ちょっと恥ずかしい
in魔王城
初代様「ケルベロス、来い」
ケルベロス「わっふ!」ドタドタ
犬「…わっ」
初代様「東棟の明かりを消して来い」
ケルベロス「わっふ!」ドタドタドタ…!
犬「おお」
初代「と、まぁこんな具合に何か簡単な事はケルベロスに頼め。アイツは賢いからコッチの言葉も理解してる」
犬「そ、そうなんですね。賢い」
初代「この城はクソ広いからな。お前も全部自分でやろうとせずに、他人を使う事を覚えろ。いいな?」
犬「は、はい」おず
—-数十年後
犬「……」スタタタ!
初代「ん……おい、犬!」
犬「はい、なんでしょうか。初代様」スタタ
初代「お前、そんなに急いでどこに行こうとしてる」
犬「あ、えっと。さっき書庫に行ったんですが、明かりを消し忘れたかもしれなくて……」
初代「んなモン、ケルベロスに頼めや。わざわざ遠くまで走って行こうとすんな。時間の無駄だ」
犬「で、でも」
初代「ケルベロスを呼べ」
犬「あ、あ……はい」
初代「……」
犬「……べ……す」じわ
初代「あ?」
犬「…ろ……す」じわじわ
初代「おい、さすがにそんなに小せぇ声で呼んでも聞こえねぇぞ。普通に呼べ、普通に」
犬「……け……べ……す!」真っ赤
初代「おい、なに恥ずかしがってんだよ」
犬「……ぅ。じ、自分で消してきます」
初代「おいおいおい!ちょっ、何が恥ずかしいんだよ!?言え!」焦!
犬「……ぅーー!!!」真っ赤
初代様!別に犬はケルベロスに照れてるワケじゃないんだよ!大きい声を出すのがそもそも恥ずかしいし、動物に話しかけるのに抵抗があるんだよ!
多分、犬は「アレクサ、電気を消して」って言えないタイプ。きっとこれからも犬は自分の足で明かりを消しに行くと思う。