一方その頃インは
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イン『ビロウ……どこ行ったんだろう。仕事でも入ったのかな。起こしてくれても良かったのに……今晩は一緒にごはんを食べれるのかなぁ。お魚、何匹買ったらいいか分からないや』
スルー(おいっ!ビロ―!来い!)
ビロウ(ちょいちょいちょいっ!?待て待て!?)
イン『なんか、お父さんとビロウの夢見たなぁ。……なんで?』
店のおじさん『おーい、お客さん。何匹買ってく?』
イン『……何匹買ったらいいと思いますか?』
店のおじさん『そりゃあ、俺じゃ分からねぇな。俺としては沢山買ってくれた方が助かるよ!』
??『おじさん、コッチ二匹ちょうだい』
おじさん『あいよー。おっと、別嬪なお客さんじゃないか!』
イン『……え?』
??『……あっ、誰かと思えば!』
イン『お、お、おっ』
ニア『お父さん!まだコッチに居たの!?お母さん呼んで来てって言ったじゃない!?』
イン『お母さん!?お母さんまでコッチに来てたの!?』
店のおじさん『はい!お客さん、別嬪さんだから三匹入れといたよ!』
ニア・イン『え?』
店のおじさん『だから、一匹サービスだよ!ほら!』
ニア『えっ、ちょっ。待って、待って!』
店のおじさん『もっと欲しいのかい?いや、さすがにサービスでプラス二匹は無理だよー』
イン『えっ!?ちょっと、待って!もしかして……もしかして?』
店のおじさん『待ってって言われても、俺は男にはサービスしない性質なんだ!』
ニア『お兄ちゃん!?』
イン『ニア!?』
ニア『そうよ!私っ!ニアよ!』
イン『そうだよ!俺、お兄ちゃんだよ!』
ニア『あぁぁあっ!おにいちゃん゛ん゛っ!』
イン『あぁ、よしよし。大きくなってて一瞬、お母さんかと思ったよ』
ニア『あぁぁああっ!あいだがっだぁぁっ!』
イン『……っぐず、俺も』
店のおじさん『おいおいおい、店の前でなんか始まっちまったぞ』
イン『……おじさん』
店のおじさん『な、なんだよ』
イン『……お魚、いっぱいくだざい。きょうはご馳走をつぐり……まずっ』
店のおじさん『……あ、あぁ(だから、何匹だよ)』
狼二世の喧嘩
ビロウ『あー、ダル。そろそろ俺はインの所に帰るぞ』
オブ『俺も店に行こう』
ビロウ『来んな。こっちは途中で止めて来てんだよ。テメェはお呼びじゃねぇよ』
オブ『もうすぐ店が開くだろう。俺は……インの客だ』
ビロウ『このタイミングで“インの客”とか言ってんじゃねぇよ。腹立って撃ち殺したくなる』
オブ『それはコッチの台詞だ。この下衆が。俺の方がインを喜ばせられる』
ビロウ『へぇ、昔の記憶に頼って、未だに頭ん中でインを弄りまわして来た奴は言う事が違うねぇ……マジで殺してぇよ』
オブ『っは。俺がインの始まりの男である事は、今後一生変わらない。そして、過去は代えられないが未来はそうじゃない。俺は確実に五年前よりもインとの距離を縮めてる。何年経っても諦めない。インの最初と……そして最後は、絶対に俺が貰う』
ビロウ『……っふぅぅぅ(さて。いつ、殺るか)』
親狼の発情
ザン『スルー。今夜、俺の所に来ないか』
スルー『ううっ、今日は……ソワソワするから……明日がいい』
ザン『俺は、そのソワソワする、可愛いお前と居たいんだ』
スルー『あっ、あっ、また言った!また言った!変だ!ザンは変り者だ!』
ザン『何がだ?』
スルー『ごきげんなのか!?俺が、こっ、こっ、こんなにソワソワしてるのに!』
ザン『教えてやる。雄は雌のソワソワしている姿にたまらなく惹かれるんだ……もっと恥じらえ。スルー』
スルー『うぅ、あつい。体があつい。はず、かしい』
ザン『……そんな事を言われてしまっては、やはり、雄として否という選択肢は受け入れない。スルー、今夜、俺の所に、来い』
スルー『あぁぁぁっ』
狼たちの兄弟喧嘩
エア『……何だ、この空間。ダル』
アンダー『するー、たねは?』
エア『あいあい。見るな見るな。その種はお爺様と植えようなー?』
アンダー『するーが、いい、です』
エア『っぐはっ!おいっ!?スルー俺の孫を盗ってんじゃねぇ!?』
スルー『ん?』
ザン『羽虫が。撃ち殺しておこうか』
エア『あ゛ぁっ!?この色ボケがっ!気色ワリィんだよ!?』
スルー『そうか!アンダーはインが育ててるから、俺の孫でいいのか!』
エア『よくねぇよ!?勝手に俺の一族に割り込んでくんな!?この貧乏人!』
ザン『そうだ、スルー。入り込むなら、俺の一族に入り込め!』
アンダー『うううう。たねは、たねは?……む?』
イン『ニア、本当にお母さんにソックリになったね?』
ニア『お兄ちゃんだって!ホントに最初はお父さんだって思ったんだから!』
イン『ふふ。よく言われる。ニアもモテるでしょう?』
ニア『ええ。もちろん!モテモテよ……お兄ちゃん程じゃないかもだけど』
イン『あははっ!俺、モテた事なんて一度もないよー!』
ニア『……気付いてないのが凄いのよねぇ』
アンダー『いんーー!』
ぽす。
イン『っ!アンダー?』
ニア『あら?かわいい』
アンダー『みて、みて。イン。ぼくの、おとうさまの、あかちゃん、のたね。これで、ぼくも、できたよ!』
イン『え!?何言ってんの!?アンダー!』
ニア『なんか凄い事言ってるわ』
アンダー『ぼく、これで、きょうだいつくるよ!』
イン・ニア『えっ?
えーーーーー!?』
つづく