番外編5:初代様、恐怖心を覚える!(初代様×犬)
※会話文のみ
—-過去/旅の途中
初代(剣の精製石がねぇな)
犬(剣の精製石が無いんだろうな。だとすると、そろそろ)
初代『おい、犬』
犬『はい、なんでしょう。初代様』
初代『使いに行け。今から言うモンを全部買ってこい』
犬『はい』
初代『明日の昼までこの街で待っててやる。少しでも遅れたら置いていく』
犬(今回は大陸越えか…ま、間に合うかな)
初代『おい、返事』
犬『っ、はい!(出来るか出来ないかじゃない。やるしかないんだ)』
初代『じゃあ今すぐ行け!』
犬『っはい!(さっきの俺、なんだか少年漫画の主人公みたいだったな)』タタタタッ!
初代『さぁて、今回は間に合うかぁ?』
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
犬(っはぁ、っはぁ。だめだっ。まに、あわないっ)フラフラ
バタン
犬(も。た、立てない……初代様は、もう、行ってしまったかな)
ぐず
犬(だめだ。起きないと。もしかしたら、少しは…まってて、くれてる、かも)
バタン
犬『っえ、なんで。立てない?』
犬『あしが、もう、動かな…』
ーーーーーー少しでも遅れたら置いていく
犬(何言ってんだ。這ってでも、戻らなきゃ。もし置いて行かれてても、追い付いて謝れば、またパーティに入れて貰えるかもしれない)ズズ、ズスズ
犬『はぁっ。はぁ…あれ?』ピタ
初代『よう、犬』
犬『しょだい、さま?』
初代『お前ぇが時間通りに来ねぇから、次の街に行くとこだ。偶然だな?』
犬『あ、あ。初代さま、すみませ。おそく、なり、ました』
初代『俺は遅れたらどうするって言った?』
犬『…おいて、いくと。いわれました』
初代『で?お前は、どうする?』
犬『あ、の。これ…』
初代『…精製石か』
犬『遅れて、ごめん、なさい。俺、今。も、動けなくて…』
初代『で?』
犬『…また、がんば、って。追いつき、ます。だから』
初代『…おう』
犬『追い付いたら、また、いっしょに、つれて、行って…くださ』こて
初代『気ぃ失いやがった』
犬『…はぁ、はぁ』
初代『駄犬が、熱もあんのか』
犬『…うっ、うぇっ』
初代『吐きやがった。あーぁ。ダリィな、畜生』
○
犬『っ!』バッ!
初代『おう、犬』
犬『っはい!あれ?しょ、初代様』
初代『なんだ?』
犬『(置いていかれて、ない?なんでだ?)あ、の』
初代『…命令だ。余計な事は言うな』耳赤
犬『っは、はい!』
初代『命令だ』
犬『は、はい』
初代『寝ろ』
犬『……はい(よ、良かった。まだ、置いていかれて、ない…)よか、った…』スヤ
初代『(つけ上がんねぇように、治ったら厳しくしてやる)あーー、腹減った』
そもそも、置いて行く気なんかサラサラなかった初代様。
ーーーー再会直後/魔王城
初代(結界石がねぇな…でも、取りに行くのだりぃ)
犬「あ、あの」
初代「あ?」
犬「何か足りないモノでもありますか?」
初代「あー、結界石が足りねぇ」
犬「それは、どこにありますか」
初代「西の大陸のモースル坑道にある」
犬「なら、俺が取ってきます」
初代「あ?」
犬「いつまでに取ってくればいいですか?(少しでも初代様の役に立ちたい)」
初代「……だ」
犬「しょ、初代様?」
初代「ダメだ」
犬「あ、えっと、でも。足りないのなら」
初代「お前、さてはまた逃げる気か?」
犬「へ?」
初代「また俺が目ぇ離した隙にどっか行く気だろ?」
犬「いえ、俺はただ」
初代「黙れ。お前には取りに行かせねぇ」
犬「で、でも」
初代「命令だ。余計な事を言うな」
犬「はっ、はい!」
初代「…命令だ」
犬「はい」
初代「俺と一緒に居ろ」真っ赤
犬「っ!あ、はい」真っ赤
初代「来い」真っ赤
犬「はい」真っ赤
初代「お前、照れ過ぎ」真っ赤
犬「はい」真っ赤
W真っ赤!
初代様も、あの頃なら平気で出来ていた命令が長い別れを経て、出来なくなっています。
ちょっとでも目を離したら、また犬が逃げるかも…みたいな恐怖。
そして、初代様が取りに行こうとしてた「結界石」は外部からの侵入を防ぐ為のモノではなく、犬が外に出ない為の「結界」を作る為の石です。