旅の途中
犬「…ん、けほ(朝から空気が乾燥して……なんか喉に違和感が。コレ、絶対喉痛くなるやつだ)」
——結ったら、どんなに大きくなっても扁桃腺は弱いのね。ちゃんとうがいしなさいって言ったのに言う事聞かないから。
犬「……(体が変わっても扁桃腺は弱いなんて、なんだよソレ)」
初代「おい、どうした」すっ
犬「…いえ、何もありません。出発の準備をします(声はまだ普通に出せるな。まだ問題なさそうだ)」
初代「おい、犬。俺はお前に〝どうした〟って聞いてんだよ」
犬「っえ?あ、いや。本当に何も(な、なんだ?初代様、怒ってる?)」
初代「お前、俺を舐めてんのか。お前、風邪引き始めてんだろ」
犬「っっ!え、いや!別に(まだ、引き始めだし声も変わってないのに……なんでバレたんだ!?)」
初代「今日の出発は見送る。明日から雪山に登ろうってのに、途中でぶっ倒れられたら困るからな」
犬「あ、あの……初代様。なんで?」
初代「あ?」
犬「な、なんで……分かったんですか?」
初代「テメェは具合が悪くなると、二重が濃くなる」
犬「っ!」
——結、喉に違和感あるんでしょ?隠したって無駄よ。あなた体調不良になるとすぐに二重が濃くなるんだから。
犬(まさか、この体でも……そうなのか)
初代「ここ最近、空気が乾燥してたからな。命令だ、今日から毎日うがいしろ」
犬「っは、はい!(…お、おかあさん)」
初代「んで、今日は部屋から出るな。寝てろ」
犬「あ、あの……でも食事が」
初代「おい、返事は何て教えた?」
犬「っは、はい!」
初代「おら、うがいして寝ろ」
犬「……はい(初代様、お母さんみたいだ)」
初代様、犬の体調変化に目ざとく気付くようになった頃。
彼は一人で旅をしていたので、体調管理はしっかりしている18歳なのです。
初代(……飯、どうすっかな)
犬(……初代様のごはんだけは、作ろう)
でも、ごはんは作れない初代様!
犬も分かってるから、コッソリ作って怒られたよ!
初代「ったく、余計な事しやがって(……うま)」むす
犬「すみません(ふふ、すごい食べてる…)」にこ
でも、初代様は全部ごはんを食べました!
犬の風邪は引き始めだったからよくなりました!
皆さんも風邪には気を付けてね!