたら、どうする?」

優秀ないぬ「ご主人様を守ります!」

過激ないぬ「相手に噛みつきます!」

犬(相手を殺します)

 

教師「時と場合にもよるけど、すぐに相手に噛みつくのはダメよ?ちゃんとご主人様の様子や言いつけをきいて動くの」

過激ないぬ「でも、ご主人様が危ない目にあってたらゆるせない!」

 

犬(そうだ、許せない)こくこく

初代(コイツ……)

 

市長「ちょっといいかな?」

教師「市長!どうされたんですか?」

市長「今日は勇者様に来ていただいたからね。ぜひ、いぬ達に勇者様を見て良い経験を積んでもらおうと思って」

教師「それは素晴らしいですね!……みんな、ここからは特別授業よ!勇者様がきてくださったから、お話を伺いましょう」にこ

 

いぬたち \はーい!/

 

市長のいぬ「ご主人様!」タタタ!

 

市長のいぬが嬉しそうに駆け寄ってきたよ!

 

市長「こら、授業中だろう?」

市長のいぬ「ご主人様!ご主人様!」ぎゅっ

 

犬(……)じーっ

犬は市長の犬を見ながら、少しだけ初代に近付いたよ!

 

初代「……」

市長「まったく、困った子だ」にこ

 

市長は「困った子」なんて言いつつ、とっても笑顔!

その姿に、初代も一歩だけ犬に近付いたよ!

 

いぬたち「「「いいなぁ、ご主人様……」」」

市長のいぬ「いいでしょ?でもダメだよ!これは僕のご主人様なんだから!あっち行って!」

 

教師「こらこら、今は勇者様にお話をうかがう時間よ」

いぬたち「「「ご主人様に会いたい……」」」

市長のいぬ「ふふん」

 

市長のいぬは得意げだよ!

 

教師「はい!もうすぐご主人様たちが迎えに来てくれるから!ちゃんと授業に集中!勇者様は世界中を旅していらっしゃるからね。きっと面白いお話が聞けますよ!」

 

いぬたち「「「世界中を……?すごい!」」」

 

いぬたちが一斉に初代の前に集まり始めたよ!ワラワラしてる!

 

いぬたち \勇者様ー!勇者様ー!/

犬「っ!」

 

犬は少し焦った様子で、初代の前に立ったよ!ちょっぴりだけどね!

 

初代(……犬が、俺の前に立っただと?)驚愕

 

—–これは僕のご主人様なんだから!あっち行って!

 

初代(まさか、コイツ……)

 

犬「……」オロオロ

 

前に立ったものの、犬はどうしていいのか分からずオロオロしてるよ!

 

初代「(ったく)……市長、すみません。急にダンジョンに行かねばならない用事が出来ました。もうよろしいでしょうか」

市長「え、そうなんですか?それは仕方がないですね」

 

教師「そうですか。残念ですね。でも、勇者様を一目見れただけでも、この子達には良い経験になれたと思います。勇者様、ありがとうございます」

初代「いいえ(どんな良い経験なんだよ)」

犬「……」ほっ

 

犬は心底ホッとした様子をみせたよ!

 

初代(まさか、コイツがここまで嫉妬するなんてな……帰ったら抱き潰してやる)ムラ…

 

初代はまんざらでもなさそう!

ちょっと笑ってる!

 

教師「さぁ、いぬの皆さんは午後は外に出るからね!こっちへ来て!」

いぬたち\はーい!/ぞろぞろ

初代「さ、俺達も行く……ん?」

 

犬「……」すたすた

 

犬がいぬたちに交じって外に歩いていこうとしてるよ!

 

初代「っおい!?お前はソッチじゃねぇっ!(コイツ、完全に〝いぬ〟になってがるっ!)」ぐいっ!

犬「っっは!」ぱちぱち!

 

市長「(この従者、いぬに向いてそうな人だな)……ってコラ。お前は皆と一緒に行くんだよ」

市長のいぬ「うーー」

 

 

この後、間違って「ご主人様」呼びしてきた犬に、更にムラッときた初代が、ご主人様プレイを強要したのは言うまでもない話だよ!