鬼「今回の……オニドナルドのラッキーセットのおまけは百分の一スケールの機会人形の最新の型種(モデル)か……ほ、欲しい」
※オニドナルド:アメリカの有名な吸血鬼が立ち上げた、ファストフード店。
日本に上陸しても大人気!
鬼「でも、ラッキーセットって、これは子供しか頼んじゃいけないヤツな気がする……大人には売って貰えないかも」
どうやら、鬼は自分の欲しいラッキーセットのおまけが欲しいみたい!
仏壇の前でうんうん唸ってる!
福の神「どうした、母上」
鬼「ふ、福の神様!」ぴょん!
鬼は、福の神が「大きい」時は「福の神様」って呼ぶよ!
小さい時は「福ちゃん」呼び!
福の神「なにをウンウン唸っておる?この福の神に申してみよ!」
鬼「あ、あのそれが……かくかくしかじかで」
福の神「なんと、その組立人形は童にしか渡さないというのか!」
鬼「子鬼に向けたモノですし、きっとそうかと……」
福の神「それでは、我が母上が買えぬではないか!」
鬼「あ、あの!それで、よろしければ福の神様に一つだけお願いがございまして」
福の神「言うてみよ!わかったぞ、おにどなるどを焼き払うか?俺に出来る事であれば何でもしてやろう。俺は親孝行な神であるからな!」ふふん
鬼「あ、あっ!焼き払ってしまっては、ラッキーセットまで灰になってしまうので。よろしければ……」
◇◆◇
inオニドナルド
福の神「ははうえ……ここは、えらくさわがしい」ぎゅっ
鬼「福ちゃん、ごめんね。早く買って帰ろうね」
鬼は福の神に五歳くらいの大きさになってもらってオニドナルドに来たよ!
福の神「……おやこうこう、おやこうこう」ぎゅっ
鬼「福ちゃん」じわ
転売鬼「このラッキーセットをあるだけもらおうか」
店員鬼「え?」
鬼(えっ!?)
転売鬼「早くしろっ、客を待たせるのか!」
店員鬼「は、はい!承知致しました!」びくっ
なんと、目の前に立っていた偉そうな鬼が大変な事を言い出したよ!しかも、子鬼も居ない!
そうなのです!ラッキーセットは子供じゃなくても買えるのです!
鬼(えっ、この鬼。今、ラッキーセットあるだけ全部って言った?そ、そんな。絶対この鬼、組立人形が人気だからって転売する気だ……!)あわあわ
転売鬼「ったく、あんな餓鬼の玩具が高値で売れるなんて。陰性の鬼(インキャ)っつーのは良いカモになるぜ」チラ
鬼「~~っ!!!!?(やっぱり!!)」
福の神「……」じっ
鬼(……せっ、せっかく福ちゃんに我慢してもらってここまで来たのに。こんな事になるなんて。でも、バカにされても言い返せない)じわ
福の神「……親孝行をせねば」
次の瞬間、福の神は五歳の姿からいつも通りの大きな姿になったよ!
福の神「おい、そこの外道鬼」
転売鬼「あぁ、なんだ……って、え!?は!?」
福の神「お前は金輪際オニドナルドの敷居をまたぐ事は許さん」
転売鬼「な、なにを(コイツ、まさか……)」
福の神「鬼は外」ぼそ
転売鬼「っへ、う、うわああああ!」
転売鬼は、福の神の言霊の力でぴょーんとオニドナルドから弾き飛ばされたよ!
遠く、遠くまでね!
鬼「……う、うわぁ」
福の神「おい、店の者」
店員鬼「はっ、はい!(福の神がどうしてここに!?)」
福の神「先ほどの外道の注文は無しだ。ラッキーセットは欲しい皆の者ぞ」
鬼「っっっ!!(福の神様っ!)」
店員鬼「っは、はい!ありがとうございます!」ぺこ
福の神「というワケで、ラッキーセットを我が母上に献上せよ」
鬼「っあ、あ!お金は払いますので!」
店員鬼「いえ、どうか献上させてください!おかげでラッキーセットが守られました」
福の神「ラッキーセットは二つだ。俺と母上の分」
店員鬼「承知致しました!福の神様、どうもありがとうございました」ぺこ
ザワザワ
\福の神様が転売鬼をやっつけたわ!/
\なんてご立派なのかしら!/
\どうやら、あの福の神様は恐ろしい方ではないらしい/
ザワザワ
鬼(わぁ、福の神様がオニドナルドの鬼達に注目されてる……)
福の神「ははうえ」ぎゅっ
鬼「えっ?あれ?福ちゃん?」
福の神「はよう、かえろう。ここはえらくさわがしい」
鬼「あっ、あっ!そうだね(福の神様は怖いのに頑張ってくださったのか)」ぎゅっ
店員鬼「どうぞ、ラッキーセットお二つです!お代はけっこうですので」にこ
鬼「あ、ありがとうございます。……あの、福ちゃん?」
福の神「れいをいう……」そろ
福の神は目を逸らしながら頑張ってお礼を言ったよ!えらいえらい!
鬼「帰りましょうか」
福の神「ん」ぎゅっ
こうして、二人は無事にラッキーセットを手に入れて家に帰りました。
ここから、福の神は福の神にも関わらず鬼達からちょっぴり「信仰」を集めるようになりましたとさ。
福の神「ぁぁうえ」ぎゅっ
鬼「よしよし。福ちゃんは良い子」
知らない人の前に出過ぎた福の神は、その日、赤ちゃん福ちゃんで過ごしました。
福の神の行動原理は全て「親孝行かどうか」