<小話2>:親子で変わる、変えられる

ツイッターまとめ

〇前世&金持ち父さん貧乏父さん編〇

 

【登場人物】

 

イン(10)

顔の好みが比較的ミーハー。見目の良いものが好き。オブはもちろん好き。

 

オブ(10)

この辺りから、オブの世界はインかそれ以外かの2種類になる。インが好きなのは言うまでもない。

 

スルー(27)

インの父。変わり者。大人からは煩わしがられているが、子供からは好かれている。周りの事など気にしない。自尊心天元突破男。

 

ヨル(30)

ヨルはスルーの付けた愛称。オブの父。無口。無表情。夜は酒が無いと眠れない。末っ子で兄達から雑に扱われてきた為、周りの目をいつも気にしている。自尊心どん底男。

 

 

 

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スルー『わたしを、たべる。すべてを飲み込む真っ暗の闇。けれど、ちがったの。』

ヨル(仮)『……また変わった歌を』

スルー『弱虫ヨルが周りを気にしなくていいように元気の出る歌を選んでやってるんだよ!』

ヨル『…不愉快だ』

スルー『そうやって気に食わない事があるとすぐ帰ろうとするの、子供みたいだぞ。ガキヨル』

ヨル『あ゛大愚が!』

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イン『オブ。お父さんがね、最近夜に友達と会ってるって言うんだ』

オブ『スルーさん?あの人に友達なんているの?』

イン『お父さん、変わり者だから俺が一番の友達だったんだ』

オブ『………そう』

イン『空想の友達だと思うんだ。名前も夜に会うからヨルって』

オブ『大人ってそんなんでいいんだ』

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スルー『ヨル!俺の愛好者であるお前に特別に望みの歌を歌ってやろう!』

ヨル『なんだ、その愛好者というのは。気色悪い』

スルー『照れる必要はない!お前は俺の虜なんだろう?それは誇って良い事だ!』

ヨル『大愚が』

スルー『何だ、違うのか?』

ヨル『……お前の、ではない。お前の歌の、だ』

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スルー『俺の子供達の話を聞くか?』

ヨル『嫌だと言っても勝手に話すのだろう』

スルー『ヨル、お前は俺の愛好者から俺の一番の理解者になったな!大出世だ!』

ヨル『…………』

スルー『俺の子供達は俺の次に可愛いんだ!見たいだろ!?今度叩き起して連れてきてやろう!』

ヨル『本当にやめろ』

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イン『ねむい……ねむい。むにゃむにゃ』

オブ『(むにゃむにゃ言ってる)イン、どうしたの?眠いの?』

イン『うん。きのう、おとうさんに、ねてるところ、おこされて、おんぶされて、そとに』

オブ『は!?何しに!?』

イン『わかんない……だれかに会ったみた……ねむい』

オブ『大人って何!?』

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スルー「俺の息子は可愛かっただろ!?次は娘を叩き起して連れて来よう!」

ヨル「……俺は産まれて初めて他人に恐怖を覚えたぞ」

スルー「ははっ!何言ってんだ!ヨル!お前は俺だけじゃなく色んな人間を怖がってるじゃないか!」

ヨル「不愉快だ。帰る」

スルー「おう!また明日な!」

ヨル「~!」

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ヨル『…その顔はどうした』

スルー『これか。今日は娘をお前に見せたくてな!連れてこようとしたら、泣いて暴れてこの有様さ!』

ヨル『この大愚が』

スルー『どうしてもヨルに俺の宝物を見せたかったんだ!』

ヨル『迷惑だ』

スルー『迷惑…?あぁ!お前は俺を独り占めしたいんだな?』

ヨル『……』

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イン『ねむい……』

オブ『まさか、またスルーさん?』

イン『ん……昨日はお父さんが寝てるニアにちょっかいかけて……ニアが癇癪を起こして、大暴れしたから……おれ、べっどからおとされて。…おぶ、一緒に、おひるねしよ』

オブ『もおお!何あの人!!大人なのに!』

イン『…ほら』

オブ『~!』

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ヨル『っふー』

スルー『ヨル。お前はそんな苦いモノが好きなのか?』

ヨル『さぁな』

スルー『こないだお前の置いていったのを咥えてみたが、それはからっきし美味しくなかった!』

ヨル『咥…やめろ。汚い』

スルー『どうせなら、甘い星ってやつを咥えたらどうだ?』

ヨル『また、訳のわからん事を』

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イン『こんな、甘いの、生まれて初めて食べた……』

オブ『(インが恍惚としてる)こ、金平糖って言うんだよ』

イン『こんぺ?でも、コレ本に出てきた、星みたい。星は甘かったんだ……帰ったらお父さんに教えてあげないと。おいしい、あまい。もっとほしい、オブ』

オブ『~~!!』

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スルー『オブ、甘い星ってのを持ってるんだってな!俺にも一つくれないか?』

オブ『スルーさんに上げるやつはない』

スルー『ケチだな!インばっかりズルいぞ!差別だ!』

オブ『別に僕は、スルーさんを差別してなんかない。インか、それ以外かで差別してるから。どちらかと言えばインを差別してる』

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オブ父『(甘い星……)』

 

オブ『出来るだけ大量に、早く、取り寄せを頼む』

執事『オブ様が甘い物を好むなんで珍しいですね』

オブ『ま、まぁね』

オブ父『何事だ』

オブ『おっ、お父様。えっとこれは、その』

執事『オブ様が金平糖を取り寄せられるそうです』

オブ父『金平糖。っ!…そういう事か』

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スルー『お、今日は煙は吹かしてないのか!やっとヨルもあの不味さに気付いたようだな!』

ヨル『…』

スルー『ん?何か食べているのか?』

ヨル『…』

スルー『何を食べてるんだ!?』

ヨル『近い』

スルー『甘い匂い…まっ、まさか!甘い星か!?』

ヨル『どうだかな』

スルー『っこの!ケチヨル!』

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スルー『オブ。お前のお父さんはどんな人だ?』

オブ『お父様?少なくともスルーさんみたいではない』

スルー『そうだろうとも!俺は弱虫じゃないからな!』

オブ『は?誰の話?お父様は怖い人だよ。無口だし。スルーさんみないにヘラヘラしてない』

スルー『そりゃあ面白い!』

オブ『どこが!?』

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はいじ『一週間、敢えて金持ち父さんと、貧乏父さんには、彼らの会っていたであろう深めの夜の時間にツイッターで会話をして貰ってきました。“ヨル”と“オブ父”としての顔の二極化が順調に進行してきましたので、次頁から【金持ち父さん、貧乏父さん】の続きを掲載します』