番外編51:いっそ殺せ!(初代×犬)

 

 

—-旅の途中

inソア雪山

 

 

初代「やっぱり吹雪いて来やがった!犬、付いて来てるか!?」

犬「は、はい!」

初代「クソッ、マジでさみぃな。こんな場所じゃ野宿もできねぇし」カタカタ

犬(…初代様、凄く寒そうだ)ジッ

 

初代「つっても。今から下山しようにも、この視界じゃ逆に遭難しかねねぇし。畜生っ!どうしろってんだ!」カタカタ

 

犬(…待てよ。RPGだと、こういう時には必ず近くに山小屋があるのがテッパンだよな)キョロキョロ

 

犬、視界の端に山小屋を発見!

 

犬「あっ!初代様、あそこに山小屋があります!(やっぱり!初代勇者が雪山で遭難してゲームオーバーなんて事になったらクソゲー過ぎるもんな)」

初代「でかした、犬!今日はあそこで休むぞ!」

犬「はい!(いえ。初代様の主人公補正のおかげです。むしろ、感謝しないと)」にこ

 

◇◆◇

 

初代「大変な目にあったな」ガタガタ

犬「初代様、鎧を脱いで濡れた服を着替えてください」

初代「おう」カタカタ

犬「暖炉に火をつけますね」

初代「……犬、お前は寒くねぇのか」カタカタ

 

犬「あ、えっと。寒いです」

初代「にしちゃあ、平気そうだな」

犬「俺、どちらかと言うと陰キャなので夏とか、太陽とか、暑い方が苦手で。なので、寒いのはまだマシというか。でも、まぁ寒いです」

 

初代「ったく、また“インキャ“かよ。まぁ、“インキャ“で寒さ耐性が付くなら、俺もなってみてもいいかもな」カタカタ

犬(初代様が……陰キャ?)

 

——–はは、どうせ、魔王なんか俺に倒せるわけねぇよ。っつーか、ソレ分かってて俺に魔王討伐をさせてんじゃねぇの。あー、多分そうだわ。つら。なんかもうヤんなってきた。姫とヤりたい猿野郎なんて他に五万と居るだろうし、そいつらに勇者やらせときゃいいだろ(くどくど)

 

犬「(そんな初代様イヤだ!)初代様に今のままがいいです!」

初代「お、おお。なんだお前、急にデカい声出して」びくっ

犬「す、すみません(初代様の陰キャキャラが嫌すぎて、つい)」

初代「まぁいい。早く火をおこせ。まじでさみぃわ」

犬「は、はい!」

 

火を付けたよ!

 

初代「……くそっ、火がついてもさみいっ!寒すぎだろ!ここ!」ガタガタ

犬(あ、あ。初代様が寒すぎてキレ始めてる……!)

初代「……あぁ、なんかムカついてきた。火魔法ぶっ放してやろうか」ガタガタ

犬「っ!?(このままじゃ、本当にエクスプロード(火の上級魔法)で小屋ごと焼き払いかねない。どうしよう。他に何か温まれるモノは……あ!)」

 

犬は凍える初代様の為に荷物の中を漁ったよ!

 

犬「……しょ、初代様」おず

初代「ンだよ!クソ、寒すぎてコッチはイライラしてんだ!」

犬「こ、これを」そっ

初代「あ、酒?」

犬「はい、お酒です」

初代「なんで今こんなモンを」

 

犬「ふもとの村で、村の人がソア雪山に登るなら、これは絶対に持って行けと」

初代「ンだよ。雪山で酒盛りでしろってか」イライラ

犬「そうです」

初代「あ?」

犬「アルコールは体温を内側から上げてくれるので、ソア雪山に登る時は必ず持っていくように、と。村での昔からのならわしのようです。なので……」ズイ

 

初代「……」じっ

犬(この世界では、十八歳で成人だし……いい、んだよな?)

初代「……」じっ

犬(あ、あれ)

初代「……」じっ

 

犬「……あ、あの」

初代「……わかった。注げ」

犬「あ、はい(初代様、凄い悩んだな)」

初代「おい、少しでいいからな」

犬「あ、はい(初代様、お酒苦手なのかな)」チラ

 

犬はカップにお酒を注いだよ。

 

初代「おい、少しでいいっつったろうが!どんだけ注いでんだよ!この駄犬が!」

犬「っす、すみません!(少ししか注いでませんが!?)」

初代「……あ゛ーーー、もう。しゃーねぇな」グイ

犬「あ、あ。す、すみませ」ソワソワ

 

初代「まずっ」くしゃ

犬「あ(初代様の顔がクシャって……お屠蘇飲んだ子供みたいになってるっ)」

初代「こんなモンのどこがうめぇのか……マジで信じらんねぇ」くい

犬(初代様のお酒の飲み方……グイっていく割りに、唇にちょっと付けて舐めるの繰り返しなんだ……かわいい)

初代「まじぃ……クソ、まじぃ」

 

その後も、初代様はちょっぴりずつお酒を唇に付けて舐めるのを繰り返したよ!

 

初代「うぅー」

犬「初代様、だいじょうぶですか(顔が真っ赤だ)」

初代「……いぬ、さむい」

犬「まだ寒いですか(顔は、真っ赤だけど)」

初代「さむい!!!」

 

初代様は床を拳でドンッってしたよ!

まるで、癇癪を起す子供みたいにね!

 

犬「待ってくださいもっと火を強くしま……」

初代「犬!こっちこい!」

犬「え?でも、火を」

初代「はやく!へんじは、なんておしえた!?」

犬「は、はい!」

 

初代様はぷんぷんしながら犬に「おいでおいで」をしたよ!

 

犬「初代様、どうされましたか。気持ち悪いですか?」

初代「いぬ」じっ

犬「はい(なんか、初代様の顔が……)」

初代「いぬ」ぎゅっ

犬「わっ」

 

初代様は犬に抱き着いたよ!

そして、犬の胸に頭をグリグリしてる!

 

犬「あっ、あっ(初代様が……あ、赤ちゃんみたいに!)」

初代「……ほら!いぬ、が、いちばんぬくい」ぎゅっ

犬「っあ、っあ!そ、そうですか!よ、よかったです(か、か、かわ……!)」

初代「いぬ、いぬ……あったかい」スルスル

 

初代様は赤ちゃんみたいな顔で、犬の体を撫でまわしたよ!

ただ、手つきは赤ちゃんみたいじゃない!

 

初代「ここがいちばんぬくい」

犬「~~っっ!」

 

初代様は犬の服の中に手を突っ込んで下腹部辺りを撫でてるよ!エロいよ!

 

初代「いぬ、あったかい」サスサス

犬「そ、それは……よかった、です(でも、これは、や、やばい)」ひく

初代「いぬ。おれの、かわいい、いぬ」

犬「っひぅ(赤ちゃんみたいなのに、声はド低くてっ……頭がバグりそう。ってか!)」

 

初代「……あ、もっとあついところがあったな」

犬「っは、あ、あ」真っ赤

初代「あはは。ここが、いちばん……ぬくいな」

犬(あ゛ーーーーっ!!!)真っ赤

 

こうして、初代様は犬の一番温かいところを探して体中を冒険しました。

さて、どこが一番ぬくかったでしょう!!

※ただし、初代様は酔っ払ってるので本番は無し。

 

こうして、脳内がショタ化した初代様と犬は雪山でも温かくして過ごしました。

 

次の日

 

犬(小さい子に……イタズラされた気分だ)ぐずぐず

初代「おう。いつまでグズグズしてんだ。すぐ出発するぞ」

 

犬「は、はい!(でも、良かった。初代様、昨日の事は覚えてないみたいだ)」

初代「今日こそボスを倒してこんな山、さっさと下りるぞ!」

犬「はい!(きっと覚えてたら、さすがにこんな普通には出来ないだろうし。だってあんな……赤ちゃんプレイみたいなことを)」真っ赤

 

犬はズンズン先を行く初代様を顔を真っ赤にしながら追いかけた!

 

初代(死にてぇぇぇぇーーーーー!!!!)

 

初代様は、酒には死ぬほど弱いけど記憶は飛ばないタイプ!