7:ビロウシリーズ完結!ヴァイスとオブと、そしてイン。

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——マナの中にて。

 

オブ『……え、何。この胸糞悪い終わり方。あり得ないんですけど』

イン『……よがっだねぇ。びろう。いんと一緒にいられるでぇ』

オブ『ねぇ!?なんでインは、こんなの感動して読めるの!?ちょっと、これってそんな第三者目線で読める話じゃなくない!?』

 

ヴァイス『インはオブと違って、切り替えがきちんと出来るタイプなんだよ!』

オブ『切り替え……今聞くと、そういう意味で聞こえないから止めろよ!ほんと!なんだよこの荒唐無稽な話!?胸糞悪すぎる!燃やせ!』

 

イン『ダメだよ!これは俺のお気に入りの本棚に並べるんだから!』

オブ『はぁ!?なになに!?インはコレのどの辺を気に入ったの!?あり得ないでしょ!』

 

ヴァイス『まったくもう……本体と同じで、キミって本当に狭量だねぇ』

オブ『狭量にもなるだろ!こんなあり得ない話!』

ヴァイス『……あり得ない、ねぇ?本当にそう思う?』

 

オブ『は?』

ヴァイス『僕は“観測者”だよ?別に想像力の豊な人間じゃない。僕の書くお話は、僕のこれまでの経験と……そして、観測を元に書いた、言わばドキュメンタリーみたいなモノしかないんだ。まるきり想像で書いたものなんて、何一つないんだよ』

 

オブ『それって……どういう』

ヴァイス『この世界は6本の輪で構成される世界である事を、僕は観測により発見した。それと共に。その1本1本の輪は、6輪目という他の5本の輪が重なって出来た、大きな輪と同じく、無数の世界線の集まりで1つの輪を構成しているんだ』

 

オブ『……』

ヴァイス『世界線。それは無数に伸びた可能性の枝葉。それを僕はね、観測できるんだ。1世界分のマナの残滓を持つアウトが、こうして世界を構成できるように、僕は、その巨大なマナで世界を観測できる力を持ってる。そういう風に、自分のマナを使用している』

 

オブ『……という事は、これって。まさ、か』

ヴァイス『その無数の世界線の中の、また一つの、確かにある可能性、だね。もちろん僕達自身もそう。無数の可能性の一本の枝に過ぎないのさ』

 

オブ『ありえない……あり得ないでしょ。そんなの。こんなビロウが、インと。ありえない、ありえない、ありえない、ありえない』

ヴァイス『まぁ、いいじゃない!今、この枝葉の君は、こうしてインと幸せに暮らせてるんだからさ!』

オブ『あり得ないっ!一本だってそんな枝葉は許せない!全部切り落として、折ってやるっ!!許さない、許さない、許さない!こんな可能性は……許せないっ!』

 

 

ヴァイス『うふふ。まったく、若いなぁ。からかいがいが……あるよね』

 

アウト『ヴァイスー。あんまりオブをからかわないようにねー。店の物が破壊されちゃうから』

ヴァイス『はーい!』

 

 

      〇

 

 

 

【おまけ】

 

 

イン『ねー!ヴァイス。この二人のその後のお話はあるの?』

ヴァイス『あれ?知りたい?ここからは、あんまりインにとっては楽しくないかもよ?ものすっごく、見てられないくらいドロドロだったからね!酷い有様だったよ!』

 

イン『ドロドロなの?うーん……でも気になるなぁ』

ヴァイス『じゃあ、また近いうちに書いてあげるよ。ビロウに二人目が出来て、そして、本気をだしたオブが、その後どうしたのかを……ふふ』

 

イン『わーい!俺が大人になったお話、まだ続くー!わーい!』

 

ヴァイス『あぁ、ソッチ?……そんなに大人になりたかったんだねぇ』

 

 

 

ほんとの、おわり。

 

——-後書き——–

長い、長いビロウシリーズこれにて終了致しました。はぁ、私だけが楽しいこちらのお話に、最後まで目を通して頂き、ありがとうございました。

次頁からは【現世】版ビロウのお話。

すみません。もう少しお付き合いください。