いち、に、さん。これ、なあに。
(初代様×犬+せがれ)
せがれ「いち、に。め、にこ」
犬「そうです。目は2個です」ぱちぱち
犬は笑顔で拍手したよ!
せがれ「いち、に。みみ、にこ」
犬「はい、その通りです!耳は2個ですね!ご子息様、すごいです」ぱちぱち
犬は笑顔で拍手したよ!
せがれ「ふふー」
せがれは犬に褒められて得意げな様子!
せがれ「……」きょろきょろ
犬(あ、ご子息様が数えれるモノを探してる。何か用意しないと)
犬はせがれの為に数えられそうな何かがないか探したよ!
それも2つ以上のやつ!
せがれ「んー」
犬「あ、ご子息様。あっちにある積み木を……っへ!?」
せがれは犬の服を勢いよく捲ったよ!
そのせいで犬のお腹が丸見え!
犬「ご、ご子息様。あ、あの、何を…」
せがれ「いち、に、さん!これ、さんこ!」にこ
なんと、せがれは犬のお腹についてる切り傷を数えたよ!
右側の傷は初代様
左側の傷は現代の殺人鬼
真ん中の傷はヒスイ
この3人によって付けられた傷が、未だに犬のお腹には残ってるよ!
犬「あ、えと……」
せがれ「さんこ!」にこ
せがれは「どう?合ってる?」とばかりの笑顔で犬を見たよ!
犬「あ、えっと。はい、コレは3個ですね。ご子息様、すごいです(まさか、お腹の傷を数えられるとは……)」ぱち、ぱち
せがれ「ねえ、いぬー」
犬「なんでしょうか。ご子息様」
せがれ「これ、なあに?」
犬「あー、えっと。これは傷です」
せがれ「キズ?いたい?」
犬「全然痛くないですよ!もう平気です!」にこ
せがれ「…だれが、したの?」
せがれはきょとんとした顔で犬を見たよ!さあて、犬は困った!
犬「あー、えっと。その、それは(し、知らない人に親が刺されたって聞いたらショックかな。いや、でも!それより自分の父親が母親を指した方がショックだろうし……でも!お友達のお父さん(ヒスイ)に刺されたなんて知ったら、コイシ君との人間関係に響くかもしれないし……ど、どう答えれば!?)」
つぶらな瞳のせがれを前に、犬はグッと唇を噛み締めたよ!
殺人鬼、父親、お友達のお父さん!
全部事実なのがやばいね!
せがれ「これ、ぼくが、うまれたときの?」
犬「っっ!!」パッ!
せがれはつい最近お友達のお母さん(ヘマ)に「赤ちゃんがやってきた!」という絵本を読んでもらったばっかり!
その絵本には、お母さんのお腹の中で赤ちゃんが大きくなるまでの過程が、優しいイラストで描かれてるよ!
犬「そ、そうです!こ、これはご子息様が、お腹から出てくる時に……できた、傷です!」
犬、これ幸いと乗っかった!
せがれ「やっぱりー。これ、ぼくのきず」にこ
犬「そうです!これはご子息様と会う為にできた嬉しい傷です」
せがれ「ふふ、ふふ。いち、に、さん。これ、ぼくのキズ」にこにこ
犬「はい、ご子息様のキズは3個です!大正解ー!」ぱちぱち
せがれ「ふへ」にこ
犬(ふーー、助かったぁ)
せがれ3まで数えられるようになる!
犬、家族と友情の絆を守る!
♢♢♢
その頃、子供部屋の入り口ではーー!
初代(いや、あれはアイツが勝手に居なくなりやがるから。……でも、さすがに、刺す必要はなかった……か?)モヤ
ヒスイ(いや、あん時は敵だったワケだし。仕方ねぇ……よな?)ソワ
今更ながら、犬の腹の傷にジワッと罪悪感を覚える2人!