恋人の居ぬ間に⑥
~ウィズ出張中の2週間~
——–前書き——–
こちらは【現代版】とも言える「ビロウシリーズ」です。
ウィズが仕事で2週間の出張に出てしまった、そんなアウトの2週間を追います。
この2週間、アウトはたまたま他の酒場で出会った、ウィズの双子の兄弟であるビハインド(前世:ビロウ)と共に過ごす事になるのですが、最終的にどうなるのか、私も分かりません!
———————–
【血の繋がりが全てじゃない!】
アウト「いんとびろうに子供が出来たじゃん?」
ビハインド「いや、あの二人のガキじゃねぇだろ」
アウト「でも、びろうがそう言ってる!」
ビハインド「いや!あの俺は狂ってんだよ!?男同士で子供なんかできるか!」
アウト「できるっ!ビィエルの世界ならアリなんだっ!」
ビハインド「ねぇよ!」
アウト「家族って血のつながりだけじゃないはずだ!」
ビハインド「っおい!急に心温まる家族愛の話にすり替えてんじゃねぇ!そういう話じゃなかっただろうが!物理的に男のインはガキを産めねぇって話で」
アウト「うぅ、家族なんだ…家族」
ビハインド「あー、もう!わかった!わかった!家族家族」
——–一言——–
はいじ「ビハインド。アウトの相手をする時は、若干やれやれ系男子に変化する」
【あんだー君】
アウト「なぁ!お前の前世の子供は、本当にあんだーって名前なのか!?」
ビハインド「あぁ、そうだ(やっぱコイツは知らねぇんだな)」
アウト「やっぱさ!あんだー君は可愛かった?」
ビハインド「え?ぜんぜん」
アウト「…え」
ビハインド「アンダーは…ともかく女好きだったな」
アウト「え」
アウト「お、おんな好き…」
ビハインド「作り話を真に受けてんじゃねぇよ。俺だってコレとは全然ちげぇんだから分かってた事だろうが」
アウト「ビハインドはびろうと同じじゃんか!」
ビハインド「あ゛ぁ!?俺が狂ってるって言いてぇのか!?」
アウト「何でも話してくれるし、優しいだろうが!」
アウト「素っ気ないけど、本当は仕事で忙しいのに俺の面倒見て、相手してくれる所とか!同じじゃん!」
ビハインド「っぐ、い、今。仕事は、暇な時期なんだよ!?」
アウト「きっと、お前のあんだー君が女好きなのは…そう!母親の温もりが欲しかったんだ!インが居ないから温もりが不足したせいだ!」
ビハインド「はぁっ。よくもまぁ、そんな自分の都合の良い見方ができるもんだぜ。尊敬するわ。あ、コレ嫌味だかんな」
アウト「…世界はその人が見たいように映るからな。誰だってそうやって好きに見てくる。だったら、俺も俺の世界は俺の好きなようにしてやるさ」
ビハインド「(…なんだ、急に)」
——-一言——–
はいじ「アウト、過去の自分に対して好き勝手見ていた周囲の事を思い、アウト自身も相手の都合は考えず、自己満足的な見方を振り切ってやるよう心掛ける。けれど、その見方が大幅にハズレる事は余りない、アウトなのでした」
【アウト!殺されるぞ!(相手が)】
—–アウトの部屋でバイとBL本読み会中
アウト「靴下ー!お気に入りの、あの紺色の奴がねぇっ!どこいった!?」
バイ「靴下なんてどれでもいいじゃーん」
アウト「いやだっ!今日はアレの気分なんだ!」
バイ「この部屋以外でアウトが靴下脱ぐような場所って言ったら、ウィズの部屋だろ。どーせ!」
バイ「あ、でもウィズは今長期出張中で居ないんだっけか?じゃあ、ぜってーこの部屋のどっかにあるだろ!狭いんだから、すぐ見つか」
アウト「っは!あそこかっ!(ビハインドの店かっ!)」
バイ「え?」
アウト「服も着替えたし、気持ちよかったからなー。ウッカリしてたなー」
バイ「っは!?」
バイ「っオイ!アウト!ウィズが2週間も居ないからってナニしてんだ!?毎晩部屋に来ても居ねーと思えば!」
アウト「ふふ。秘密(ビハインドから店に変な噂立つとダメだから言うなって言われてんだよな。コソコソの魚は普段やってないらしいし)」
バイ「っ!バレたら殺されるぞっ!(相手の男が)」
バイ「そんな寂しいんなら、俺とシとけばいいのにーーー!」
——-二言——–
はいじ「という、バイの叫びが、Twitterの140文字に入りきらなかったので入れておきます。バイは、ウィズに殺される事を恐れていません。トウが居るので」
はいじ「ドクターフィッシュを、アウトはこそこその魚と呼んでます。今もあるのかな。ドクターフィッシュって」
【アウトの忘れ物】
ビハインド「アイツ、なんか色々と忘れて行きやがったな。靴下って…履かせたヤツを、そのまま着て帰りやがったな」
支配人「どうされます?こちらで破棄しておきますか?」
ビハインド「(勝手に捨てると、ウルサそうだな)…はぁ、洗濯しておけ。今度返す」
支配人「承知しました(…彼は、一体)」
ビハインド「この手帳。いつもアイツが何か書いてるヤツだよな…」
ウィズとの約束。(絶対に守る!)
一、嘘はつかない
二、我慢しない
ビハインド「ガキか」
七、必ず週末はウィズの所に泊まる
八、その日あった事の報告は必ずウィズの膝の上でする
ビハインド「ウィズのヤツ…キモ過ぎ。粘着質過ぎるだろ。怖。同じ血が流れてると思いたくねぇな。っと、他には」
忘れない為のメモ
・ウィズは俺に跡を付けたいらしい。寝てる時に、頑張ってるみたい。けど、俺は丈夫になったから、跡がつかない。かわいそう。つける方法をヴァイスに聞く。
ビハインド「……ウィズ」
ビハインド「ったく、どの頁捲ってもウィズ、ウィズ、ウィズ。ウィズばっかだな。本当に付き合ってんだな……まぁ、インなら、そうなるんだろうが」
——–…ちがう。俺、インじゃ、ない。
——–いや、俺はインじゃないから分からんけど
ビハインド「アイツは、本当にインじゃねぇのか?」
ビハインド「…ん?」
ビハインドの格好良い言葉!
・従業員じゃなくて、客に尽くせ
・体に合った服を身に付けろ
・服はバカにされない為の鎧
高い服を着せてもらった!
コソコソの魚をした!楽しかった!!
ちょっと高い酒を呑ませてもらった!美味しかった!
ビハインド「…よし。塗り変えっか」
——-一言——-
はいじ「2週間でアウトのノートを自分で乗り換える気合を入れるビハインド。ともかくウィズの悔しがる顔が見たい。ビロウ時代からの強い性」
【恋人と離れて~高学の同窓会~】
ウィズ「(アウトは今頃どうしているだろうか……。そういえば、今日は高学の大規模な同窓会があると言っていたな。…心配だ。変な輩から言い寄られたりしていないか。あの飲んだくれが、あんな事を言うから、許可したが…やっぱり許すべきじゃなかった。何故このタイミングで開催なんだ)クソっ!」
教師「えっ!?」
<ヴァイスのありがたいお言葉>
ヴァイス「ねぇ、石頭?男なら恋人の成長を阻害するような愛し方はやめたまえよ。そういう愛は息苦しくて長続きしないよ。僕が見てきた恋人たちは、みんなそうだったからね。ま、聞くか聞かないかは、お前次第さ」
はいじ「ウィズの愛し方は、完全に鳥籠状態。がんじがらめにしておかないと不安なのです」
【ウィズは俺の誇りなんだー!】
ビハインド「おし、明日は敢えて立ち飲みの店に連れてってやるよ。酒の種類はピカイチだぜ」
アウト「おおっ!……でも、俺、明日は高学の同窓会だから来れないんだ」
ビハインド「同窓会…へぇ、どこでやるんだ?」
アウト「えっと、ここ!」
ビハインド「(やっぱ、ウチのホール付きの店だな)」
ビハインド「っおし、分かった。明日はナシだな。同窓会、楽しんで来いよ(まぁ、時間作って覗いてやろ)」
アウト「楽しんで来いよ…か!うーん!オブの顔でそんな事言われると、なんか変な気分だな!変!」
ビハインド「あ?なんだそれ。じゃあ、アイツはなんて言ったんだ」
アウト「えっとなー」
ウィズ『高学の同窓会がある?俺の出張中にか?ダメだ、ダメだ。そんなもの、俺がこっちに居ても許さん。ましてや、俺の出張中など。そもそも、アウト。お前は俺が側に居る時以外は、酒を飲むなと言ってあるはずだが?……わかればいい』
ビハインド「……」
アウト「ウィズは心配症なんだよなー」
アウト「でも結局、友達が説得してくれたおかげで、行ってもいいって言われたんだー!あと、高学の同窓会なら弟も一緒だし、まぁ大丈夫かって言ってさ!ちょっと行ってみたかったから良かった!」
ビハインド「っは!ダッサ。余裕なさ過ぎて笑うわ。お前、よくそんな束縛野郎と付き合ってられんな」
アウト「なー!なんでウィズは俺を愛してくれてんのかな?」
ビハインド「…急に主語を入れ替えんじゃねぇよ。ウィズじゃなくて、お前だ。いくら顔が良くて神官でも、あんな奴と付き合ってられる、お前の気がしれねぇよ」
アウト「そうか?ウィズは最高じゃないか!」
ビハインド「……さいですか」
——-ひとこと、ふたこと——-
はいじ「周囲が束縛というウィズのアレコレは、アウトにとっては全く束縛されている感覚はないのです。ウィズがダメなら、ダメだな!という程度。それ故に、このCPがバットエンドになる事はありません。そして、だいたい、大規模なホールを有する酒を提供する店はビハインド管轄」
ビハインド「最高、ねぇ」
アウト「うんっ!ウィズは俺の誇りだから!」
ビハインド「……そうかよ」
なのです。
【どっちがヤバイ?】
ビハインド「なぁ、アウト。本当にウィズと恋人同士でいいのか?同窓会の参加如きで、そこまで口うるさいんだ。もし、今、俺と会ってんのがバレたら、お前監禁でもされるんじゃねぇか」
アウト「なんでビハインドと会っただけで監禁されるんだ?訳わかんないだろ!」
ビハインド「……これだ」
ビハインド「どうなっても、俺は知らねぇからな。自己責任だ」
アウト「ん?分かんないけど、いいよ。いいよ。監禁なら、もう一回された事あるし」
ビハインド「っは!?」
アウト「でも、俺バカだから、途中まで監禁されてるのにも気づかなかったな!」
ビハインド「この場合、どっちがヤバイんだ?」
——-一言——–
はいじ「どっちもヤバイ」