(外伝79):恋人の居ぬ間に④~ウィズ出張中の2週間~

お喋りシリーズ

 

恋人の居ぬ間に④

~ウィズ出張中の2週間~

 

 

 

——–前書き——–

こちらは【現代版】とも言える「ビロウシリーズ」です。

ウィズが仕事で2週間の出張に出てしまった、そんなアウトの2週間を追います。

この2週間、アウトはたまたま他の酒場で出会った、ウィズの双子の兄弟であるビハインド(前世:ビロウ)と共に過ごす事になるのですが、最終的にどうなるのか、私も分かりません!

———————–

 

 

 

 

【ウィズは根暗?】

—-アウト、お気に入りの【びろう×いん】の本をにこにこでビハインドに見せる。

 

 

ビハインド「大体、なんなんだ。その本は」

アウト「これはな、俺の友達が描いた”まんが”ってやつだ。本物みたいじゃない絵だけど、だけど綺麗で、本物みたいにも見える人達が、人を好きになったりする話が書いてある」

 

ビハインド「驚くほどに、要領を得ねぇな。おい、テメェを鳥扱いした件は撤回する。鳥は数種類の鳴き声で、上手く同種と交流するからな。今更ながら、鳥に申し訳なくなってきたぜ」

アウト「あはは!またウィズと同じ事言ってるなー!さすが兄弟だ!』

ビハインド『俺をあの根暗と一緒にするな!?』

 

 

アウト『ウィズは根暗なのか?』

ビハインド『根暗だよ!話し方はボソボソしてるし、常に表情は暗いし、あとインの事しか考えてねぇのが一番気色ワリィわ』

アウト『確かに。最近ウィズは自分でも”俺は気持ち悪いんだ!”ってよく言ってるなぁ』

ビハインド『自覚ありかよ。それも気持ちワリィな!?』

 

 

 

——一言—–

はいじ「アウト、ウィズには【びろう×いん】の本を見せると燃やされそうになるので、ビハインドに自分の頑張りをアピールしにかかる」

 

 

 

【一緒に読もう!】

アウト「なぁ、ビハインド。ココを見てくれ」

ビハインド「げっ、何だよコレ。俺?」

アウト「これは、びろうがいんにチョコレートをあげるところ」

ビハインド「…」

アウト「の、びろうのほっぺ。ここのとーんは俺が上手に貼った!」

ビハインド「いや、そういう細かい所より普通に中身を見せろよ」

 

 

アウト「読みたいのか?」

ビハインド「勝手に俺の前世が使われてるんだ。悪い所がないか検閲する権利が、俺にはあるだろうが」

アウト「っ!じゃあ、一緒に読もう!感想言い合お!」

ビハインド「テメェは1回読んでんだろうがよ。黙ってろ」

アウト「もう15回は読んだ!」

ビハインド「じゃあ黙れ!」

 

 

 

——一言——-

はいじ「アウト、バイと教本の読み合わせみたいに、ビハインドと一緒にBL本を読もうとする。ちなみに、場所はやっぱりビハインドの経営する立派な酒場のプライベートルーム。従業員からは、新しい恋人かと噂され始める」

 

 

 

【続きも一緒に読もう!】

アウト「なぁ、どうだった?どうだった?」

ビハインド「……」

アウト「もう読み終わったよな?話しかけていいか?」

ビハインド「……」

アウト「なぁ、なぁ?」

ビハインド「おい。これ、続きは?」

アウト「続き?あぁ!続きな!家!」

ビハインド「はぁ!?首都行った後が重要だろうが!?」

 

 

アウト「ビハインドも気に入ってくれたみたいで良かった!首都編はもっと面白いぞ!」

ビハインド「大分と事実を捻じ曲げられてるが、まぁ、それはいいだろう。許す。ともかく、オブが煮え湯を飲んでる様が良い……あのクローゼットの場面は溜飲が下がったぜ」

アウト「わかる!ドキドキしたなー!」

 

 

ビハインド「そんな事より。イン、お前。こんなモン持ってるって事は、俺の事が好きだったのか?そうなのか?」

アウト「いや、俺はインじゃないから分からんけど…俺はビロウが推しだな!素直じゃないけど優しいところがいい!俺の担当だし!」

ビハインド「…テメェとは会話が噛み合う気がしねぇな」

 

 

アウト「ビハインド!続きが読みたいなら、今から家に帰って持ってくるから、ここで待っててくれ!」

ビハインド「いや、別に明日でいいわ」

アウト「いやだ!早く読んでくれ!次はビロウが大きくなって子供が出来たりして、もっと面白いんだぞ!」

ビハインド「…さいですか」

アウト「急ぐからー!」

 

 

——アウト、次巻を取りに自宅へ駆け出す。

 

ビハインド「すぐ死んだ癖に、当の本人はこんなモン見て笑ってんだから、アイツもたまんねぇだろうよ」

 

—-おい、イン。また泣いてんのか

—-うぅ、びろう

—-具合でも悪いのか?

—-おぶが居なくて悲しいだけ

 

ビハインド「ほんと、たまんねぇよ」

 

 

—–アウト戻ってくる!

 

 

アウト「持ってきたよー!…ビハインド?」

ビハインド「いやぁ、この場面のオブは何回見てもスカッとすんなぁ」

アウト「ビハインド、何回もおぶを見てるなー!ビハインドの推しは“おぶ”か!大丈夫!こっちにもおぶは出てくるから!」

ビハインド「気色ワリィ事言うな!?」

 

 

 

——–一言——-

はいじ「ビハインドの中では、未だにアウト=イン。そして、少ししんみりする。インのまだほんの初期、病気になったかならなかったらかの時に、その異変に最初に気付いてくれたのが、実はビロウなのでした」

 

 

 

【それってズルいの?】

ビハインド「いやぁ!これは良かった!なにせオブのこの表情がいいな!?」

アウト「いや!待って!見てくれ、ここのびろうの顔のうっすらかかる、とーんも上手じゃないか?そして、この倒れ込んだいんを抱える、びろうの髪の毛は物凄く上手だろ!?ここは、物凄く徹夜で眠かったけど、でも急に目が冴えて一番上手に出来たんだ!」

 

 

ビハインド「いや、制作秘話は別にいいんだよ」

アウト「あと、大きくなったびろうは全部格好良いな!おぶと違って髪の毛がひらひらしてて、おしゃれだし!ちゃんと、ずっといんの所に行ってくれてるから、いんが寂しい思いをしなくて済んだし!赤ちゃんも一緒に連れていってくれるから、いんもすごく喜んでる!ビハインド、ありがとう!」

 

 

ビハインド「お前、よく作り話のビロウで、本気で俺に感謝出来るな。別に現実じゃ、俺はテメエに何もしてねぇよ。それに、お前の事を、ここまで好きだった訳でもない」

アウト「でも、最初の方は同じだろ?オブが出て行って、泣いてるインの所に毎日来てくれてたらしいじゃないか!お菓子もくれたって!インはちゃんと思い出して、感謝してた!」

 

 

ビハインド「(……まるでインが別に居るみたいに言いやがるんだよな)それは、まぁ……この本と同じように俺も“イン”を利用したかったんだ。それだけだ。こんな、作り話に感謝されるいわれはない。俺は正当性のあるモノしか、感謝も謝罪も受けねぇ性分なんだよ」

アウト「でも。きっと、インが死んでなかったら、ビロウは同じようにインに優しくしてくれたと思うんだ」

 

ビハインド「歴史に“もしも”はねぇんだよ。まぁ、もし仮に。万が一にでも、そう言った“もし”が存在するなら……それこそ、俺はズルいヤツだからな?インが生きてたら利用してただろうさ。オブに一泡吹かせる為に」

アウト「ズルいヤツ?」

ビハインド「あぁ、そうさ。あの頃の俺は、能力値の全てがオブより下だったからな。今世でもマナの量じゃ、ウィズに負けてる。そういう俺が、アイツに秀でるには頭を使って、ズルく立ち回るしかねぇんだ」

 

 

アウト「それってズルいのか?」

ビハインド「っは。お前みたいな純粋培養で真っ直ぐ生きてるヤツには分からんだろうよ。俺は相手の隙を突いて、外堀を埋めて、確実にやる。どんなに汚ねぇとか、狡いとか言われても、俺は自分のやり方は曲げない。じゃないと、何も手に入らないからだ。だから、インにも付け込んだ。ただ、それだけだ」

アウト「んんん……分からん。それがズルいって、俺はどうしても理解できない」

 

 

ビハインド「ったく。じゃあ、ハッキリ言ってやるよ。俺はお前に対してもそうだ。普通なら、お前みたいな金もねぇような小市民。こんな良い部屋で、わざわざ時間を取って相手にしてやる事なんかない。お前が“ウィズ”の恋人“で“イン”だからだ。俺がテメェに気があるからなんて、痛い勘違いはするな。俺はお前を最大限利用したいから、やってるだけなんだからな」

 

 

アウト「……」

ビハインド「どうする?もう此処には来ないか?」

アウト「っす、すごい!」

ビハインド「あ?」

 

 

アウト「ビハインドって何でも口で言って説明してくれるから、分かりやすいな!そこが、ウィズと違うよ!ビハインドは、全部、全部、口で、こうだから、こう!だから、こう!って言うから、俺も助かる!」

ビハインド「え、は?」

 

 

アウト「正直、ソレのどこがズルいかは分からないけどさ!ビハインド!俺はお前と喋ってると安心するよ!俺は頭が良くないからさ!上手く他人の“ぎょうかん”を読めないんだけど、ビハインドは、その“ぎょうかん”もちゃんと全部説明してくれるからな!自分はこうしたいです。だから、こうします。どうしますか?って!最後はこっちの意見も聞いてくれる!これって凄く、凄く、凄く親切な事だよ!」

ビハインド「……し、親切だと?」

 

 

アウト「そうだ!普通は、人は他人に、こんなに丁寧に教えてくれない!あのな、俺にでも分かるように説明するって、凄く難しい事なんだ!ビハインドは凄い事をしているんだよ!」

ビハインド「……」

アウト「分かった!うん、分かったよ!ビハインド!」

ビハインド「な、何がだ」

 

 

アウト「えっと、俺はビハインドが、こんな俺に気があるなんて思ってないから大丈夫!安心していいよ!それと、俺は、“俺”じゃなくて別の誰かを期待して、他人が近寄って来られるのも、いつもの事だから慣れてる!だから、それも気にしなくていい!俺に何の利用価値があるか、俺はよくわからないけど、それって俺に何か“可能性”があるって事だろ?なら、どうぞ!使って!使って!」

ビハインド「……お前」

 

 

アウト「あはは!今日は良い日だな!ビハインドは親切だし、俺には何かわかんないけど可能性があるし!」

ビハインド「この酔っ払いが」

アウト「まだ、この1杯しか飲んでないから、そんなに酔っちゃいないよ」

ビハインド「まぁ、確かにそうか」

 

 

アウト「あ!そうだ!ひとまず、俺の推しである“びろう”のモデルのビハインドに、今日は俺から酒を1杯奢らせて!」

ビハインド「はぁ?小市民が何言ってんだ。貧乏人から奢ってもらう趣味はねぇんだよ」

アウト「友達から言われてるんだよ。推しにはちゃんと貢ぐようにって、さ。推しに貢げるのは幸せな事だからって!」

ビハインド「つーか。その、推しってのは一体なんだ」

 

 

アウト「推し、の意味。えっと、なんだろう。お気に入り?とか。好き?とか。……あっ!応援したい、とかそう意味!俺はビハインドを応援したいんだ!だから、応援のために1杯奢りたいんだっ」

ビハインド「……応援、だと?」

アウト「じゃあ、次の酒を頼もう!あのー!すみませーん!店員さーん!あれっ、聞こえないのかな?あのー!」

 

タッタッタッタ

 

ビハインド「おいっ!やめろ!安い酒場じゃねぇんだ!大声で呼ぶな!マナで呼べ……って、直接呼びに行きやがった……なんなんだ。アイツ」

 

 

——–それってズルいのか?

——–俺はお前と喋ってると安心するよ!

——–これって凄く、凄く、凄く親切な事だよ!

——–俺はビハインドを応援したいんだ!

 

 

ビハインド「……はぁ、意味わかんねぇな」

 

 

——–一言——–

はいじ「その後、アウトの奢りの安めの酒で、ビハインドと“ビハインド、がんばれ”の謎の乾杯をしました。そうです。アウトに分かりやすく説明するには、三段論法が効果的です」

 

 

 

【恋人と離れて】

~ウィズ出張中の2週間~

 

 

―ウィズの飲み会―

 

 

ウィズ「(アウトは今頃、どうしているだろうか)」

 

 

——-ウィズが居ない間、他の酒場に行っちゃだめってヤツ!あれ!あれだけは一時お休みにして!おーねーがーい!酒場は俺の生きがいなんだっ!

 

ウィズ「(まったく……変な酒場になど行って羽目を外していないといいが)」

 

教師「そうそう、ウィズ先生」

ウィズ「……なんでしょうか」

教師「ウィズ先生は、恋人とかいらっしゃるんですか?」

ウィズ「はい」

教師「(飲み会なのに、淡々としてるなぁ)」

 

 

教師「ええー!ウィズ先生って恋人がいるんですか!?」

教師「ショック過ぎる……!」

教師「やっぱりかー!」

教師「みんなー!ウィズ先生って恋人が居るそうですよー!」

教師「なに!?どんな人なんですか!?」

 

 

ウィズ「どんな……優しくて、明るくて、物分かりが悪いものの、その分素直で、非常に笑顔が素晴らしい。自分より他者を優先するきらいがあり、気を抜くと知らぬ間に傷ついているので、こちらは気が抜けません。酒と古いモノが好きで、あと、俺の事が好きですね。更に言えば、笑顔だけではなく、全体的に可愛いです」

 

教師「「「「「(……うわー)」」」」」

 

 

———一言——–

はいじ「好きなモノを語るオタク男子のような早口口調だったようです。ウィズの推しはアウト。そして、ウィズ編のスタートは基本(アウトは今頃どうしているだろうか)です」

 

 

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