ヘマが気持ちの悪そうな人に遭遇したよ!
ヘマ「あの、大丈夫ですか?」スス
ヒスイ(おい!ヘマ!なに話しかけてんだ!逃げろ!ソイツは見た目はそうでもねぇが、中身はヤベェんだ!俺が死ぬ程負けて、やっと一太刀あびせられた相手だぞ!それに、ソイツを倒しても本物の魔王は別に居る!)
魔王?「っえ、あ…(な、何だ。この子?勇者っぽくない…っ!)うぇっ!」
ヘマ「うんうん、大丈夫じゃないね。ずっと気持ち悪そう。どうしてこんなに気持ちわるいんだろう?」
ヒスイ(ヘマ!頼む!逃げてくれ!今のコイツなら逃げられる筈だ!)
ヘマ「オレ見た事ある。こんな人…どこで見たと思う?」
魔王?「え?あ、いや…」ヒク
ヘマ「ねぇ?知ってる?うーん、知らない?そうだよね?オレが見た事あるだけだからなぁ。うんうん」
魔王?(なんか、一人で話してる…こ、こわい。こういう人、クラスにもいた。一軍でも三軍でもない…ヤバい系。絶対に関わったら仲間扱いされてヤバいやつ!!)
ヘマ「そうだ!こういう時、ヒーラーは相手の話を聞かなきゃダメなんだよ!そう!ヒーラーにはこういうことわざがあってね!夜泣きの赤子にヒール甲斐無し!これはね、いくら上手にヒールをしても、相手に必要な回復魔法でなければ無意味だって意味だよ!凄く大事なことわざだから大事に覚えてる!」
魔王?(ずっと一人で勝手にしゃべってる……!怖い!!)ヒク
ヒスイ(ヘマの奴、いつもに増してテンションが高けぇ!久々に俺以外の奴と喋れて嬉しいんだろうが!相手を考えろ!ここは魔王城だ!ソイツはその辺の村人じゃねぇぞ!おい!ヘマーー!?)
ヘマ「教えて?どうして気持ち悪いの?もしかしたら、オレが治してあげられるかも!」
魔王?「…あ、あ、え」
ヘマ「あ、あ、え?……どういう事だろう。言葉が通じてないみたい。ごめんね。それじゃ分からないや…」
ヒスイ(っ!まさか、ヘマに“言葉が通じねぇ”なんて言われる奴が居るなんて…!信じられねぇ……じゃねぇよ!逃げろ!ヘマ!)
魔王?「あ、ちが…これ。っうぇぇっ!っふぅ、もうイヤだ…」
ヘマ「あぁ、泣いちゃった。……思い出したよ。これは、赤ちゃんがお腹に出来た時に女の人達がなってたのに似てる。つわりって言うの。赤ちゃんがお腹にきて、一ヶ月くらいすると気持ち悪くなるんだよね」
ヒスイ(ヘマ!ソイツ、ガッツリ男だからな!?男は妊娠出来ないって…まさか、知らないのか?)サワ
魔王?「っはぁ、っはぁ。うえぇっ(こんなの、もう、いやだ。産むのやめたい…でも初代様にそんなの言えない)」
ヘマ「あぁ、蹲っちゃった。苦しいね?かわいそう…。なんとかしなきゃ。つわり、つわりを…治す方法は…」
ヒスイ(おいおい…ヘマならあり得るぞ。今度ヤる時そういう設定でヤんのは最高なんじゃねぇのか?)
ヘマ「イシ君?少し待っててね。こういう時に人助けをしておくと、後々良い事が返ってくるかもしれないからね。それにヒーラーは回復するのが仕事だよ」
ヒスイ(っヘマ!お前の世界は優し過ぎる!恩っつーのは基本仇で返すモンだ!俺ならそうする!だから、そんな奴ほっとけ!俺以外に優しくすんな!)
魔王?「っはぁ、っはぁ(…この子、石に話しかけてる。やっぱりヤバめの電波!!このタイプはある意味陽キャより怖い……!逃げたい!気持ち悪い!妊娠やめたい!初代様に言いたい!でも、言えない!)うええっ!」
ヘマ「いくよ!大丈夫、何回もやった事あるからね!心配いらないよ!イシ君!」
ヒスイ(ヘマ!やめろ!詠唱中に攻撃されたらどうする!)
魔王?「(やっぱり石に話しかけてる。電波こわい…うっ)うぇぇっ!」
ヘマ「新たな生命を産み出す代償よ!その苦しみから解き放て!ヨーサンサプリ!」
パァァァ!
ヒスイ「っ!ヘマ!(声が!夜になったか!)」バッ
ヘマ「あ、イシ君!」
ヒスイ「ヘマ!お前なにやってんだ!コイツはヤベェ奴だぞ!」
ヘマ「え?やばい?」
ヒスイ「コイツは魔王の…」
ピリッ
???「……はぁ、やっぱりここだったか」
ヒスイ「っ!」
ヘマ「あれ?誰か来た」
???「つーか。おい、テメェら。何勝手に他人ん家で好き勝手やってんだ」
ヒスイ「う、あ(この声は……)」フル
ヘマ「うわぁ、なんか凄い人!」
ヒスイ「へま、に、逃げるぞ(……魔王だ)」
ヒスイ「は、はぁ。はぁ(絶対敵わねぇ。むりだ。むり)」
ヘマ「イシ君?大丈夫?もしかして、あの人が魔王様?」
ヒスイ「そんな、事は、どうでもいい……にげるぞ」
ヘマ「え、え?」
???「…おい、犬。お前、なんでこんな所に居る。出なくていいっつっただろうが」
犬「ぁ、あ……あれ?なん、で。あれ?えっ、なんで?えっ?あ……」
???「怪我は……してねぇな」
犬「あ、あ……」
???「あぁ?何か精神攻撃でも食らわせられたか。クソが。俺の犬に舐めたマネしやがって…」
犬「しょ、初代様。あ、あの。えっと……」
初代「あっちの剣士は…大した事ねぇな。だとすると…こっちの法術師か。確かに、纏ってるマナの量がヤベェな。…どうすっか」
犬「…あ、あ、あ、あの」
ヒスイ(っヤベェ!アイツ!完全にヘマの事見てやがる!)
ヘマ「…イシ君!あの人イシ君に似てて格好良いね!」にこ
ヒスイ「っヘマ!余計な事言うな!来い!」グイッ!
ヘマ「何で?魔王様なんでしょう?早くお願いしないと!」ピタ
ヒスイ「っ!話が通じる相手じゃねぇんだよ!(ビクともしねぇ!)」
犬「……しょ、しょだいさま」
初代「おい、犬。お前はその辺で寝てろ。これは命令だ。動くな。これからお前はソレが治るまで部屋から一歩も出るな。飯も作らなくていい。休め」
犬「い、え。あの…初代様。俺、今すごく」
初代「お前のつまんねー話は後でまとめて聞いてやる。黙って見てろ。アイツらは一瞬で終わらせてや…」
ヘマ「こんにちは!あ、間違いだった!そうそう!もう夜だもんね!こんばんは!」
初代「っは?(いつの間に俺の前に)」
ヒスイ「ヘマ!!(いつの間に……!)」
ヘマ「オレの名前はヘマタイトです。ヒーラーをしてます」
初代「……お前」
犬「え?ヘマ、タイト?」
ヘマ「今日は魔王様にお願いがあってきました。聞いてください!」
初代「……その前に、お前」
ヘマ「へ?」
初代「俺の犬に何をした?」
ヘマ「犬?犬が居るの?」
初代「…しらばっくれんな。アイツがあんなに動揺する精神攻撃なんてそうそうねぇ。テメェ、寿命を代償に何かしただろ?言え」
ヘマ「?」
初代「テメェは、どうせ明日死ぬ。死ぬ前に正直に言えば、テメェの仲間には手ぇ出さないでおいてやる」
ヒスイ「は?明日?」
犬「え?」
初代「言え。お前、犬に何をした。言わなきゃ、アイツもお前も殺す。脅しじゃねぇからな。さぁ、言え。俺の犬に、」
ヘマ「えっと、え?」
初代「何をした」
ナニコレ。
お喋りの癖に、完全に続きモノみたくなってしまった。