25:兄妹の再会と狼の喧嘩

 

一方その頃インは

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イン『ビロウ……どこ行ったんだろう。仕事でも入ったのかな。起こしてくれても良かったのに……今晩は一緒にごはんを食べれるのかなぁ。お魚、何匹買ったらいいか分からないや』

 

 

スルー(おいっ!ビロ―!来い!)

ビロウ(ちょいちょいちょいっ!?待て待て!?)

 

 

イン『なんか、お父さんとビロウの夢見たなぁ。……なんで?』

店のおじさん『おーい、お客さん。何匹買ってく?』

イン『……何匹買ったらいいと思いますか?』

店のおじさん『そりゃあ、俺じゃ分からねぇな。俺としては沢山買ってくれた方が助かるよ!』

 

 

??『おじさん、コッチ二匹ちょうだい』

おじさん『あいよー。おっと、別嬪なお客さんじゃないか!』

イン『……え?』

??『……あっ、誰かと思えば!』

イン『お、お、おっ』

 

 

ニア『お父さん!まだコッチに居たの!?お母さん呼んで来てって言ったじゃない!?』

イン『お母さん!?お母さんまでコッチに来てたの!?』

 

 

店のおじさん『はい!お客さん、別嬪さんだから三匹入れといたよ!』

 

ニア・イン『え?』

 

店のおじさん『だから、一匹サービスだよ!ほら!』

 

ニア『えっ、ちょっ。待って、待って!』

店のおじさん『もっと欲しいのかい?いや、さすがにサービスでプラス二匹は無理だよー』

 

イン『えっ!?ちょっと、待って!もしかして……もしかして?』

店のおじさん『待ってって言われても、俺は男にはサービスしない性質なんだ!』

 

ニア『お兄ちゃん!?』

イン『ニア!?』

ニア『そうよ!私っ!ニアよ!』

イン『そうだよ!俺、お兄ちゃんだよ!』

 

ニア『あぁぁあっ!おにいちゃん゛ん゛っ!』

イン『あぁ、よしよし。大きくなってて一瞬、お母さんかと思ったよ』

ニア『あぁぁああっ!あいだがっだぁぁっ!』

イン『……っぐず、俺も』

 

 

店のおじさん『おいおいおい、店の前でなんか始まっちまったぞ』

イン『……おじさん』

店のおじさん『な、なんだよ』

イン『……お魚、いっぱいくだざい。きょうはご馳走をつぐり……まずっ』

店のおじさん『……あ、あぁ(だから、何匹だよ)』

 

 

狼二世の喧嘩

 

ビロウ『あー、ダル。そろそろ俺はインの所に帰るぞ』

オブ『俺も店に行こう』

ビロウ『来んな。こっちは途中で止めて来てんだよ。テメェはお呼びじゃねぇよ』

オブ『もうすぐ店が開くだろう。俺は……インの客だ』

ビロウ『このタイミングで“インの客”とか言ってんじゃねぇよ。腹立って撃ち殺したくなる』

オブ『それはコッチの台詞だ。この下衆が。俺の方がインを喜ばせられる』

 

 

ビロウ『へぇ、昔の記憶に頼って、未だに頭ん中でインを弄りまわして来た奴は言う事が違うねぇ……マジで殺してぇよ』

オブ『っは。俺がインの始まりの男である事は、今後一生変わらない。そして、過去は代えられないが未来はそうじゃない。俺は確実に五年前よりもインとの距離を縮めてる。何年経っても諦めない。インの最初と……そして最後は、絶対に俺が貰う』

 

 

ビロウ『……っふぅぅぅ(さて。いつ、殺るか)』

 

 

親狼の発情

 

ザン『スルー。今夜、俺の所に来ないか』

スルー『ううっ、今日は……ソワソワするから……明日がいい』

ザン『俺は、そのソワソワする、可愛いお前と居たいんだ』

スルー『あっ、あっ、また言った!また言った!変だ!ザンは変り者だ!』

ザン『何がだ?』

 

 

スルー『ごきげんなのか!?俺が、こっ、こっ、こんなにソワソワしてるのに!』

ザン『教えてやる。雄は雌のソワソワしている姿にたまらなく惹かれるんだ……もっと恥じらえ。スルー』

スルー『うぅ、あつい。体があつい。はず、かしい』

ザン『……そんな事を言われてしまっては、やはり、雄として否という選択肢は受け入れない。スルー、今夜、俺の所に、来い』

スルー『あぁぁぁっ』

 

 

狼たちの兄弟喧嘩

 

エア『……何だ、この空間。ダル』

アンダー『するー、たねは?』

エア『あいあい。見るな見るな。その種はお爺様と植えようなー?』

アンダー『するーが、いい、です』

エア『っぐはっ!おいっ!?スルー俺の孫を盗ってんじゃねぇ!?』

 

 

スルー『ん?』

ザン『羽虫が。撃ち殺しておこうか』

エア『あ゛ぁっ!?この色ボケがっ!気色ワリィんだよ!?』

スルー『そうか!アンダーはインが育ててるから、俺の孫でいいのか!』

エア『よくねぇよ!?勝手に俺の一族に割り込んでくんな!?この貧乏人!』

ザン『そうだ、スルー。入り込むなら、俺の一族に入り込め!』

 

 

アンダー『うううう。たねは、たねは?……む?』

 

 

 

イン『ニア、本当にお母さんにソックリになったね?』

ニア『お兄ちゃんだって!ホントに最初はお父さんだって思ったんだから!』

イン『ふふ。よく言われる。ニアもモテるでしょう?』

ニア『ええ。もちろん!モテモテよ……お兄ちゃん程じゃないかもだけど』

イン『あははっ!俺、モテた事なんて一度もないよー!』

ニア『……気付いてないのが凄いのよねぇ』

 

 

 

アンダー『いんーー!』

 

ぽす。

 

イン『っ!アンダー?』

ニア『あら?かわいい』

 

アンダー『みて、みて。イン。ぼくの、おとうさまの、あかちゃん、のたね。これで、ぼくも、できたよ!』

イン『え!?何言ってんの!?アンダー!』

ニア『なんか凄い事言ってるわ』

 

 

アンダー『ぼく、これで、きょうだいつくるよ!』

イン・ニア『えっ?

 

 

えーーーーー!?』

 

 

つづく