使い魔訓練校時代
(肉体的には10代後半あたり)
イアン「……はぁ(バズ(※)はもう今頃聖王都の騎士団に引き渡されたかな。良い子だったなぁ……やっぱ別れた直後は寂しい)」とぼとぼ
※それまでイアンが面倒をみていた狼。訓練校では、定期的に一頭ずつ仔狼を与えられて、躾の訓練をさせられるよ!
シーザー「おっ、イアンじゃないか。元気が無さそうだが、どうした?」スタスタ
イアン「……(げ、シーザー)」スタスタ
シーザー「わかった。バズとのお別れで落ち込んでるんだろ?まったく、毎度毎度よくも支給狼にそんなに入れ込めるなぁ?」スタスタ
イアン「……(なんだよっ!なんで付いて来るんだよ!?)」タタタ!
シーザー「ま、なんて言ってる俺も、ミックとお別れが寂しくてどうにかなりそうなんだがな。あ!どうだ、今日は一緒に部屋で晩飯でも食べながらミックとバズについて語り合わないか?」タタタ!
女生徒「あれ、シーザーじゃない?何走ってるのかしら?」
女生徒「誰かを追いかけてるみたいだけど……」
男子生徒「あれ、シーザーと一緒に走ってるヤツって、誰だっけ?」
男子生徒「あぁ、アレは即席追従の科目でぶっちぎり1位を取ってた。確か名前は……」
シーザー「イアン!イアン・ダンバー!なんで逃げる?それにしても、お前は本当に狼みたいに足が速いなぁ!はははっ!」タタタ
イアン「……はぁはぁっ(あーー、めんどくせーー!)」タタタ!
女生徒「あっ、シーザー!ちょうど良かった。試験も終わったし、今晩一緒にディナーでも……」
シーザー「すまない!今晩は俺の部屋で、イアンとお互いの寂しさを埋め合う大切な予定があるんだ!またいつか頼む!」タタタ!
イアン「は!?(いや、行くなんて一言も言ってねぇし!!)」タタタ!
女生徒「は?お互いの寂しさを、埋め合う?」
女生徒「なに?シーザーってシングルじゃなかったの?」
女生徒「まさか、シーザーとイアンって……!」
イアン「っ!!??(おいおいおい!なんだ、なんだこの状況!?)」タタタ!
男子生徒「あー、確かにアイツらいつも成績1,2位で競ってるもんな。そう言うワケか」
イアン「っ!!??(どう言うワケだよ!?)」タタタ!
男子生徒「なんで、シーザーがイアンを構うのかと不思議だったが……納得だな」
イアン「っ!!??(いや、納得すんなし!!!)」タタタ!
男子生徒「そういや、シーザーのヤツ。イアンの事を狼みたいで可愛いって言ってが……。なんだよ、あれ惚気だったのかよ」
イアン「~~~っ!おいっ、シーザー!?」ピタ!
シーザー「おっ、やっと止まったな!」にこ
イアン「お前、お前っ!!」真っ赤
シーザー「どうした?顔が真っ赤じゃないか……あ、バズが居なくて泣きそうなんだな?」
イアン「ちがっ!!」
シーザーは周囲の言葉や大量の視線で顔を真っ赤にするイアンの肩をポンポンと叩いたよ!
シーザー「分かった分かった。夜と言わず、今から俺の部屋に来るといい。俺も泣きたい気分だったんだ、互いに傷でも嘗め合おう」
イアン「~~っ!!」
そして、そのまま背骨をなぞって流れるような手つきでイアンの腰に手をやったよ!
シーザーはいつもこんな風に狼を撫でるよ!
女生徒「あぁ。アレ、完全にデキてるわね」
女生徒「あーあ。私シーザーの事狙ってたのにぃ」
男子生徒「成績良い者同士、お似合いなんじゃね?」
男子生徒「おかげで、シーザー狙いの女子が分散して助かったな」
イアン「っあ、あ、あ(なんだ、なんだ。俺は別に、何も言ってないし。してないのにっ!なんで、こんな)」
シーザー「さぁ、行こうか。イアン」にこ
イアン「い、い、いや」ひく…
ブルブル震えながら後ずさりをするイアンに、シーザーがコッソリ耳打ちしたよ!
シーザー「ここだけの話、あるツテから来週発売予定の【狼倶楽部】が手に入ってな」
イアン「っな、なんだって」
シーザー「今年のシュテファニッツ大会の注目狼が全部出てるんだ。一緒に見ないか?」
イアン「み、見たい……」ゴクリ
シーザー「発売前の秘匿雑誌だ。外では見れない、俺の部屋だったら自由に読めるぞ」
イアン「……わかった。行く」こく
イアン、この頃から慣れ親しんだ狼とお別れしたり寂しくなったりすると、シーザーに付いて行く習性があったんだね!チョロ!
シーザー「なら話は早い。早く部屋に行こう。……あぁっ、待ちきれない!」タタタ
イアン「ああ」タタタ
女生徒「待ちきれないって……まったくシーザーったら」
男子生徒「試験前で溜まってたんだろ。シーザーの両脇の部屋のヤツ、もしうるさかったらコッチの部屋来ていーぞー」
狼大好きシーザーは、昔から寡黙で実直なイアンの事を「アイツ、狼みたいだな。いいじゃないか!」と、やたらと構い倒していたのでした。
あと、シーザーは周囲から構われるタイプなので、イアンの静かさを気に入っていたみたい。
イアン「おお、今年は凄いな……。大会、見に行きたいな。でもチケットが……」
シーザー「ここに2枚、大会のチケットがあるが、行くか?」ニヤ
イアン「っあ、あ。えっと、い、いく!!」
このイアンの「イく!」だけが大声で部屋の外まで響いて、またあらぬ噂が広がったり広がらなかったり。
作者の戯言
私、主人公が親友とその父親に好き勝手される……的なR18もとても好きなので、シーザー親子の可能性にはとても大きな夢を抱いております!!