10:【ビロウ×イン】シリーズ

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ビロウシリーズ

 

 

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IFシリーズ

ビロウ×インの世界線。インがオブの息子と出会ったりする。

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【オブの息子 ペイス(7)】

—イン(25)首都にて買い物中

 

イン『あれ?何が店になかったっけ?』

 

オブ『(っ!インだ!)お前は此処で待っていなさい』

ペイス『はい、お父様』

 

オブ『イン!』

イン『ん?あっ、オブ!』

オブ『イン、会えて嬉しいよ!本当に嬉しい!買い物?』

イン『オブは大袈裟だなぁ…あれ?あれれ?』

 

イン『わっ!わっ!オブ!オブが居る!』

 

ペイス『(なんだ、こいつ)』

オブ『……えっと、その』

ペイス『(お父様、ずいぶんいつもと違うな)』

 

イン『オブの子だね!わぁっ!懐かしい!こんにちは!』

ペイス『(身なりからして、こんな貴族は居ない。こいつは、平民だ)……なんだ、おまえ。しつれいだぞ』

 

 

オブ『……口を慎みなさい』

ペイス『っ!す、すみません(一番、こわい時のお父様だ)』

イン『いいよ、いいよ!ごめんね!明日からちゃんと”みのほどをわきまえる”から!今日だけは許して!ね、おしえて?』

 

————俺は貴族で、お前は農民。

————そろそろ、インは身の程を弁えないといけないよ。

 

オブ『インっ!(あ゛ぁぁあぁ!俺がっ、昔の俺があんな事を言ったからっ!)』

イン『ねぇ。キミ名前は?名前を教えてくれる?』

ペイス『……(なんで、おれが、こんな平民なんかに名乗らなきゃいけないんだ)』

 

 

——一言——

はいじ「オブ、過去の自分の言動に頭をかきむしる」

 

 

ペイス『……』

イン『……?』

オブ『……いい加減にしなさい。お前は、いつから他者の言葉を無視できる程偉くなったんだ?』

ペイス『……ペイス、です』

 

イン『うん、うん!そっか。ペイスだね!良い名前だ!教えてくれてありがとう。ペイス。じゃあさ、何歳?』

ペイス『(よびすてって……あり得ない)……ふん』

オブ『(初めて会った時のインだ)ペイス』

ペイス『……』

 

オブ『ペイスッ!』

ペイス『だって!お父様!(コイツは平民じゃないか!)』

 

イン『うんうん。初めて会った時のオブにソックリだ!可愛いねぇ!10歳くらいかな?』

ペイス『7歳だっ!』

イン『7歳?大きい!今の子は本当に成長が早いよ!すぐにお父さんを追い越すね!身長はどのくらい?食べ物は何が好き?得意な事は?』

ペイス『ぅぁ(なんだ、こいつ)』

オブ『イン…』

 

 

——一方その頃。

 

ビロウ『ったく、めんどくせぇ集まりばっかだな』

アンダー『おとうさま』

ビロウ『なんだ』

アンダー『いんが居ます』

ビロウ『どこだっ!(死ぬ程疲れたし、ついでに店に行くか)』

アンダー『あっちです』

ビロウ『イン!……と、オブ?』

アンダー『ぺいすもいる』

 

 

【ペースを崩される父子、傍観する父子】

イン『兄弟は!?ペイスは一人っ子?』

オブ『(ぐ)』

ペイス『お、お姉さまが、ひとり』

イン『わあっ、素敵だね!オブ!女の子、男の子、の順番は上手なんだよ!』

オブ『え』

イン『村ではそう言ってた!女の子、男の子順番はとっても上手なんだって。オブは上手に子供を作ったね!上手、上手!』

 

 

イン『オブは昔から何でも上手だったもんねぇ』

オブ『ぐふっ…(これは、ヤバイ。非常に、俺が、ヤバイ)』

ペイス『(お父様。これは、いったい)』

イン『ペイス、お菓子あげるね。さっきそこでもらったの。ほら、ふわふわのましゅまろだよ!』

ペイス『いらないっ!』

イン『ほら、美味しいよ?』

 

 

——-一方、その頃。

 

ビロウ『オブの奴。今更、必死にインにさえずっても遅いっつーのに。涙ぐましいったらねぇな』

アンダー『おとうさま、おとうさま』

ビロウ『なんだ』

アンダー『いん、のところに行きたいです。はやく、はやく』

ビロウ『そう焦るな』

アンダー『いやです。ぺいすが、いんを』

 

 

——-一言——-

はいじ『ビロウ。完全なる勝者の余裕。ここがオブとの違い。オブはどんな事があってもインの所にダッシュする』

 

 

【可愛い子にはましゅまろをあげる】

アンダー『いんー!』

イン『ん?』

ペイス『げ』

オブ『…あの子は』

 

イン『アンダー!どうしたの、一人?』

アンダー『いん、なんで……ぺいすとしゃべるの?』

イン『なんでって…可愛いからだよ!』

アンダー『!!』

イン『可愛い子にはましゅまろをあげよう!』

ペイス『いらないんだけど』

 

 

アンダー『…』

オブ『ペイスが要らないのなら、それは俺が貰おうか』

ペイス『え!?(お父様、何を言ってるんだ!?)』

 

 

ビロウ『よぉ、オブ。今日もいじらしく囀ってんな?ご苦労なこった』

オブ『ビロウ…』

ビロウ『時間をかけて失った信頼の前には、何をしても無駄だ。もう諦めろ』

オブ『無意味な事などない』

ビロウ『あ?』

 

オブ『お前が、俺の失った5年間で俺の過ごした5年を消したのなら、俺はその5年、いや10年だって待つ。俺は、お前と違って静かに機を狙い待つのが得意だ。そうやって自惚れて油断をしていると、足元をすくわれるぞ』

ビロウ『…オブ、お前本当に根暗で気持ちわりぃやつだな』

オブ『それは俺の長所だ』

 

 

イン『(なんか、難しい話が始まったな。仕事の話かな)……アンダー?』

アンダー『……』

 

—–アンダーがこの世界で一番可愛い!

—–アンダーより可愛い子は居ないね!

—–アンダーはどうしてこんなに可愛いんだろう!

 

—–ペイスには可愛いからましゅまろをあげよう!

 

アンダー『いや!』

 

 

——-大人二人の大人気ない喧嘩

 

ビロウ『俺はお前みたいな”愚かな失敗”はしない。何故なら、俺はインに寂しい想いをさせないからだ。お前の入り込む余地はない』

オブ『どうだか。お前はインを”ペット”扱いしていただろ』

 

ビロウ『残念だったな!その誤解は、ついこないだ解いた』

オブ『っは。お前、本当におめでたいやつだな。5年かけて放った言葉が、そう簡単に消えると思うな』

ビロウ『なに?』

 

 

—–子供達の子供っぽい喧嘩

アンダー『いやっ!』

イン『あ』

ペイス『うわっ!』

 

どすん。ぺちぺち

 

ペイス『なにすんだ!いたい!』

イン『アンダー!』

アンダー『ぺいすなんか、かわいくない!いん、ぺいすは、いやなこだよ!ぼくのこと、ばかにする!ふんっていうんだから!』

 

ぺちぺち

 

イン『アンダー!やめなさ…』

 

——-主人はペットに命令をする。だが、その逆は絶対にあり得ない。それをするようなら、お前はペット失格だ。身の程を弁えろ。わかってるな、イン。

——はい!

 

イン『…やめてください!』

ビロウ『っ!?』

アンダー『いや!やめない!ペイスはいやな子!』

ペイス『いいかげんにしろよっ!このチビ!』

 

 

ビロウ『……イン』

オブ『っは、ほら見ろ』

 

アンダー『いや!いたい!ペイスがたたく!いん!いんー!』

ペイス『お前が最初に叩いてきたんだろ!?』

 

イン『(考えろ、考えろ。アンダーとペイスが悪い子にならないように暴力がダメって思わせる”命令”にならない方法を考えろ!暴力はダメ!)

 

っわぁっ!』

 

 

【イン、懇親の嘘泣き~ニア直伝~】

 

イン『っふ、っぅぅ。あんだー。ぺいす』

(イン、その場に蹲る)

 

オブ・ビロウ『!??』

アンダー『いん……?いん!』

ペイス『なんだ、こいつ』

 

アンダー『いん?いん、ないてるの?なんで?』

イン『ぅぅ』

ペイス『(大人のクセに、泣いて。変なの)』

イン『っひく、おれが、わるい』

 

 

イン『二人は、もともと、よいこ、なのにっ俺がっ…!一緒にいる、大人が、暴力は、だめって、おしえてあげなかったのが、いけないんだ!ふたりとも、頭がいいこだから、いえば、分かってくれる筈なのに…なのに!大人が、教えてないのがっ!だめなんだぁっ!ダメな大人でごめんなさいっ!』

 

 

オブ『……』

ビロウ『……』

 

アンダー『いんはわるくなくって、ぼくも、わるく、なくて。ぺいすが、ぜんぶ、わるくって』

イン『あぁっ!俺がバカで教えてあげられなかったから……俺がアンダーと一緒に居ると、アンダーをダメな子にしてしまうっ!離れた方がいいのかも……』

アンダー『!!?』

 

ペイス『ばかばかしい』

イン『……オブは子供の頃はとっても優しかったな。貧乏人の俺に文字を教えてくれたり、時計をくれたり、差別もしなかったし、凄い子だった。オブは子供の頃から、そういう子だったけど……ペイスは違うんだね。そうだね、別々の人間だもんね。ごめんね』

ペイス『っ!!?』

 

 

オブ『…』

ビロウ『ニヤけてんじゃねぇぞ』

 

イン『ペイスはオブとは違う。オブは他の子の喧嘩を止める子だった…。何を言われても暴力を振るう子じゃなかった。話し合いで解決する子だった(まぁ、俺は2回も叩かれたけど)ぼそ』

ペイス『……!』

 

オブ『っく!』

ビロウ『根に持たれてんなぁ?オブ』

 

 

イン『アンダーは俺が居ると悪い子になる。俺が貧乏人だから、きっとそう。離れなきゃ』

アンダー『ちがう、ちがうよ。いん、わるいのは、ぺ』

イン『ビロウは他人のせいにはしない…俺がダメなんだ。育ちが悪い、俺のせい。君たちのお父さんは、子供の頃から凄く仲良しだったよ』

ビロウ・オブ『…は』

 

 

アンダー『わるいのは、わるいのは…ぼく!さきに、たたいた、ぼくです!』

イン『あぁっ!アンダー!こんな俺の傍に居るのに、君はなんて賢い子なんだろう!それが分かったら、次は!?』

アンダー『ぺいす。ごめんなさい』

イン『小さい子が先に謝ったね!こんな、小さい、子が!先に!』

ペイス『…』

 

 

イン『ペイス?謝るべき時に、きちんと謝れる人は、大人でもそうそう居るもんじゃない。当たり前の事なのにね。だから、それが出来る人は、誰からも一目置かれるよ。君のお父さんは、それが出来る人だよ(ちら)』

オブ『ぐっ』

ペイス『……自分より、小さい子を、叩いて。ご、ごめんなさい』

 

 

イン『……びっくりする程、君たちは素敵な子達だね!やっぱり貴族っていうのは、お金と権力と、それだけの資質を持っている人なんだって俺は思うよ!すごい、すごい!やっぱり俺達とは全然違う。君たちみたいな貴族の居る国に生まれて、俺はとっても幸せ!』

ペイス・アンダー『…(に、こ)』

 

 

イン『さぁ、二人共”これは正しい事なのかな?”って迷ったら、君たちのお父さんを見たら答えが分かるよ。君たちのお父さんが、どれだけ立派で凄い人かは、二人の方が良く知っているね?ほら、迷ったら……お父さんだよ!』

 

アンダー『(じ)』

ペイス『(じ)』

 

ビロウ・オブ『……あ、あぁ』

 

 

イン『ほら、二人共。ましゅまろだよ!ペイス?帰ったら、これをコッソリ、コックさんに頼んで、火であぶって貰いな。もう別物みたいに美味しいよ!あっ、ペイス?これを知ってる貴族はそうそう居ない。他の人には内緒だよ?騙されたと思ってやってみて。アンダーは、今度俺がやってあげようね。今日は普通に食べてごらん』

 

アンダー『はあい』

ペイス『やってみる』

 

 

イン『俺は店の買い出しの途中だから。もう行くね。ばいばい』

アンダー『ばいばい、いん!』

ペイス『うん』

 

オブ『これは…もしかして』

ビロウ『俺達が上手い事、使われたのか?』

オブ『インがニアみたいに…あ、あざとすぎる』

ビロウ『本意を口にせず、自分の思い通りに周囲を動かすって』

オブ・ビロウ『(こえぇ!)』

 

 

 

——一言——

はいじ「インは周囲の男(女性含むが特に男)に対し有効な【サイレントインフルエンサー】を体得した!」