番外編1:オバアは死なん、鬼ババやけん

番外編1:オバアは死なん、鬼ババやけん

(セイフ×テル+リチャード(25))

※会話文のみ

 

 

—二人の聖王都の新居(賃貸だよ!)

本編直後

 

テル「やっと部屋も片付いてソレっぽくなってきたな」

セイフ「ん」

テル「セイフが力持ちだったかすぐ終わったよ、お疲れさん。ありがとな」

セイフ「っっっ!」ぱぁぁ!

 

 

テル「っぐ(俺の夫、デカくてイケメンなのに可愛いっ!見えない尻尾が見えるっ!)」

セイフ「……(テル、可愛か。可愛か。触りたか)」ムラっ

 

コンコン

 

テル「……ん、誰か来た。はーい」トトト

セイフ「…(あ、テル)」ススス

 

ガチャ

 

リチャード「よ、二人とも。生活は落ち着いたか?」にこ

 

テル「リチャード!久しぶりだな!まだ聖王都に居たのか?」

セイフ「…」ぴた

 

セイフはテルの体にぴったりくっついて片時も離れようとしないよ!

 

リチャード「……おぉ(セイフのヤツ、完全に犬みたいだな。テルは気にならないのか)」ジッ

テル「リチャード?」

リチャード「……(全然気にしてないな。まさか、いつもこうなのか?)」ジッ

セイフ「……」ぴた

テル「リチャード、大丈夫か?」

 

リチャード「あっ、いや。大丈夫だ!」

テル「ならいいけど、何か用か?」

リチャード「あ、あぁ。そうだった。お前らと別れた後、俺達も一旦故郷に帰ったんだが、ちょっとセイフに伝えないといけない事があってな」

 

テル「セイフに?」

セイフ「……言わんでいい」

リチャード「お前の婆ちゃんが……」

セイフ「言わんでいい」

 

テル「セイフ、お前のお婆さんからの事なら聞かなきゃだめだろう。セイフのお婆さんがどうしたんだ?リチャード」

セイフ「……」むす

 

リチャード「あー、えっと。セイフの婆ちゃんが病気でもう長くないから帰って来いって……」

テル「えっ!?は!?セイフ、帰らないと!」ばっ

セイフ「嘘やん。帰らん」

テル「セイフ!」

 

セイフ「テル。オバアは、すぐ嘘ば吐く。すぐ死ぬっち言う。いつも」

テル「でも、今回は嘘じゃないかもしれないだろ!?なぁ、リチャード!」

リチャード「……まぁ」目逸らし

セイフ「ほら。嘘やん。そやけん、帰らん。めんどくさか。あの村、好かん」

 

リチャード「セイフ、気持ちは分かるが……そう言ってやるなよ。実際、婆ちゃんはいい年なんだから」

セイフ「でも、オバアは、死ぬ死ぬ言って、一回も、死んだ事なか」

リチャード「いや、まぁ。この世に生きてる人間はだいたい一回も死んだ事ないだろ」

 

テル「……はは」

 

テルは苦々しい顔になったよ!まぁ、一回死んでるからね!

 

セイフ「オバア、すぐ怒るけん。帰らん。知らん」ふい

リチャード「セイフ、お前なぁ…」

 

テル「セイフ、帰ろう」

 

セイフ「っ!」

テル「リチャード、伝言ありがとう。今日にでもセイフの故郷に向けて出発するよ」

リチャード「お、おぉ(マジか)」ぱちぱち

 

セイフ「テル!お、オバアは嘘吐きやけん、死なんよ!」

テル「セイフ、人はいつか死ぬ。絶対に死ぬ」じっ

セイフ「…で、でも。オバアは、まだ死んどらんし」オロオロ

テル「……あのなぁ?死んでからじゃ遅いんだよ」

 

テルは自分の経験があるからちょっと思う所があるみたい!

 

セイフ「……でも、オバア。すぐ結婚せろとか、孫ば見せろとか言うけん、好かん」ムス

リチャード「……セイフ(あーー、俺も帰った時、親に言われたわ)」

テル「だったら、なおさら俺が挨拶に行かないとダメだろうな」

セイフ「え?」

 

テル「俺はお前と結婚したからな。親御さんにはきちんと挨拶をしておかないと。順番が逆になったのが、むしろ申し訳なかった」

リチャード「……テル、お前(コイツ。マジで何歳だよ)」

セイフ「でっ、でも!オバア、口、悪かけん!テルに嫌な事ば、言うかんしれん!」オロオロ

 

テル「まぁ、それは仕方ない。俺とじゃ孫は作れないし。覚悟してるよ」

セイフ「行かんで、いい!オバア、ほんと鬼ババやん!」

テル「セイフ、大丈夫だ」

セイフ「大丈夫じゃ、なか!」

 

テル「いいや、大丈夫だ。俺はお婆さんに何か言われたくらいじゃお前を嫌いになったりしないからな」にこ

 

セイフ「っ!」

リチャード「……(すげぇな、テル。マジで何歳だ)」じっ

テル「だから心配しなくていい」

セイフ「……ほ、ほんと?」

 

テル「あぁ、本当だよ。お前のお婆さんに何を言われても、俺はセイフが好きだよ」にこ

セイフ「……テル」ぎゅっ

テル「そういうワケだ。リチャード。伝言ありがとうな。今日にでも出発するから」

 

リチャード「あ、あぁ(コイツ、男前過ぎるだろ)」

テル「お婆さんにお土産買って行かないとなー。セイフ、お婆さんは何が好きなんだ?」

セイフ「しらん」

 

テル「だと思ったよ。何かテキトーに買っていくか。少し遠いなら弓は要るかな。安いの買ってくるか」てきぱき

セイフ「……」ススス

 

 

リチャード「……俺も結婚してぇな」

 

 

テル、セイフのオバアに挨拶に行く!!

 

 

 

以下、短すぎて持って行く場所の無かったお喋り

 


小話:大人買い?じゃあ、俺は…(セイフ×テル)

 

旅の途中

弓具専門店にて

 

 

テル(うーん、どうしようかなぁ。こっちも欲しいけど、あっちのも欲しいし。でも金が…)

セイフ「…」ジッ

 

金持ち弓使い「ここから向こうの棚まで全て頼む」

店主「あいよ!兄ちゃん羽振りがいいねぇ!」

金持ち弓使い「そうでもないさ」にこ

 

テル「すげぇ、大人買いだ」ジッ

セイフ「…」ジッ

 

テルが見てるのは金持ち弓使い。

でもセイフはずっとテルだけを見てるよ!

 

テル「…俺は一つしか買えないから、子ども買いだな」ぼそ

セイフ「っ!」ぎゅっ!

テル「へっ!?なになに!?急に何で抱きついてくるんだよ!」

 

セイフは一つだけ道具を持つテルに堪らない気持ちになったよ!たくさん稼ごうって思ったみたい!

 

セイフに甲斐性って言葉が生まれた日。