旅の途中 in野宿
イライライライライラ
初代「あ゛ーーー!なんだ、このクソ地方は!夜の癖にクソ暑ぃな!?虫も多いし……これじゃ寝れやしねぇ!」
初代様はあまりの暑さにイライラしてるよ!
そりゃあもうイライラしてる!
犬「あ、あ。しょ、初代様。ふ、服を」
初代「あ゛?これ以上何を脱げってんだ?俺に裸になれってか?」
犬「あ、ちがっ(汗で気持ち悪いだろうから、着替えを)」オロオロ
初代「このクソ淫〇犬が!このクソ暑ぃのに抱いてくれってか!無理だっつーの!バァカ!」
犬「う、うぅ(初代様がイライラしてナイフを振り回す若者みたいになってる……俺も、俺だって暑いのに)」ムス
初代「なんだ、犬の癖に文句あんのか。あ?」
犬「……」ムス
犬、暑すぎていつもなら我慢できる初代様の我儘にムスッとしたよ!
まぁ、とは言ってもムスッとするだけだよ!
初代「おい、俺にそんな態度取っていいのか?いいんだぞ、テメェなんか置いて行っても」
犬「……」ムス
犬は初代様を無視して日記帳を取り出したよ!
犬はムスっとしてる!まぁ、とは言ってもムスっとするだけだよ!
初代「なんだよ、なんなんだよ!?」
犬「……」かきかき
初代「テメェ、無視してんじゃねぇぞ!何書いてんだ、おら!」
犬「……」ムス
犬、どうせ日記帳を見られても初代様は読めない事が分かってるので、気にせず書き続けてるよ!
初代「おい、分かる字で書けや!どうせ、俺の文句を書いてんだ!分かってんだぞ!」
犬「……」ムス
初代「……っくそが!テメェ、覚えてろよ!もう寝る!」
初代様、犬が完全にムスッとしたまま無視してくるもんだから最終的に雑魚の三下みたいなセリフを言い始めたよ!
ただ、振り上げた手を下ろせないからキレた振りをしてるよ!
でも、内心は――!
初代(な、なんだアイツ。こんなん初めてじゃねぇか?え、なんだ、もしかしてマジでキレてんのか?犬の癖に。まさか、このまま一生キレたままなんじゃ)
けっこう、マジでビビってる!
犬「……ふう」すくっ
初代「……(な、なんだよ。もしかしてパーティ抜ける気か?)」おろ
犬「……あった」ごそごそ
初代「……(な、何があったんだよ。もしかして、俺の寝首を搔こうってか。いや、でも犬に関してそんな事は)」
犬「……ん、これでいい」
初代「……(なんだ、この匂い。香でも炊いてんのか?)」くん
犬「……懐かしくて思わず買ってみたけど、蚊取り線香ってちゃんと効果あるのかな」ぼそ
初代「……(カトリセンコウ?なんだそりゃ)」
犬「ばあちゃん家のにおいがする……」
初代「……(なんだ、風が)」ふわ
犬「……この世界にも、うちわってあるんだなぁ」パタパタ
初代「……(ウチワ?この風の事か?)」ふわ
犬「……あついなぁ」パタパタ
初代「……(……コイツも暑ぃよな)」
初代様、ちょっと反省する!
犬、初代様相手にムスッと出来るくらいまでに打ち解けた!
ずーーっと一緒の旅。
たまにはこういう日もあっただろうねという夜でした。
次の日!
初代「……はよ」
犬「あ、あ、おはようございます!」ぺこ
初代様は自分が悪いかもって思った時は、自分から挨拶するのでした。
まだ、この時は「ごめん」が言えない若い時代。