(外伝42):首都にて~貴族の癒し~

外伝:首都にて
~貴族の癒し~

——-前書き——–
此方は、前回の続き【ビロウの鳥かご】の後、二人が首都にやって来るお話です。途中、ビロウはお見合いを経て結婚し、子供が出来、インは完全にビロウのペット(妾)のような存在になります。その脇で、ビロウによって支援され実現した、夢であった酒場を切り盛りする。そう言うお話です。

(やっぱり、激注意!)
不器用傲慢捻くれ貴族×純粋平凡村人
すなわち、がっつり【ビロウ×イン】です。本編からすると、NTR要素がある内容になっておりますが、R18の描写はありません。
———————–

 

ビロウ16歳 イン17歳
まだ鳥かご

ビロウ『はぁっ。とうとう、俺も見合いか…どこの女になるのやら』
イン『知らない人なの?』
ビロウ『知らん。どうせ、どこぞの貴族の娘だろ』
イン『可愛い子だとといいね!』
ビロウ『まぁ、それも大事だが、顔だけ可愛くても仕方ねぇんだよ。きっつい性格の奴だったら目も当てられん』

イン『じゃあ、ビロウはどんな子がいいの?』
ビロウ『素直で従順。文句を言わず、余計な事に口を挟まない。俺の言う事には全肯定で、常に俺の後ろをついて歩くような女…なんて、貴族の女に早々いねぇだろうな』
イン『あ、えっと……大丈夫!きっとそういう子だよ!ビロウの奥さんは、きっと良い子だ!』
ビロウ『……あー』
イン『えっと』
ビロウ『まぁ、一人居りゃ充分か』
イン『?』

      〇

飼われ始めたばかり。イン風邪を引く。
イン(15) ビロウ(14)

イン『うぅ、うぅ。あつぃ』
ビロウ『……貧乏人の癖に、何熱なんか出してんだよ』
イン『っひく、っひく、うぇぇん』
ビロウ『なに、泣いてんだよ…そんなにオブに会いたいのかよ』
イン『…おどぅさん、おがぁさん』
ビロウ『……ガキ』

—補足—-

はいじ「少しだけホッするビロウ。この頃のビロウはインの口からオブの名前が出るのを非常に気にします」

       
      〇

鳥かごを出る直前。イン、風邪を引く。
イン(17) ビロウ(16)

イン『はぁっ、び、びろ』
ビロウ『おい』
イン『はぁっ、っうえっ』
ビロウ『ったく、汚ねぇな』
イン『ごめ、ごめなさっ、ぅえ』
ビロウ『ペットの世話は飼い主の役割だ』
イン『っびろ、びろうっ。うぇぇん』
ビロウ『ったく』

     〇

【首都へ~インの一人暮らし~】

イン『ここが……首都かぁ!凄い凄い!大きい大きい!』
ビロウ『はしゃぐな、田舎モン』
イン『わぁ!ビロウ!あれは何!?』
ビロウ『……イン。お前、俺の声が聞こえないのか?』
イン『っ!ごめんなさい(ビロウの前に出ちゃった)』
ビロウ『分かればいい。見ろ。ここでお前は酒場をやれ』

イン『…うん』
ビロウ『ここは場所が良い訳でもねぇから、すぐに客はつかないだろう。でも、まぁ、しっかりやれ』
イン『…ねぇ』
ビロウ『なんだ?』
イン『ビロウは、来ない?会えない?』
ビロウ『バカ言うな。お前、自分の役割を忘れた訳じゃないだろうな。言ってみろ』
イン『ビロウのペット』

ビロウ『そうだ。俺も忙しい。結婚もする。毎日は来れないが、お前は俺以外にその体を触れさせるな。いいか?分かったな』
イン『うん。明日は来る?』
ビロウ『調子に乗るな。俺が来たい時に来る。お前に希望を述べる資格はない。言いつけを守っていたら、まぁ、良い事もあるだろ』
イン『うん!』

—–補足—–
はいじ「そこそこ毎日やって来るビロウ」

      〇

【首都の人々の癒しイン~ビロウの結婚~】
ビロウ『(あぁ……そこそこ苦手なタイプの女だった)くそっ。これからあの女と……はぁっ」

—いつの間にかインの店の前に居たビロウ—-

イン『あんまり飲み過ぎないようにね』
イン『すごいねぇ!おめでとう!』
イン『これ、くれるの?』
イン『ふふ、可愛いなんて初めて言われた』
イン『また来てねー!』

ビロウ『ったく、アイツ』

—–補足—–
はいじ「既に口コミで満員御礼の店。客は全員男」

 

       〇

——店じまい後。

ビロウ『おい、イン』
イン『ビロウ!今日も来てくれたんだ!嬉しいなぁっ!入って入って!』
ビロウ『繁盛しているみたいじゃないか』
イン『うん、みんな優しいんだ。あっ、ビロウ。これ、今日の売り上げです』
ビロウ『あぁ』
イン『ビロウ、疲れてる?』
ビロウ『……少し』

イン『えっと、俺はビロウのぺっとなのは分かってて、だから、これはお願いとか、わがままじゃなくって…』
ビロウ『わかったから、言え』
イン『今日は、ここで、休んでいく?』
ビロウ『……あぁ。そうするか』
イン『っ!待ってて!準備するから!ビロウはゆっくりしててね!ふふ』
ビロウ『(帰りたくねぇ)』

——-補足——-
はいじ「ビロウとオブの違い。オブだったら店は絶対に辞めさせる。自分の知らない所でインが知らないヤツに囲まれているのは許せない派。一方ビロウは、割り切っている。モヤモヤはするものの、仕事は仕事。あと、オブと違って所有物としての躾を長年してきたので、ある意味信頼している」

       〇

イン『ビロウ、昨日来てくれたから今日は来ないかなぁ』
ビロウ『(昨日も来たのに今日も来てしまった…くそっ。家が息苦しいって何の拷問だよ!ただ、連日此処に来過ぎんのも、インが調子に…っし、今日は別の女の所にでも行くか)』

イン『じゃあ今日は、ビロウが毎日来てくれる為に何をしたらいいか考える日にしよう!あっ!忘れないようにメモをしておかないと!』
ビロウ『……』

イン『えーっと。まず、ビロウが来たら“おかえりなさい”って言って、温かい飲み物を出してあげる』
ビロウ『……』
イン『最近は疲れてるみたいだから、話をたくさん聞いてあげる。たくさん“そうだね”って言う』
ビロウ『……』

イン『そして、お風呂にすぐに入れるようにビロウが来た時すぐに、薪をくべておく』
ビロウ『…………』
イン『そして、ビロウがすぐに気持ちよくなるように、俺もちゃんと準備しておく。ベッドも綺麗にしておく』
ビロウ『…………』
イン『がんばって、気を失わないようにして、ビロウに“おやすみ。おつかれさま”っていう』

ビロウ『イン!来たぞ!』

———補足——–
はいじ『こうして、ほぼ毎日やって来る』

      〇

 

イン『(初めてビロウから、おきゅうりょうを貰った!どうしよう。な、なにか、買う?買おう!)……あ!そうだ!』

—-店にて—-
ビロウ『おい、イン。来たぞ。ん?なんか色々増えてんな(ったく、早速金を使ったのか)』
イン『へへ』
ビロウ『そんなに沢山ある訳じゃねぇんだ。無駄遣いすんなよ』
イン『無駄遣いじゃないよ!ほら、見て!ビロウのクッション、ビロウのグラス、ビロウの櫛、ビロウの』
ビロウ『……』

———補足——–
はいじ『ビロウに毎日来てほしくて、ビロウのモノを、どんどん買い揃えるイン。途中で止められる。ビロウは基本的に必要最低限のモノしかインには買い与えない。たまに、贈り物をする。躾系男子。オブなら逆に何かにつけてインに贈り物を渡す。甘やかし系男子。インからの贈り物は秘宝にする』

     
       〇

【ビロウの子供】
イン19歳、ビロウ18歳

ビロウ『イン。子供が出来たぞ』
イン『わぁっ!!ビロウの!?わぁっ!赤ちゃんだ!見たい見たい!』
ビロウ『まだ出て来ねぇよ。春だと』
イン『おめでとう!おめでとう!春生まれなんていいね!きっと可愛い子だよ!はああっ!』

ビロウ『(コイツ、もしかしたら一番喜んでるんじゃないのか?)』

 

        〇

 

——-ビロウの子。生まれる直前。

イン『春だね!ビロウの赤ちゃんがもうすぐ来る頃だ!ふふ。楽しみだなぁ!』
ビロウ『そんな楽しみなモンかね』
イン『楽しみだよ!春生まれは、あったかさを連れてくるから、幸福で温かい子になるって、村ではみんな言ってたよ!』
ビロウ『へぇ……』

ビロウ『じゃあ、イン。お前はいつ生まれなんだ』
イン『俺?俺は春生まれだよ!』
ビロウ『へぇ…春(春で良かったかもな)』
イン『ビロウはいつ生まれ?』
ビロウ『夏』
イン『夏は一番生き物が元気な時だよ!だからビロウはいつも元気なんだね!』
ビロウ『それは一体ナニの話をされてるのやら』

 

—–少し小説を挟みます——

【ビロウの錯覚~誰の子~】

 

 屋敷の一室で産声が上がった。
 その声に、周囲の人間が一斉に色めき立つ。けれど、俺にはその歓喜に満ちた表情や、肩に手を回される喜びを共有しようとしてくれる人間達に、一番ついて行けずに居た。

 あの泣き声を上げる赤子の父親は、この俺だ。それにも関わらず、俺は、一切その泣き声に心を動かされる事はなかった。

 子供と共に横になる、疲れ切った表情を浮かべる、俺の妻と呼ばれる女に、労いの言葉をかける。きっと、伝えた所でこの女は、俺に対して何の感情も抱きはしないだろう。
 俺は分かっているのだ。この俺の妻と呼ばれる女には、別の好いた男が居る事を。それを無理やり家の事情で別れさせられ、俺の所へ嫁いできたのだ、と。

 分かっているから、互いに深い干渉はし合わない。

 そもそも、貴族の結婚とは、すなわちそういうものであるからだ。そういうモノから、愛を育む者も確かに居る。けれど、俺達はそうじゃなかった。
 それだけだ。

 子供が産まれた時、妻は男の子である事だけを確認し、ホッとすると、すぐに乳母に子供を手渡した。

『男の子だそうよ。良かったわね』

 妻と呼ばれる女は、俺にそう一言告げるのみ。これで自分は“役割”を果たしたとでも言うように。それきり、俺の方を見る事はなかった。

 男か、良かった。これで俺も一つ、貴族としての役割をこなした事になる。跡継ぎを、確保するという。
先程、周囲の人間達が喜びの声を上げたのを、俺はうすら寒い気分で思い出していた。

———-良かった。

 何が、どう良いのか。
 乳母の腕の中で、か細い泣き声を上げる、あの生き物の誕生の、一体何が“良い”のか。本当に俺には理解できなかった。
妻は言う。男の子で良かったわね、と。ただ、それだけの良かった、である。

 それは俺も同じで、ただ、俺はそれが妙に寒々しくもあり、俺は生まれた我が子を腕に、インの所へ向かった。
俺はむしょうに、インに、会いたかった。

 ノックも声掛けもなく、我が家のように、扉を開く。そこには、一瞬驚いたような表情を浮かべたものの、すぐに笑顔になって俺を迎え入れるインの姿。
 けれど、その表情は俺の腕に抱えられた赤子を見た瞬間、これまで見た事のない程の歓喜に彩られた。

 それはまるで、春になり野原で一斉に花でも開いたような、そんな目を見張る程の暖かさを帯びていた。

『っうわぁぁ!!赤ちゃんだ!ビロウ!この子がビロウの子供!?』
『あぁ、そうだ』
『あぁっ、ごめんね。うるさかったね。泣かないでー!でも、良かったぁ!おめでとう!』
『……あぁ』
『ビロウも、これでお父さんだ!本当に、かわいいねぇ!だっこさせて!』

 俺は黙ってインに、急に現れた小さな生き物を手渡した。
その、俺の子と呼ばれる生き物を前に、インは酷く頬を高揚させ、喜びを露わにしている。この顔は、あの屋敷では誰もしなかったモノだ。
そんなインに、俺は先程までの寒々しかった気持ちが、綺麗に消えていくのを感じた。

『かわいいねぇ。生まれて来てくれて、ありがとう』

 心から愛おしそうに俺の子を見つめるインの姿に、俺は錯覚した。
この子供は、インと俺の子ではないのか、と。

そう思った瞬間、先程まで何の愛着もなかった、その小さな生き物が、俺にとっては“愛しい我が子”になった。

——小説ターン了——-

【赤子とイン】

イン『目はビロウ。眉毛の毛の色もビロウ。多分、この口はお嫁さん。でも、鼻の形はビロウ』
ビロウ『よくそんな生まれたばっかのヤツを見て、何がどうだか分かるな』
イン『わかるよ。俺はビロウの顔はよく知ってるもん。あぁっ、笑った!この顔はビロウだ!』
ビロウ『(インの…笑い方だ)』

——–補足——–
はいじ「とうとうビロウも、少しだけ狂ってきている。オブを抜きにして。狂い方はオブと似ている。そして、終わらないお話にそろそろ本気で焦る私」

      〇

 

イン『わぁっ!今日も赤ちゃんが来てくれた!赤ちゃん、ここに寝な!ここ!』
ビロウ『おい、イン。たまにしか連れてこれねぇ奴に、ベットやら何やら買うな。もったいねぇな』
イン『赤ちゃんの居心地の良くするモノはもったいなくない!あぁっ!いつ見ても可愛いなぁ。いい子だなぁ』
ビロウ『(……こいつは、俺にも同じようにやってたからな)』

———補足——–
はいじ「これがオブなら、我が子にも嫉妬して、もう絶対に連れてこなくなる。ビロウは少しずつインに狂ってきている為、子供はインと自分の子だと錯覚が強まる。それ故、何かにつけてインの元へ我が子を連れてくるようになる。ビロウ。その為、周りからは子煩悩だと思われている」

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