番外編11:犬を飼いたいって思ってたけど(セイフ×テル)

 

テル「セイフっ!俺が空中の敵を倒すまで、敵を引きつけておいてくれっ!」

セイフ「ん」こくん

テル「しっ、上の3体を倒したら次はーーっ!」

セイフ「ぐっ、けほっ!けほっ!」

 

 

テルが上空の敵を倒した瞬間、セイフが敵の妙な飛沫を全身に浴びてしまったよ!

セイフ、とても苦しそう!

 

 

テル「セイフ、待ってろ!」

セイフ「っう」

テル「セイフっ!!(急がないとっ!危険な毒かもしれない!!)」

 

テルはセイフの元に駆け寄りたい気持ちを必死に堪えて残りの敵を撃破した!

 

テル「セイフ!」タタタっ

セイフ「…ぐ、ぅ、っうう」

テル「あっ、あ!どうしよう……待て!今、鎧を脱がすからな」カチャカチャ

セイフ「っぁ、ぐ、ぁぁっ!!」

テル「セイフっ!」

 

 

鎧を脱がせた瞬間、セイフの体が白銀の青い毛に覆われていったよ!

 

 

テル「っこ、これは……!」

 

 

【状態異常 : 動物化】

変化系。

動物に変化して武器が持てなくなり、魔法が使えなくなるが、代わりに《雄叫び》などの動物由来のスキルが使用可能になる。

 

 

セイフ「ぐるぅ」

テル「セイフが、狼になった……?」

セイフ「…」ジッ

テル「せ、セイフ。大丈夫か?どこか痛いところや変なところはないか?」さすさす

セイフ「わっふ!」ふりふり!

 

セイフはテルに撫でられたのが嬉しかったのか、目を細めて尻尾をめいっぱい振ったよ!

 

テル「わ……(かっ、かわいい!)」なでなで

セイフ「ふすふす」

テル「……って!いや、違う違う!そうじゃなくてっ!」

セイフ「くぅ?」

テル「ぐっ!か、かわ……いや、ひとまず具合が悪いワケじゃないみたいで良かった」なでなで

 

セイフ「ふすぅ」

セイフ「…ひとまず、今日はもう帰ろう。ギルドのヒーラーさんに回復してもらわないと……って、セイフ!?」

セイフ「わふっ!」

 

セイフはテルの手から離れて駆け出したよ!

 

テル「あっ、あ!セイフ、待て!待って!(もしかして動物化のせいで心まで狼になったんじゃ)」ばっ!

セイフ「わっふ!わっふ!」タタタ!

テル「セイフ、行くな!(クソッ!狼の足じゃ全然間に合わないっ)」

 

セイフの足はとても早くて森の中に駆け出して行ったよ!

 

テル「はぁっ、はぁっ!せ、セイフ……(ど、どうしよう。セイフは俺の夫なのに)」じわ

 

テルは抜け殻になったセイフの鎧を見て悲しくなったよ!

 

テル「セイフ……せいふーー!せいふーー!」

セイフ「わっふ!」タタタ!

テル「っ!セイフ!?」

セイフ「ふすふす」ふりふり

 

 

狼セイフは落ちてる矢を咥えて、テルの元に戻ってきたよ!

尻尾をふりふりしてる!

 

 

テル「……セイフ。あ、ありがとう(なんだ、矢を取って来てくれようとしたんだ。いつも、みたいに)」

 

—–テル、これ。

 

テル「セイフ(やっぱり、狼は……かわいいな)」

セイフ「わふっわふっ!」ふりふり

テル「せいふ(でも、でもっ)」じわ

テル「……勝手に、遠くに行くなよ(やっぱり、人間がいい!)」だきっ!

セイフ「くぅ?」

 

 

テルはセイフが遠くに走って行ったのが余りにもショックで、思わずセイフの首に抱きついたよ!

 

 

テル「はやく、ヒーラーさんに治してもらわないと」なでなで

セイフ「わっふ!」ぺろぺろ!

テル「セイフ、行こ」

セイフ「わっふ!わっふ!」ふりふり!

テル「……セイフ」しゅん

 

 

テル、狼への憧れよりセイフと会話できない不安の方が勝る!!

やっぱり、名前を呼んでほしいよね!