長編お喋りシリーズ
(途中で小説になります)
外伝:アウト、オブの盛りに心の中をべちゃべちゃにされる
———前書き———–
オブとインの若さ溢れる交流に、アウトはある日、怒髪天を衝く。
アウトは二人の若い欲求を抑え、健全な道へと導く事が出来るのか。
※下品な表現はありますが、それらしい描写はありません。
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アウト「……オブめ」
ウィズ「どうした、アウト?またオブに虐められたのか?」
アウト「いじめっていうか、叱られるのは毎日……けど、そんな事よりもっと酷いのが……やっぱり、いい」
ウィズ「……どうした?言ってみろ。俺には何でも話すと約束しただろう。約束破りか?」
ヴァイス「やぁ!アウトの為に僕がやって来たよ!」
ウィズ「消えろ」
ヴァイス「アウトからは、非常に言いにくい事なのさ。だって、オブは別人とは言え、お前の半身だからね」
ウィズ「なんだと?アウト、お前。アイツに何かされたのか?」
アウト「心を……べちゃべちゃにされてる」
ウィズ「おい。もっと、分かるように、説明しろ。25の約束を忘れたのか?」
アウト「む」
ウィズ「ほら、言ってみろ。約束」
アウト「約束その3。相手に伝わるように説明する」
ヴァイス「(子供との約束かな?)」
ウィズ「そうだ。さっきのでは、ちっとも伝わらんぞ」
アウト「……む。だって」
ヴァイス「ま!言いにくいよねぇ?だって、オブのヤツ、すぐに仕事中にインを裏に引きずって行って情交ばっかりしてるなんてさ」
ウィズ「……っは!?そうなのか!?」
アウト「いっつも、別に見たい訳でもないのに目撃しちゃって。ビックリして、オブが凄く睨むから焦って逃げるんだけど……ねぇ。ウィズ!なんで、俺が睨まれなきゃならないんだ……?俺は何も悪い事してないのに」
ウィズ「……あいつ」
アウト「ずっと離れ離れだったから仕方ないって思って、最初の1カ月は黙って見逃がしてたけど。全然、二人とも反省しないし、ずっとずっとヤって!もう!俺の心は、あの二人の体液でベチャベチャだ!うう」
ウィズ「そう言う…べちゃべちゃか。本当にすまない。いや、伏して謝ろう。本当に悪かった。もう、連れて帰ろう。俺の身がどうなろうと、一旦、連れて帰ろう。そして説教だ」
アウト「それは、ダメだんだ」
ウィズ「俺の事は心配するな、どうにかしてみせ」
ヴァイス「別にアウトはお前の事を心配してるんじゃないさ」
ウィズ「どういう事だ?」
アウト「俺も、先週はさ『もう許さん!』って思って、オブに言ったんだよ。『あんまりそんな事ばっかしてたら、ウィズの所に帰ってもうぞ!』って。そしたら……オブは俺が絶対そんな事しないって分かってるから『ご自由に』って笑ってたけど……インが、インが……」
—–アウトのマナの中、回想——-
イン『マスター。オブをどうするの?遠くへ行かせるの?もう会えないの?』
アウト『このままだと、そうしなきゃいけないよ!?インもちゃんとダメな時はダメって言わなきゃ……』
イン『そっ、そん嫌だ!せっかくまた一緒に毎日居れるのにっ!』
アウト『そうなりたくなきゃ、ちゃんと分別を……』
イン『いっ、いや。いやいやいや!いやだっ!うああああああん!』
アウト『え、え。ちょっ!まっ』
——回想 了————————
アウト「あの日の夜、俺は嘔吐と下痢と頭痛と、高熱が出て……次の日は仕事を休んだ……インの強すぎる感情が本体の俺の体に攻撃してくるから……インはそんなつもりないんだろうけど、あれはちょっと。もう、無理」
ヴァイス「何故か、アウトがインに謝ってたもんね」
ウィズ「それは……どうしたものか」
ヴァイス「タオルが止めても聞かないしねぇ」
ウィズ「タオル……アイツでも無理なのか」
ヴァイス「隙あらば、だからね。彼らは」
ウィズ「オブのヤツ。15とは言え、そこまで盛大に盛っているとは」
ヴァイス「あはっ!お前も大して変わらないじゃないか!週末のあの情交の仕方は、特殊な事なんて何一つしちゃいないのに、あそこまで情事に変態性を発揮できるなんて逆に凄いよね!あは」
ウィズ「黙れ。覗くな変態ショタジジイが」
ヴァイス「ひどいなぁ。僕は敏感なんだよ!覗いてる訳じゃない。僕から言えば15の彼と24のお前。どっちも盛りのついた犬である事は変わりないね」
ウィズ「お前と違って、俺はまだ若いからな」
アウト「15歳……」
ヴァイス「どうしたの?アウト。また心がびちゃびちゃかい?」
ウィズ「言い方」
アウト「そうなんだよなぁ。インもオブも15歳なんだよ」
ウィズ「インはそうかもしれないが、オブはお前より上だ。そういう生き方を選んだからな」
アウト「でも、インと居る時のオブは15歳だ。俺が、間違ってたかも」
ヴァイス「いや、仕事中に情交しまくる事は、別に”正しく”はないでしょ?」
アウト「そうだけど…そうじゃなくって。なんだろう」
ウィズ「ともかく俺も対処法を考えてみよう。インも話せば分かるはずだ」
ヴァイス「どうかね。あの時のインの泣き喚き方は尋常ならざるものがあったし。インもオブとは離れたくないんだよ」
ウィズ「だからと言ってアウトが我慢する謂れはない」
アウト「俺、ちょっと今日は帰る。明日も仕事だし。…俺の仕事と、二人の仕事は”ちがう”んだよなぁ」
ウィズ「…おい、アウト?おいっ!」
ヴァイス「行っちゃったね。あれは…何か考えてるね」
ウィズ「今は聞いても無駄だろうな」
ヴァイス「さて、世界規模の器の彼は一体これをどうするのかね」
アウト「(二人はまだ15歳なんだ。15歳の頃って、俺ってなにしてたっけ?働いて……なかったよな。もちろん。学窓行ってたし。お父さんが居てアボードが居て。友達と遊んで……働いてなんて、いなかった。俺は26歳なのに、どうして気付いてやれなかったんだろう。オブはもっとインと……)」
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アウト「ウィズ。おはよう」
ウィズ「どうした。今日は昨日あんなに酷くしたのに、早起きじゃないか。まだ余裕という事か?」
アウト「ううん。がんばって起きた。本当はまだねむい」
ウィズ「寝ててもいいんだぞ。まだ週末は始まったばかりだ」
アウト「ウィズはすごいなぁ。俺と違って寝てないのに」
ウィズ「俺は、夢中になったら眠気を忘れる種類の人間なんだよ」
アウト「ウィズはおれにむちゅうかぁ……」
ウィズ「合ってはいるが、これは、ほぼ寝ぼけているな。おい、アウト。もう少し寝るといい」
アウト「ううん。やることあるから……ウィズもてつだって」
ウィズ「なんだ?何をする気だ」
アウト「今からおれ、インを説得して表にだすから、遊び相手してて」
ウィズ「そんな事が出来るのか?」
アウト「わからない。けど、やってみる。イン抜きで、オブと話してくるから。インを街にでも連れてってやって」
ウィズ「あの、例の…件か?」
アウト「びちゃびちゃ?」
ウィズ「っく、そうだ」
アウト「そう。びちゃびちゃは俺のせいだって気付いたから、オブに謝りにいくんだ」
ウィズ「だから、別にお前は何一つ悪い事はしていないだろう」
アウト「ううん。わるいことした。だから、オブと仲直りしたいんだ。その為にインには席を外してもらいたいんだ」
ウィズ「だから、遊んでやって、か」
アウト「ウィズ、おねがい。てつだって」
ウィズ「…はぁ。まぁ、事前に俺に相談するだけ、マシになったというものか」
アウト「できれば、インが楽しくなるところへ連れてってやって。びちゃびちゃを怒らなくていいから」
ウィズ「わかった、わかった。ただ交代したきり戻れなくなった、はナシだぞ」
アウト「うん。俺がマスターだから大丈夫。でも、何かあったらヴァイスに相談する」
ウィズ「それはそれで腹が立つな」
アウト「じゃあ、行ってくるね」
ウィズ「……あぁ」
アウト「よいしょ」
ウィズ「(完全に布団で寝る体勢にしか見えん)」
アウト「おや、すみ」
ウィズ「寝る気満々じゃないか」
〇
アウト「イン、オブ。今日は店はお休みにしよう」
オブ『休み?なんで?』
イン『風邪でも引いたの?大丈夫?』
アウト「風邪じゃないから大丈夫。ちょっと、やりたい事があるだけだから…だから、インにお願いがあるんだ」
イン「なあに?」
アウト「集中したいから、表の”俺”をインに任せたいんだ」
イン『な、なんで?いつもみたいに、アウトが潜らなくても、マナのアウトが動けばいいんじゃん』
アウト「それだと、時間がかかるから」
イン『……あ、わかった!俺が居ない間に、オブを追い出すつもりなんだ!ダメだよ!そんな事しようとしたら、俺、また怒るし暴れるよ!?」
オブ「……イン」
アウト「そんな事しない。オブの家は、ここなんだから追い出したりなんてしないよ」
イン『でも、こないだマスターは”オブを追い出すよ!”って言った!』
アウト「あれは……ごめん。言い過ぎた。もう、そんな酷い事は言わないし、しないって約束する!休みの日なのに、俺がずっと寝てたら……」
アウト「きっと、ウィズが悲しくなるから……インにウィズと遊んでやってて欲しいんだ」
イン『……ウィズ?誰だっけ?』
アウト「タオルと同じ顔の、俺の恋人だよ」
イン『あぁ!あのタオル!』
アウト「外で好きな所に行って遊んで来ていいし!ウィズにも伝えてあるから!お願い!ウィズと遊んであげて!」
イン『外、かぁ…外』
オブ『…』
アウト「外は楽しいよ!何でもあるからね!」
イン「…でも、俺が居なきゃオブが寂しがるよ』
アウト「オブには!手伝ってもらいたい事があるんだ!寂しがってる暇なんてないよ!」
イン『俺、オブが行かないでって言うなら行かないよ!オブが寂しいのはダメだから』
オブ『いいよ。行ってきな。イン、外が見たいんでしょ?あそこは都会だから、色々なモノがあるよ」
イン『いろいろな……お、オブ。ちょっ、ちょっとだけ、じゃあ、見て、こよっかな?』
オブ『うん。いいんじゃない』
イン『寂しくなったり、マスターに酷い事をされたら、俺を呼んでね。怒るから!』
オブ『わかった。その時はすぐにインを呼ぶから』
イン『オブ。約束だよ?マスターも約束して。オブに酷いことはしないし、言わないでね!』
アウト「わかってる。インも外では気を付けるんだよ。悪い人も居るから、ウィズから離れたらダメ」
イン『あはっ、悪い人なんかこの世界に居ないよ!』
イン『じゃあ、行ってきまーす!』
オブ『インの中だと、悪い人間なんて居ない設定なんだ…やっぱ止めれば良かった。心配過ぎる』
アウト「大丈夫だよ。俺の体なら、どんな攻撃にも耐えられるから!」
オブ『アウトは、どんな悪者を想像してるんだよ…で?何?アウト、アンタは俺に用があるんでしょ」
アウト「うん。俺、ずっとオブと話したかったんだ!イン抜きで!」
オブ『とうとう、か』
アウト「とうとう?……あ!インは早速、ウィズとお散歩に出かけたみたいだよ。だから」
——-オブ、俺達も腹を割って話そうか?
俺はオブに向き直ると、初めて二人きりになる彼に少しだけ緊張したのだった。
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