番外編8:いくら天才法術師でも(ヒスイ×ヘマ/初代×犬)

≪前書き≫

 こちらのお喋りは【初代様には仲間が居ない!】というお話に登場するキャラが出てきます。知らなくてもノリとテンションで乗り切ればどうにかなると思います。一応キャラ説明。

 

初代様:「ソードクエスト」における、最強の初代勇者。俺様。

犬:「ソードクエスト」の数代後の勇者。元日本で引きこもりゲーマーだった。陰キャ。

 

※勇者の血筋を引いているキャラは全員、この初代勇者の子孫です。

 

あとはノリで大丈夫です。どうぞ!

 


 

 

 

初代「お前、どんだけヤベェ魔法を使いやがった。ヒーラーの癖に、その覚悟だけは褒めてやるよ」

 

 

ヒスイ「ちょっ、ま、待ってくれ。明日って…」

初代「テメェには誰も聞いてねぇ。黙れ」

ヒスイ「っ!(う、動けねぇ)」

 

 

初代「俺はテメェに聞いてんだよ。ヒーラー。俺の犬に何をした?あ?」スッ

 

ヒスイ「(あれはっ!エクスカリバー!)っヘマ!逃げろ!殺されるぞ!」

初代「っは、俺が殺らなくても、コイツの寿命は明日だ。諦めろ」

ヒスイ「うるせぇっ!黙れ!このクズ野郎が!」

初代「あ゛?テメェ、弱ぇゴミの癖に誰に向かってそんな口利いてやがる!?」

 

ヘマ「ケンカしてる!兄弟みたい!……ね?」ソッ

犬「っ!(いつの間に!)」

ヘマ「ねぇねぇ。気持ち悪いの治った?」

犬「あ!(そうだった!)あ、の。あり、ありが、とうございます!」

 

ヘマ「いいよ!赤ちゃんがお腹に居る人に毎日やってあげてた事があるから、上手だったでしょう?ね?」

犬「は、はい。す、すごいです」

ヘマ「別に全然すごくないんだよ!簡単!」

犬「…でも初代様はつわりは病気じゃないから治せないって」

 

ヘマ「えー!簡単だよ!その“しょだいさま”は見習いの人なんじゃない?」

犬「いや、初代様は回復もSクラスですし」

ヘマ「それは…悲しいけどウソかも」

犬(初代様を詐称Sクラス見習い扱い…)

 

ヘマ「でも、どうしよう。オレ、明日死ぬみたい。もうイシ君とサヨナラしなきゃいけない」

犬(イシ君…って)

 

初代「クソが!ぶっ殺してやる!このゴミカスが!」

ヒスイ「おうおう!殺せ!殺せ!もうこの世に未練なんかねぇんだよ!このボケが!」

 

犬(うわ、確かに似てる…ていうか、彼どこかで)

 

ヘマ「イシ君を殺さないで!」バッ

ヒスイ「っヘマ!」

初代「あ゛?」

 

犬「あれ?いつの間に?」

 

ヘマ「早くイシ君の呪いを解いて!」

ヒスイ「もういい!ヘマ!ここで二人で死ぬぞ!俺は、お前無しで生きるなんてまっぴらだ!」

ヘマ「イシ君が死ぬのはイヤだよ!」

ヒスイ「ヘマ…!俺だって…」

 

 

ヘマとヒスイは二人で抱き合ってシクシク泣き始めた!

 

 

初代(は?なんだこの茶番は。俺が悪いみてぇじゃねぇか)

 

犬「あの、初代様」

初代「あ?お前はあっちで休んでろって言っ……ん?なんだ、えらく顔色が良いな」ぺたぺた

犬「あっ、あ、はい。凄く気分が良いです(くすぐったい)」

初代「吐き気は?」スルスル

 

犬「まったくありません(き、気持ちい)」

初代「ガキは」ぽんぽん

犬(出た。初代様のハンドエコーだ)

初代「あぁ、居るな。急にどうしたんだ」

犬「あ、あの彼が治療してくれました」

初代「は?アイツが?」チラ

 

ヘマ「ちゅっ、ちゅっ!」

ヒスイ「へま」ぎゅっ!

 

 

初代「クソ、嫌なモン見たわ」

 

犬(人目を憚らずイチャつくカップルは、だいたいブスってネットに書いてあったけど……やっぱりネットの情報って当てにならないな。あれは非モテによる僻み記事か。ブスであって欲しかった。これだから陽キャは…いや、片方電波だけど)

 

初代「おい、犬。帰って来い」

犬「っは!すみません!初代様」

 

初代「ともかく、アイツがお前の悪阻を治療した、と」

犬「そうです。聞き慣れない詠唱をしていました。あと、もう一人の彼は…多分、初代様が昔…石化した勇者では?」

初代「…???」

犬「(あっ、全然覚えてなさそう…何て言ったら思い出すかな?)あ!そうです!」

初代「なんだ?」

 

犬「彼、俺のお腹の真ん中に傷を付けた勇者かと……その後、初代様が一緒に湯治めぐりをして下さいました(外に出たのなんて、あれ位だから流石に思い出…)」

初代「殺す」

犬「え?」

初代「ぜってー殺す。あん時、生かしておいたせいで、また俺の犬の腹を刺しに来たってか?絶対に許さねぇ」チ

 

 

ヘマとヒスイはお互いにメロメロだ!

 

 

初代「っげ!気色わりぃんだよ!止めろ!発情期か!?場所考えろや!クソ!」

犬(俺も、昔ダンジョンで初代様とよくヤったなぁ。懐かしい)スン

 

ヒスイ「邪魔すんなや!こっちとらこれが最期なんだよ!消えろ!」

初代「ここは俺の家だ!テメェらが消えろ!」

 

ヘマ「うーうー。イシぐん、じなないでぇ」

ヒスイ「ヘマ……つーかおい!そこの魔王の手下!何ボケッとしてんだ!」

 

犬「あっ、ハイ!なんでしょう!(あれ?)」バッ

初代「…は?」

 

ヒスイ「テメェ!さっきヘマに治療してもらった癖に、何知らぬぞんぜぬってツラしてんだ!恩を仇で返すのか!?」

犬「あ、あ。そ、そうなんですけど…寿命は、ど、どうにも、ならないって、いうか」オロオロ

 

ヒスイ「あーあ!とんだ恩知らずも居たモンだなァ?ヘマ、お前の施しは仇で返されたぜぇ!」

犬「あ、あ…す、すみませ」土下座

初代「おい!犬!なにテメェ俺以外にこうべ垂れてんだ!?あ” ぁ!?」

犬「あ、あっ!すみませ!つい!彼があまりにも初代様そっくりで…!」

 

 

初代・ヒスイ「「似てねぇよ!?」」

 

 

犬「あ、あっ!すみませ…!」

ヘマ「オレも似てるって思うよ?」

 

犬「っ!(だから、いつの間に!?)」

ヘマ「…あと、キミは、あやまらなくていいんだよ」

犬「へ?」

ヘマ「だって、」

 

ヘマ「つわりは、明日またなるし」

犬「え?え!?治ったんじゃ、ない、の?」

ヘマ「違うよ。オレは“今”の不調を治療したの」

犬「え、嘘?」

 

ヘマ「これから先に起こる病気は、治療できないのといっしょ。だから明日のつわりは、明日治さないと。だから、オレは毎日、赤ちゃんのいる女の人の家に通ってたんだよ!おかげで上手になったんだ!」

犬「あ、じゃ、じゃあ。あ、明日も、お、俺に…」

ヘマ「明日……」

 

ヘマ「明日、オレ死ぬから…」

犬(そうだったーーー!)

ヘマ「ごめんね。でも、大丈夫だよ!」

犬「…え?」

ヘマ「少なくとも赤ちゃんが出てきたら絶対に治るからね!」

 

犬(っまって…まって。むり、今、こんなに気分が良いのに…あ、あしたから、また、アレを?)

 

ーーーーうぇぇぇっ!うっぷ、

 

犬「い゛やだーーーーーー!!」発狂

ヘマ「うわっ!」

 

初代「おいおいおい!犬!何だ!どうした!」

犬「い゛やーー!もうイヤだ!また、あんなに気持ち悪いのはっ!…も゛う゛……おで、耐えでまぜんっ。っひぐ」

初代「おい、犬!しっかりし…」

犬「しょだいざま…おれも、ごろじでぐだざい」土下座!

 

初代「は?」

 

犬「ごろじで。もう、いやだ。もう、むりぃ。も、にんしん。いやだぁ。ちゅ、ちゅら…おで、づらいでずぅ」ボロボロ

 

初代「は?」オロ…

 

犬「おれを、ごろじでぐだざい」ボロボロボロボロ

初代「あ、あ…お。え?」オロオロオロオロ

 

はーーー!?

 

 

つづく!!

 

 


 

犬、一度得た”普通“のせいで、悪阻への恐怖が強まる。

人を絶望に叩き落とすには、一度幸福を味わせるのがピッタリです!

 

完全にコラボしてしまった。【初代様】を知らなくても大丈夫。ノリで!