ヨルの回想
———-
——-
—-
スルー『ヨルヨルヨルヨルヨール!!』
ヨル『スルー、そんなに連呼せずとも聞こえて……っ』
スルー『咲いた!咲いたぞ!たくさん!ヨルのくれた種が!こんなに黄色の花になった!』
スルー、ひまわりの花束を両手いっぱいに抱えてやってくる。
ヨル(あぁ……やはり)
スルー『今朝、一気に咲いたんだ!すぐにヨルに見せたかったけど、驚かせたくて黙ってた!』
ヨル(この花は、スルーによく似合っているな)
スルー『ヨル!やっぱりヨルのくれた赤ちゃん種だったから、ヨルそっくりの花になったな!』
ヨル『……何を言う。この花は俺には似てもにつかない』
スルー『なんでだ?俺はこの花を見たらヨルと一緒に居る時くらい、同じくらい嬉しくなったんだ。それは、このお花がヨルと似ているからだと思うんだが……ふふ、可愛い可愛い!』
ヨル『……スルー、そんな事を言うのはお前くらいなものだ』
スルー『そうか……俺だけか!それは、それで素晴らしい!俺だけのヨルという事だろう!あははっ!』
ヨル「……はぁっ(夜なのに、お前が居るだけで明るい……心地が良い)」
スルー『ほら!約束通り、お返しの花束だ!根っこから取って来たから、また植えればヨルの家もお花畑になる!また、明日も咲いたら、また持ってくるぞ!』
ヨル『……なぁ。スルー、この花はな……枯れてからも大事な仕事が待っている』
スルー『お花なのにか!?枯れてからも仕事があるなんて……働き者だな!』
ヨル『ふふっ、そうだな』
スルー『なぁ、このお花には、この後どんな仕事があるんだ?俺は何をしたらいい?』
ヨル『……枯れると、この真ん中の部分から大量の種が出来る。一つの花から、大量に取れる。だから、次の年にはより多くの花を植える事が出来るようになるんだ』
スルー『一つから、たくさん……そしたら、毎年、毎年、毎年。種を取って撒き続けたら……世界がお花畑になるんじゃないか?』
ヨル『あぁ。そうかもな』
スルー『すっ!凄いじゃないか!それは!素敵だ!』
ヨル『そうだろう……だから、』
スルー『だから?』
ヨル『残りの花は、お前が育て続けてくれ。枯れたら種を取り……まずは、この村を花畑にしたらいいんじゃないか』
スルー『っ!!!いいな!それはいい!』
ヨル『だから、俺は今日のこの花束だけで十分だ。俺も、この花から取れた種で俺の周りを花で埋め尽くそう(お前のような、この花で)』
スルー『うん!うんっ!そうしよう!そして、最後は世界をお花畑にして埋め尽くそう!』
ヨル『まったく……途方もない計画だ』
スルー『楽しみだなぁっ!』
ヨル『あぁ、そうだな』
—–
———
————-
スルー、きた
ザン(……なんて事もあったな。懐かしい)
エア『おいっ!ザン!スルーの奴どうすんだ!?何かあったら、テメェが止めろよな!?アイツはお前の愛玩動物だろうが!』
ザン『……お前はどうしてそう、』
カチャ
ザン『……俺の腹の虫の居所を悪くする天才なんだろうな?』
エア『テメェこそ、なんでそういちいち兄貴に銃口を向けてんじゃねぇよ!?いい加減にしねぇと、そろそろ俺もっ……』
アンダー『おじい、さま』
エア『っ!アンダー!すまなかった!怖かったな?お爺様は怖くない、優しいお爺様だぞ?』
ザン『……吐きそうだ』
エア『あ゛ぁっ!?』
アンダー『おじい、さま』
くいくい
アンダー『するー、きた』
ザン『っ!』
エア『スルー!』
オブ『……ビロウ』
お爺ちゃんとは思えない走り
スルー『こいこいこいこいっ!』
ビロウ『っ一体何なんだよっ!?アンタ!まだ服もまもとに着れてねぇってのに!インも起きて隣に俺が居なかったら不安になるだろうがっ!?おいっ!』
スルー『大丈夫だ!あの寝方をしている時のインは、踏んでも蹴っても、おんぶして走り回っても起きんっ!俺が夜中におんぶしてヨルの所に走って行っても、一瞬も起きなかった!』
ビロウ『は?夜中に夜?なんのこった!おいっ!?』
スルー『お前にはまず、父親としての役割を果たしてもらう!アンダーにまずは赤ちゃんの作り方の、ちょっとを教えてやらんといかんからな!』
ビロウ『……一体なんの事だよ』
スルー『本当はアンダーに、お前とインの種蒔きを見せてやろうと思っていたんだがな』
ビロウ『……種ま……っは!?』
スルー『さすがに、最初は雄と雌の種蒔きから見せてった方が良いと思ってな。だから、ひとまず子供用の教材を使って、赤ちゃんの作り方を教えてやる事にした!』
ビロウ『おいおいおいおい……待て待て待て……待って!?』
スルー『走れ走れ!アンダーが待ちくたびれてしまう!』
ビロウ『俺に何をさせる気だ!?俺の子に、一体何を教え込む気だ!?足をっ!一旦、足を止めてくださいませんか!?お義父さんっ!?』
スルー『ビローには、アンダーの前で種を出して貰う!』
ビロウ『ぶはっ!おいっ!?そりゃあ、どういう……っうおっ!!』
スルー『行くぞ―――!!』
ビロウ『待てっ!?頼むからっ!服を……せめて、ベルトをきちんとさせてくれ!!ズレてるっ!下がっ!落ちて来てるっつーの!』
スルー『お前のオスは立派だった!見せつけてやれ!』
ビロウ『あぁあぁっ!』
——-
その頃のイン
イン『くふう……』
爆睡!
——–
ビロウ、疲労、そして種
ダダダダダダダ!
スルー『おーい!帰って来たぞ!アンダー!』
アンダー『するー!』
ビロウ『っはぁっはぁ……はぁぁっ』
エア(……ビロウ、ありゃ完全にさっきまでヤってたな)
ザン(スルー、もうエアのせがれとは手を離してもいいだろう)
ビロウ『っはぁ、っはぁ……』
オブ『……お前、なんて格好をしている』
ビロウ『俺だってなぁっ!?好きでこんな格好してんじゃねぇよ!?ズボンが落ちなかっただけ大したもんだろうがっ!?』
オブ『見苦しい……』ふいっ
ビロウ『っは……あーあ。さっきまでインと天国だったってのによ。なんでテメェの顔なんざ見なきゃなんねぇんだよ』
オブ『っく(やっぱり、今までコイツは……インと)』
ビロウ『っふ……ヨかったぜぇ。もう二回戦目に入る所だったからなぁ?……って、うおっ!?』
スルー『おいっ!ビロー!何をオブと遊んでいるんだ!早くお前は、アンダーに種を見せてやれ!俺が教えた通りにやるんだぞ!』
エア『っ!スル―が、』
ザン『教えた、通り……だと?』
ビロウ『……っくそ、うちの教育方針がめちゃくちゃだぜ』
スルー『こういうのは、早い方が良いんだ!遅くなると、インみたいになる!お前も、アンダーと寝ずに夜の流れ星を待つ羽目になるぞ!』
オブ『……イン』
ビロウ『その話……いつ聞いてもたまんねぇな。きっかけが、オブじゃなきゃぁな』
スルー『あぁ、たまらなく大変だ』
エア『おい……スルー。お前この往来で、ビロウに何をさせる気だ……』
スルー『だから!種を出させると何度言えばわかる!』
ザン『……教えた、というのは』
スルー『俺がどうすればいいのか教えた!何かあったら、俺が隣で手伝ってやる!』
ザン『!!!!???(手伝う!?)』
スルー『ほら!行け!お父さん!』
ビロウ『……あいあい』
アンダー『おとう、さま。ぼくの、たね、もってきて、くれ、ましたか』
ビロウ『……あぁ、持って来た』
アンダー『!!!』
ビロウ『ほらよ』
アンダー『わ、あ!』
続く