番外編46:犬君の投げキッス(初代様×犬)

番外編46:犬君の投げキッス(初代様×犬)

 

旅の途中

戦闘直後!

 

初代「っしゃ!」

 

犬「初代様、凄いです!」タタタ!

初代「これくらいどうって事ねぇよ……ん?」

 

初代様はモンスターの落とした一冊の魔導書を拾い上げたよ!

 

初代「これは……」

犬「どうしたんですか?」

初代「【魅了】の魔導書みたいだな」

犬「魅了……」

 

——–

魅了

精神汚染系。 思考がおかしくなり、これを与えた対象に心酔してしまう。

インキュバス/サキュバスが持つ特殊能力だよ!

——–

 

初代「ふうん」パラパラ

犬(魅了って確率型の状態異常だけど、初代様なら百発百中そうだな……特にメス型の敵には)

初代「……おい、犬。これはお前が覚えろ」

 

犬「え?」

初代「この技、威力も大した事ねぇくせにMPの消費が高い」

犬「……本当だ。でも、俺で覚えられるでしょうか(俺、元々剣士職業だし。初代様みたいにオールマイティじゃないし)」

 

初代「ヒールも覚えられたんだ。出来んだろ。それに、補助魔法なんだ。テメェが覚えた方が戦闘には有利だ」

犬「っ!(お、俺もちゃんと戦闘メンバーとして考えて貰えてる!)」ぴょん!

 

犬は初代様に「仲間」扱いして貰えるのが嬉しくて、ちょっぴり飛び上がったよ!

 

初代「おら、コレ持っとけ」

犬「は、はい!お役に立てるように頑張ります!」コクコク

初代「おう。じゃ、行くぞ(なんか、尻尾が見える気がする)」くしゃ

 

初代様は、思わず犬の頭を撫でたよ!

本当に犬に見えたみたいだね!

 

犬「っっっ!へへ(が、頑張るぞ!!)」にこ!

初代「……ぐっ」

 

初代様は自分の胸を押さえてスタスタ先を急いだよ!耳は真っ赤!

犬は魔術書を見ていて気付かない!

 

犬(早く〝魅了〟を覚えて、初代様の役に立つぞ!)

 

——–

——

一か月後

 

犬(や、やっと覚えた……!ヒールより難しかった……)

 

初代「おい、犬!今日は白亜の神殿に行くぞ。ここは外道召喚士達が住み着いてるらしいからな。全員とっ捕まえて、帝国にも恩を売っとくぞ」

犬「は、はい!(魅了、初めて使ってみるチャンスだ。頑張って初代様をサポートするぞ!)」

 

 

◇◆◇

 

 

召喚士(女)「へぇ、今日はえらく良い男が来たのね。いいじゃない」

召喚士(男)「ちょうどいい。俺達の発案した憑依召喚の実験台になってもらおうか」

 

初代「人体実験をここまで進めてるとはな……一体どれだけの人間をヤってきたのか。おい、犬!行くぞ!」カチャ

犬「はい!」

 

初代様は召喚士達が大量に召喚した魔獣達を倒すのに必死だよ!

 

犬(数が多い……ここは本体を叩かないと!ここは、アレを使う!)サッ

召喚士(女)「なに?この私に魔術は利かないわよ?ぼうや」

 

初代「っ、っくそ、数が多い!……って、犬?」

 

犬「(魅了は確率付与だ。利くか利かないかは……運次第!)ちゅっ!」

 

犬は召喚士(女)に投げキッスをしたよ!

 

初代「……は?」

召喚士(女)「……え?なによ、それ」

 

召喚士(女)に投げキッスは利かなかった!

 

犬「……ダメだったか」

 

犬は真剣だよ!

だってこれはれっきとした〝魔術〟だからね!

 

犬「もう一回……ちゅっ!」

 

犬は召喚士(女)に投げキッスをしたよ!

 

初代「お、おい」戸惑い

召喚士(女)「……だから。なによ、それ」

 

召喚士(女)に投げキッスは利かなかった!

 

犬「……まだ精度が低いか。でも、数を打てばいつかは」

 

召喚士(男)「おい、お前!そんなのに構うな!早く次の魔獣を……」

犬「……ちゅっ!」

 

犬は召喚士(男)に投げキッスをしたよ!

 

召喚士(男)「っく!な、なんだ……これ」

 

召喚士(男)に投げキッスは絶大な効果を発動!

魅了を付与!

 

召喚士(男)「っはぁ、っは。っく……」

 

犬「やった、成功だ!(これで、あの召喚士は俺の言う事を聞くようになった筈だ!)」

召喚士(男)「っはぁ、っはぁ」

犬「よし、まずはこっちへ来るんだ!」

 

召喚士(女)「ちょっ、どうしたのよ!?ねぇっ!」

召喚士(男)「っ、あ、うるさいっ!」

召喚士(女)「っきゃあ!」

 

召喚士男が、召喚士女を突き飛ばしたよ!

 

犬(よし!ちゃんと利いてる!)

召喚士(男)「っ、あ、っはぁ、っはぁ」ふらっ

 

初代「……なんだ(アイツ、様子がおかしい)」

 

召喚士(男)が犬の前まで来たよ!

 

犬「えっと、命令です。全ての魔獣を送還し……え?」

 

犬は召喚士(男)に押し倒されたよ!

 

犬「え、え?あ、あれ?なんで…」

召喚士(男)「おい、お前っ……責任は取って貰うからなっ!俺のモノになれっ!」

犬「……は?」

 

初代「っくそが!おい、犬!テメェ何他のオスを発情させてんだっ!あ゛ぁっ!?ぶっ殺ぞ!」

 

——–

発情

精神汚染系。 術者に心酔し過ぎて性的に興奮して、思考や行動を制限する。

——–

 

犬「っえぇぇぇ!?」

召喚士(男)「……っは、っはぁ」

犬「っひ!」

召喚士(男)「……っは、っはぁ。良い声で鳴くじゃないか」

 

犬は混乱し過ぎて召喚士にいいようにされてるよ!

 

初代「おい、犬」スン

犬「っ、は、はい!」

初代「……ソイツを、殺せ」

犬「っ!(で、でも。この人、人間だし……帝国に引き渡すって)」

 

初代「おい、聞こえなかったのか?こ、ろ、せ」スン

犬「あ、はい」

 

次の瞬間、犬は躊躇いなく召喚士(男)をグサッといったよ!

まさに秒殺!

 

初代「おい、犬」

犬「っは、はい(初代様、怒ってる?)」

初代「テメェはもう何もするな。黙って見てろ」

犬「は、はい」しゅん

 

その後、初代様は瞬く間に外道召喚士達を一人で掃討したよ!

もう凄まじい勢い!

 

 

◇◆◇

 

 

初代「おら、行くぞ」

犬「はい(俺は、何も役に立てなかった……)」

初代「おい、犬。もうアレは使うな。魔術書は返せ」

犬「は、はい(せっかく覚えたのに)」しゅん

 

初代(これは……同族にしか利かねぇのか)じっ

犬(初代様が魅了を習得されるのかな?)

 

その後!!!

狼モンスターが現れた!

 

初代「犬、あの敵に魅了を使え!」

犬「はい!……ちゅ!」

 

狼モンスターに魅了は利いてない!

 

初代「……もう一回だ」

犬「はいっ!……ちゅっ!」

 

狼モンスターに魅了は利いてない!

 

犬「あ、あれ?全然利かない……」チラ

初代「もう一回だ。利くまでやれ」

犬「っは、はい!(初代様の期待に応えないと!)」

 

犬は何度も何度も投げキッスを投げたよ!

それを、初代様はずっと見てる!

狼モンスターは初代様の覇気で動けない!

 

犬「ちゅっ!」

初代「……っぐ」

 

犬の投げキッスは同族(同性)にしか利かないんだよ!!

効果は絶大……みたいだね!