【いや、どうでもいいわ】
ビロウ『……そう言う事か』
レス『そういう事よ』
バット『そういう事です』
アンダー『いん、おおきい、だっこして』
イン『まって、ちょっとまって。大きい抱っこは、あとにしよう?』
アンダー『いやいやいやいや』
ビロウ『……アンダー、うるせぇ。我慢しろ』
アンダー『っうぅ、うえぇ』
イン『大きい抱っこだよ!さぁ!飛んでいけー!』
アンダー『ふー!』
バット『大きい抱っこって、高い高いの事だったんだ』
レス『……何アレ。楽しそうね』
ビロウ『ったく。お前が甘やかすから、アンダーがお前にばっか甘えんだよ。無視しろ、無視』
イン『可愛いからっ!無理!ほーら!大きい抱っこだよー!』
アンダー『ふー!』
ビロウ『で、だ。お前』
レス『何よ』
ビロウ『ソイツがお前の男ってワケか?』
バット『っ!』
レス『クズ。そんな言い方しないで。バットが私の夫よ。アンタじゃない』
バット『レッ、レス!』
アンダー『いん。ぐるぐる、ぐるぐる、して』
イン『ほーら!グルグルー!』
レス『いいわよ!?この際だから全部言ってやる!私、アンタの事を一度だって好きだった事なんてないわ!お役目で結婚しただけで、私!あんたみたいな貴族貴族した嫌味な男、大っ嫌い!私が好きなのはバットなの!』
バット『レスっ!』
ビロウ『へぇ、気が合うな。俺もだ。俺もお前みたいな、気の強ぇ、偉そうな癇癪持ちの貴族然とした女なんか、嫌いだよ』
レス『っ!クズ!クズ!マスター!コイツ本当にクズよ!貴方、コイツから離れた方がいいわ!』
バット『レス。言葉が汚いよ』
レス『無理!この男を表すのに、綺麗な言葉じゃ足りないの!マスター!もう、マスター!』
イン『き、気持ち悪い……』
アンダー『いん。もう、いいよ』
イン『……うん、そうさせて』
ビロウ『おい、イン。コッチに来い』
イン『あ……ハ。うん』
アンダー『ぎゅって、して』
イン『はいはい』
ビロウ『レス。お前がインに何と言おうと、インは俺から離れねぇよ』
レス『っな!』
ビロウ『おい、イン。いつもの此処に座れ』
イン『え?え?今、二人が居るよ?(っていうか!レスさんが居るのに!?)』
ビロウ『いい。早く』
イン『……ハ、うん』
バット『う、うわぁ(マスターが、あの人の足の間で囲われてる、その腕に子供が居ると……まるで)』
レス『悪趣味!悪趣味!マスター!嫌なら嫌って言っていいのよ!私が許すわ!何かあっても、うちの実家が守るように言ってあげるからっ!だから――』
ビロウ『イン。お前、俺にこうされるのが嫌だったのか?そりゃあ、知らなかったな』
イン『えっと、その』
ビロウ『(顔が赤けぇな……すげぇ可愛い。さすが、俺の妻だ)ほら、イン。あの癇癪女に言ってやれ。お前の気持ちをそのまま。俺が、許す』
アンダー『……ね、むい』
イン『……えっと、あの。い、嫌じゃ、ないです』
レス『マ、マスター。貴方……えっ、本気?だとしたら、趣味、物凄く悪いわよ?』
ビロウ『マジで、テメェは可愛くねぇな』
レス『アンタは、心底カスよ』
アンダー『……ぃん。とん、とん。して』
イン『はいはい。とん、とん』
ビロウ『……』
イン『ふふ』
レス『(あの男が、マスターを撫でてる?あの、クズが?あんな顔もするの?え?分からない分からない!)』
バット『なんだか……この3人って家族みたいだ』
レス『……バット、何を』
バット『だって、見てよ。レス。確かに、そう見えるよ』
ビロウ『……みたい、じゃねぇ。俺達は家族だ』
レス『!!』
ビロウ『お前らがどこでどうしようと、どうでもいい。まぁ、他所でガキを作られると、ちと面倒だが……俺はもうお前らに関して、何も言わねぇよ。つーか、今までも何も言わなかっただろうが』
レス『……アンタ、まさか本気で。マスターを』
ビロウ『……本気で、なんだ?』
——-本気で、愛しているの?
レス『(私ったら、おかしい。愛する事に、本気以外の何があるのよ)……何でもないわ』
ビロウ『レス。お前もいっぱしの貴族なら、貴族らしい振る舞いで、勝手にしろ。俺はこれまでも、これからも……何もいわねぇよ』
レス『……ふん。じゃあ、勝手にするわ』
イン『……すぅ』
アンダー『すぴすぴすぴ』
レス『アンダーったら。私が触れると固まっちゃうのに。マスターだと、こんなに甘えるのね。マスターも……子供みたいに寝ちゃって』
ビロウ『そりゃあそうだ。アンダーの母親は、インだ』
レス『……そ。まぁ、マスターなら……分かるわ』
———母親!?いいの!?俺!この子育てたい!
レス『……本当になったわね。マスター』
ビロウ『おい、インに触んな』
レス『……気持ち悪い男ね。バット!行きましょ!好きにしていいって!』
バット『あぁ、そうだね』
ビロウ『さっさと出て行け。ここは、俺の家だ』
バット『……失礼しました』
ビロウ『へぇ(思いの外、立ち居振る舞いがしっかりしてんじゃねぇか)』
ガチャリ
ビロウ『やっと静かになったぜ』
アンダー『すぴすぴすぴすぴ』
イン『すぅ』
——–あいしてる
——–はなれたくない
ビロウ『……はぁーっ』
イン『……むぅ。びろう』
ビロウ『(あぁ、此処に居たのが、オブじゃなくて。本当に)……良かった』
【ふりんのキューピッド】おわり!
——–一言———
はいじ「あの場所に居たのが、インの招き入れたオブじゃなくて、本当に良かったと。内心、グッタリする程ホッとするビロウであった」
【後日談】
その後、レスとバットは晴れて日の下を二人で歩けるようになりました。
しかし、二人共、インの店が落ち着くのか、以前よりも高頻度で、インの店へと訪れるようになったという。
ビロウ『いや、なんで居んだよ!?お前ら!もう、此処じゃなくてもいいだろうがっ!』
レス『私は客なのよ!?黙ってなさいよ!』
バット『ええ。客としてきました』
オブ『……イン。今日のお勧めは?』
ビロウ『お前も出て行け!?オブっ!』
オブ『……イン?』
イン『貴族ばっかりだなぁ』
おわり!
——-以下、通常お喋り——–
【イン、誰が来たかもう一度言ってみろ】
イン(21)、ビロウ(20)、アンダー(1)
ビロウ『おい、イン。来たぞ』
イン『わーっ!アンダー!』
ビロウ『オイ、イン。此処には誰が来たんだ?やり直せ』
イン『っは!はい!』
ビロウ『…』
イン『(じっ)』
ビロウ『(俺からやれってか)……おい、イン。来たぞ』
イン『わーっ!ビロウー!』
——–一言——-
はいじ「とんだ茶番。ビロウにとっては重要」
【ふふん、俺はビロウのペットなんだ!】
—-ビロウシリーズ
イン、決断の時。直後。
カラン
イン『いらっしゃいませ!』
オブ『イン』
イン『…オブ』
オブ『あの、客として、来たよ』
イン『約束思い出した?』
オブ『っご、ごめん』
イン『もういいよ』
オブ『イン!ごめん、本当に!時間をかけて償うから』
イン『もう叶ったからいいよ』
オブ『え』
イン『ほら、仲直りしよう。俺はオブに会う為にここまで来たんだ』
オブ『ッイン!』
イン『触るのはダメ!俺はビロウのペットなんだから!』
オブ『っぺ、ぺっと!?』
イン『そうだよ!ふふん』
オブ『っ何で、そんな得意気なの!?』
イン『ふふん!』
オブ『(っクソ、ビロウの奴!)』
———一言———
はいじ『この日から、オブは煮え湯を飲まされた屈辱を、表情から一切消し、虎視眈々とインを絆す日々に専念します。一旦この後、ビロウの屋敷に怒鳴り込みましたよね。イン的にはビロウのペットというのは、非常に誇りなのでした。それ故の!ビロウとの相性のよさ!』
【ぼくも、おとうさまと、おんなじ。いんのほうが、かわいいって、おもうよ】
アンダー『いんは、おとうさまと、いつから、なかよし?』
イン『いつだったかなぁ…アンダー位の頃だったかな?』
ビロウ『(ちげぇだろ)』
アンダー『おとうさまは、ちいさいときから、いんがすき?』
ビロウ『あ?んなモン』
イン『お父さんはね、俺の妹が好きだったんだよ?』
ビロウ『っな!』
アンダー『ふうん』
イン『俺の妹ね、ニアって言うんだけど、すごく可愛かったんだよ?ビロウはいっつもニアに会いに来てたよね?』
ビロウ『くっ(確かに最初はニア目当てだったが)』
アンダー『にあ?にあ、どこ?』
イン『遠くだよー』
ビロウ『(でも後半はほぼお前と会ってたじゃねぇか!?)』
イン『お父さんは優しくてね、いつも、ニアに上げる為のお菓子を、俺にくれてたんだよ!』
アンダー『…おかし』
ビロウ『(もう、後半はお前に持って行ってたんだよ!?わかんだろ!普通!)』
イン『うちは貧乏だったからビロウがくれるお菓子、本当に嬉しかったなあ。ニアの分取って悪かったなぁ』
アンダー『おとうさま』
ビロウ『……なんだ』
アンダー『いんと、にあは、どちらが、かわいいですか』
ビロウ『っ』
イン『アンダー?ニアに決まってるでしょう?俺は男だから、かわいくな』
ビロウ『インだ』
イン『へ』
ビロウ『お前は、可愛いだろ。ニアよりな』
イン『っへ!?えっ!えぇえ!?』
——–ふたこと、みこと——-
はいじ『この後、ビロウが引くくらい、インは驚きが長引く。ベットの中でも、ピロートーク中も。次の日の朝ご飯中も。実はビロウから面と向かって褒められた事が、インはほぼ無いのでした。なので、照れるとかより、ともかく驚愕しっぱなし。最終的にコレ』
イン『可愛いって……なんだっけ?』
ビロウ『まだいうかっ!?』