大豆「茂木くーん」
茂木「はい、何でしょう。大豆先輩」
十勝(茂木さんって今年の新卒だったのか……最初は先輩かと思ったけど…)
大豆「さっきの電話の件なんだけど」
茂木「それなら、俺が」
十勝(それにしても、大豆があんなに普通に喋れるなんて……珍しいな)
野田「どうしたの?十勝君」
野田「茂木君が気になる?」
十勝「いや、茂木さんって言うより、大豆が懐いてるなと思って」
野田「そうなのよ。最初はどうなる事かと思ったけどねぇ」
十勝「そうなんですか?」
野田「ほら、大豆君って……オドオドしたりしてるじゃない?だからやっぱ一部の人にはそれがイラっとしちゃうみたいで」
十勝「あぁ…(その分、懐いてくれると嬉しいんだよな)」
野田「茂木君も例に漏れず、ほんっとにイライラしてたみたいなんだけど……いつだったかなぁ。分かんないけど急に仲良くなったのよ。教育係に大豆君が付いてたから、慣れたって事なんだろうけど」
十勝「そうですか(俺以外にも、懐くのか)」
〇
大豆「ねぇ、茂木君。昨日のキリバンの感想、ありがとう」コソ
茂木「こちらこそ、語彙が足りずに全てを伝えきれず(アレでこれから何回もイける)」コソ
十勝「あれは…」
野田「あれ?もういつもの事よ。二人共何か共通の趣味があるのか、いつも意味の分からない話を二人でしてるわね」
十勝「へぇ(大豆の趣味って…なんだろ)」ジッ
野田「ふふ。はい、十勝君。コレ大豆君に持って行ってくれる?」ス
十勝「…え」
野田「お願いできる?」にこ
十勝「…野田さん。ありがとうございます」
野田「また昔みたいになれるわよ」
十勝「……はい(これじゃあ、仲間外れにされた子供だな)」
大豆「茂木君、あのね。今日帰りに…」
茂木「分かりました。行きましょう(神が行く所へはどこへでもはせ参じます)」
大豆「あ、いや…えっと、茂木君の家に」
茂木「合鍵を作りましょう(神を阻む扉など無くしてしまわねば)」
大豆「へ?」
十勝「大豆」
大豆「あ、十勝」
茂木「…」スス
十勝「あ、大豆に渡すものがあるんだけど」
茂木「俺が受け取りましょう」
十勝「いや、そこ大豆居るし」
茂木「俺が受け取って、俺が大豆先輩に渡しましょう」
十勝「えぇ…」
野田(なんか、茂木君が十勝君を仲間に入れてあげないようにしてる…小学生みたい)
大豆「貰うよ、十勝」
茂木「!」
十勝「ほら」
大豆「ありがとう」
十勝「あのさ、」
大豆「ん?」
十勝「二人で何の話してたんだ?」
茂木「十勝さんには関係ないかと」ス
野田(十勝君頑張れー!大豆君助け船ー!)
十勝「いや、大豆と趣味の話とかした事なかったから気になって。俺も混ぜてくれよ」にこ
大豆「え、えと」オロ
十勝「大豆?(あれ、この顔…俺以外にしてたヤツじゃ)」
大豆「えっと、しゅ、しゅみは…(BLなんて言えない。どうしよう。どうしよう茂木君)」チラ
茂木「(神が困っている)読書です」
十勝「(なんで、茂木さんが答えるんだ)大豆?そうなのか?」
大豆「あ、う。う、うん」オロオロ
十勝「(なんで、大豆が俺にこんな顔を)どんなの読むんだ?」モヤ
茂木「もういいでしょう。仕事に戻りましょうよ。十勝さん」
十勝「趣味は共有できるヤツが多い方が楽しいだろ?」
茂木「個人で楽しむモノもありますよ(多い方が楽しいだと?この神は俺のモノだ。誰とも共有などするものか)」
野田(なんか凄い雰囲気になってきたんですけど…)
十勝「……大豆?俺には教えてくれない?(大豆はこの頼み方に弱い)」
大豆「あ、あ、えっと(BLはダメ!BLはダメ!絶対に引かれる。しかもあんなエッチな小説書いてるなんてバレたら、いくら十勝でも…)」
—–あー、趣味は人それぞれだもんな?うん。でもな、大豆?そろそろそう言うのは卒業して彼女でも作ったらどうだ?合コンとかしてやるから。うん、それがいい。
大豆(嫌だ!合コンなんて行きたくない!彼女なんかいらない!俺は一生BLを書いてキッコウさんにちやほやして貰うんだ!)承認欲求爆発!
大豆「秘密!言わない!」カッ
十勝「えっ!?(嘘だろ。大豆が、俺の頼みを……そんな)」
大豆「これ、受け取った!ありがとう十勝!」
茂木(っはははは!見たか!十勝!昨今BL界隈がいかにメディア露出しようとも!やはり参入障壁は高い!腐界を生きるには、お前は白過ぎる!)
十勝(大豆…)
茂木(それに、読むだけならまだしも、大豆先輩は書き手!しかもR18に関してはなかなかみないマニアックな作品を書かれる……そうなった場合、鎖国中の日本より入国は厳しいぞ!十勝!諦めろ!)
大豆「茂木君…」コソ
茂木「なんでしょう?(神の世界に入れる人間は俺だけでいい)」にこ
十勝「…」
大豆「今日ちょっと茂木君家に行かせて。相談したい事があるんだ」コソ
茂木「ええ、もちろんです」チラ
十勝「…大豆(たった二年離れただけで、嘘だろ。一体、どんな趣味なんだ。知りたい……)」
茂木(ハハハハ!当て馬を横目に見る攻めの気分は最高だな!)
十勝(大豆…昔のお前に戻ってくれ)
野田「十勝君。仲間外れになっちゃったわ……」
課長「…ここ小学校じゃないんだけどぉ」
BLの参入障壁の高さから、十勝あえなく入国拒否される。読むならまだしも書き手(描き手)はなかなか暴露できないのである!そして、茂木は茂木で、家で大豆に予想外の事を言われる。
大豆「親に言ったら……ルームシェアなんて絶対に上手くいかないから止めておきなさいって」
茂木「なにっ!?」
大豆君の家は過保護。というより、大豆がボケっとしてるので、親がそうならざるを得ない。