番外編12:あられ、ライバルに勝ちたい(ゴウキ×あられ)

※父ちゃんが出稼ぎから帰ってきてます

会話文のみ

 

 

inスーパー

あられ「わぁ」

父「どうした?あられ」

あられ「父ちゃん、もうチョコレートがいっぱい置いてある。ついこないだお正月だったのに」

父「おぉ、もうそんな時期か。バレンタイン…どうだ、あられ?今年はチョコ貰えそうか?」

あられ「…」

 

父(これは今年もゼロだな…仕方ねぇ。俺が買って郵便受けに入れておいてやるか)

あられ(ゴウキはたくさんチョコ貰うかな…貰うよね。俺もあげたいけど、お金ないし)

父「あられ、そんなに落ち込むな。もしかしたら1個くらい貰えるかもしれねーだろ?」

あられ「…父ちゃん、俺アルバイトしたい」

 

父「あ?なんで?別にお前が働かなくても、ちゃんと今月分の家賃も払ったぞ!大丈夫だ!」

あられ「ちがくて。俺、チョコを…買いたくて。高級なのを」

父「あ?なんで?(まさか、俺にか?)」

あられ「あげたい子が居て。その子は多分いっぱい貰うから、高級なの買って、他の子に勝ちたい」

父「…」

 

父(これは…俺じゃあねぇな。今時は男からチョコを渡すのか。いいじゃねぇか)

あられ「高いチョコ調べた。ご、ごばでぃ?とか」

父「ごばでぃ?いや、あられ。そういうのって高いモンより手作りのヤツがいいんじゃないのか?」

あられ「…手作りはダメなんだ」

父「なんで?」

あられ「だって前…」

 

—-回想

 

あられ『ゴウキ、それ何?』

ゴウキ『あー、なんか下駄箱入ってた』

あられ『手作りの、お菓子?すごいね!』

ゴウキ『食うなよ』

あられ『う、うん。だってゴウキが貰ったやつだし』

ゴウキ『違ぇよ!誰が入れたか分かんねー手作りのモンとか危ねぇだろ。気色悪ぃ』

あられ『…気色悪い?』

 

ゴウキ『何入れられてっか分かんねーし。だから俺、手作りとかマジで無理』

あられ『そっかー。ムリかー』

ゴウキ『あられもワケ分かんねーモンは食うなよ。危ねぇから』

あられ『うん、わかった!ワケ分かるモノだけ食べるよ』

ゴウキ『…あー、俺が気を付けて見とくしかねーかーー』

 

 

——

—-

 

あられ「って言ってた」

父「なかなか気にするタイプの子なんだな…まぁ、だったら買うしかないか。じゃあ、父ちゃんがお小遣いを…」

あられ「自分で稼いだお金で買いたい」

父「んー短期バイトか?でも高校生で良いの見つかるかねぇ」

あられ「…あ」

父「どうした?」

あられ「そういえば、前ね!」

 

あられ「一晩一緒に居たらお小遣いくれるって言ってたくれた男の人が居た!」

父「ぶはっ!(おい!?)」

あられ「多分寂しいんだと思う。俺もそうだったし」

父「いや、確かにそれはそうかもしれねーけど(さすがあられ。俺の子だ。モテ方が違う)」

あられ「その人探しに行こ!そしてバイトする!」

 

父「いやいや、待て待て。お前、それで夜一緒に何するか分かって…」

あられ「え?」

父「…るワケねぇな(あられは何も知らねーもんなぁ)」

あられ「?」

父「(ほらなぁ!?この顔!何も知らん顔!俺と同じでバカだけど可愛いんだ!あられは!)…しかし、このままだとヤバいな」

 

父(…俺はまた明日から家を空けるし、このままじゃあられが変態野郎に食われかねん…見張りを、見張りをつけねぇと)

 

ゴウキ「…あられ?」

 

あられ「っ!ゴウキ!」タッ

父「ゴウキ?(友達か?)」

 

ゴウキ(隣のは…クソっ。また変態野郎か?)

 

あられ「ゴウキ!買い物?」

ゴウキ「あ、あぁ」

 

ゴウキ「あられ、そっちの人は…」

あられ「あっ!あれ、俺の父ちゃん!」

ゴウキ「(っは!父ちゃん!?つーか若っ!?)あ、こんばんは」

 

父「あられの友達か」

ゴウキ「そうです。いつもお世話になってます」ぺこ

あられ「父ちゃん!ゴウキは良い奴だよ!スマホも貸してくれるしお菓子もくれる!」

 

父「そうかのかー。ありがとな!(この子、しっかりしてそうだな)」

ゴウキ「いえ、俺は何も…(良い印象与えとかねぇと)」

父「あられ、ごめん。カレーの材料とってきてくれないか?」

あられ「今日父ちゃんカレール!?」

父「おう、父ちゃんカレーだ!」

あられ「ゴウキ!今日、うちおいでよ!」

 

ゴウキ「え?(父ちゃんカレー…)」

あられ「いつもお菓子くれるから、父ちゃんカレー食べてって!ね、ね!父ちゃんいいでしょ!?」

父「あー、いいぞ(珍しいな、本当に仲が良いみたいだな)」

ゴウキ(あられの父ちゃんに知ってもらうチャンスだ)

あられ「あ、塾?」

ゴウキ「いや(サボろ)」

 

父「あられ!なら、材料を頼む!」

あられ「わかった!」ダッ

ゴウキ「え?(ちょっ!気まずいんだが!)」

 

父「ちょっといいか?」ガシっ

ゴウキ「え?あ、ハイ!(何だ何だ何だ!?)」

父「キミ、あられと仲良い?」

ゴウキ「は、はい(試されてるのか?)」

父「めちゃくちゃ仲良い?」

 

ゴウキ「っはい!(確実に試されてる!)」

父「あられを頼む!」

ゴウキ「もちろんです!(親公認か!?)」

父「ありがとう!あられ…アイツさ。バレンタインに高級チョコを渡したい相手が居るらしいんだが」

ゴウキ「え?マジですか?(誰だよ!?)」

父「その子、えらくモテる子らしくて」

 

父「他にもいっぱい貰うだろうから、高級なごばでぃ?のチョコとかをあげて他の子に勝ちたいらしい」

ゴウキ「あられ(ソレぜってー俺じゃん!可愛すぎか!)」

父「それで金が無いからって援交しようとしてんだ」

ゴウキ「はぁっ!?」

父「いや!あられは分かってねぇの!アイツ何も知らねーから!」

 

父「なんか前、夜一緒に過ごしたらお金くれるっつー男に声をかけられたから、その人を探してバイトするって……あられはバイトのつもりなんだよ!」

ゴウキ(あいつかーーっ!!)

父「お小遣いやるっつっても、自分の稼いだ金で買いたいつってさ…俺も明日からまた家を空けちまうから…心配で」

 

ゴウキ「俺に任せて下さい!(やっべぇ!聞いてて良かったぁぁ!)」

父「話しが早い!!あられを見張ってくれ!ゴウキ!キミだけが頼りだ!」ガシッ

ゴウキ「絶対にあられを変態から守ります!この俺が!死んでも!」

父「ゴウキ、良いヤツだなー!会えて良かった!」ポンポン

ゴウキ「こちらこそ!」

 

あられ「父ちゃん!材料持ってきたー!」

父「おお!ありがとうな!あられ!……頼んだぞ、ゴウキ」ぱちん!

ゴウキ「分かりました」ぱち

あられ「二人で何話してたの?」

父「父ちゃんカレーの作り方だ」

あられ「そっかー。ゴウキ、楽しみにしててなー!」

ゴウキ「おう(ちくわが2袋も…)」

 

あられ父、ゴウキにあられの見張り役を頼む。ゴウキ、間一髪のところで情報を得る事に成功。事無きを得る

 

おまけ

3人での夕飯

 

ゴウキ「あー俺、板チョコを溶かしたモンがこの世で一番好きだわー」

あられ「え?そうなの?」

父「ん?」

ゴウキ「それ以外はチョコと認めらんねぇよ。マジで、うん」

 

ゴウキ「例えばあられが溶かしたチョコをボウルのまま持ってきてくれてソレを一緒に食べたりイロイロしたりできたら、それに勝るチョコはねーわ。まぁ、例えばの話だけどな」

父「?」

あられ(そうだったんだ!板チョコ溶かしたのが、ゴウキは好きなんだ!)

ゴウキ(死ぬ程チョコプレイしてぇわ)